最近のフォーク・ソング・ブームに便乗して誕生した沢山のフォーク・グループの中で、もっとも手広い活躍を見せ、また、一番の人気をもつグループ,それがピーター、ポール・アンド・マリーの3人組です。その彼等がついに私達の目の前で、ナマの民謡をきかせてくれることになりました。
これを機会に,この3人組のファンが激増するのはあきらかでしよう。なぜなら、現在ちまたに流れている民謡にも、色々の種類があり、黒人系の曲、純白人的なヨーロッパのにおいを感じさせる曲、あるいは、近代的にモダナイズされたグリンニッチ・ヴィレッジ・スタイルの曲、とさまざまに存在するわけですが、そのいずれにも通じる民謡グループの第一人者が、このピーター、ポール・アンド・マリーの仲間達であるからです。
彼等が正式にレコード界に現われて以来、まだ2年ちょっとの才月しか流れておりません。その間、彼等は一歩一歩自分達の道を築いて、今や誰にも真似のできない、独特のパーソナリティを作りあげてしまいました。
メンバーはピーター・ヤロー、ポール・ストゥーキーの男性2人に、マリー・トレイヴァース。なお、彼女は3才の女の子をもって離婚しておりましたが、昨年(’63年)10月16日、写真家のバリー・フェインスタインと再婚しております。
<Å 面>
▲ パフ
ホナリー島(Honah−Lee)という夢の島に住むオバケの竜をあつかったオトギ話の歌。ピーター・ヤローとレオナード・リプトンの書いたこの曲は、発売以来アメリカで大ヒット(’63年春)となり,彼等の人気をグリンニッチから、いきなり世界の3人組に祭りあげてしまいました。いかにもピーター達らしく、美しい楽想からなりたっている曲です。
▲ 花はどこへいった
世界の民謡ととり組みながら,相互の平和安全を願って今日も旅する、白人民謡界の神様ピート・シーガーのペンになる曲。2年前の春(’63年)アメリカに於て大流行し、現在再び日本でヒットしてきた曲ですが,一説にあるような,故ケネディ氏に捧げた曲でも、なんでもありません。美しい花も、少女も、少年も、皆宿命の中に生きている、といったピート
一流の香り高いバラードであります。
<B 面>
▲ 風に吹かれて
マウス・オルガン(ハーモニカ)をくわえ、ギターを弾き、いかすモダン・フォーク・ソングを作り、ステキな声して歌う若き民謡家(今年23才)ボブ・ダイランの作詞、作曲になる美しいフォーク・バラード。ピーター達3人組の歌で、昨年の夏に大ヒットしておりました。戦争をニクミ、世界平和を願う心が力強く歌われております。
▲ ドント・シンク・トワイス
こちらも前作と同じボブ・ダイランのペンになる曲。フォーク・ソングには度々見られる男女の別離をあつかったもので、別れゆく男の気持ちを描いております。非常に感情のこもったコーラスが,その切なさをいっそうあわれにきかせておりますが、これなど、彼等のもっとも得意とするフォーク・フィーリングでありましょう。
パフ ピーター・ポールアンド・マリー