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 歌の中に、その人の人間的な香りを、人間としての訴えを表現できる歌手。レイ・チャールズは、まさにそんな歌手といえます。
彼の歌には、彼自身の全人格と、彼自身の真実な叫びがあるのです。だからこそ、小さい子供から、老人までが、レイ・チャールズの歌に感動できるのではないでしょうか。
 レイ・チャールズの主演映画「星空」は、そんなレイ・チャールズを、そのまま映画にしたような佳作ですが、その映画の主題歌でここにお届けする「星空のバラード」も、映画と同じようにたいへん美しいものです。映画の内容は、歌手レイ・チャールズが、ロンドンの盲学校で知ったデヴィッドという盲目の少年と友だちになり、やがて、その少年に眼の手術を受けさせるといったもの。この間に、少年とレイとの友情。レイの少年の母親への好意。少年の母親の恋人の作曲家を認める話など、いくつかのことが描かれています。この映画は、もちろん、レイ・チャールズ主演の最初の映画です。

■レイ・チャールズについて


レイ・チャールズ自身のことに触れておきますと、彼は1932年9月23日、ジョージア州アルバニーの生まれで現在32才。盲目といっても、生まれつきではなく、6才のときの病気が原因だったといいます。不幸は重なって、その数年後には、次々と両親を失ない、全くの孤児となって、フロリダ州れセント・オーガスティン盲学校に送られました。ここで彼が教えられたのが、ピアノでした。初めから非凡な才能を見せたレイは、15オのときには、その盲学校を出て、ピアニストとしてフロリダ周辺のクラブで働くようになったのです。当時の彼のスタイルは、かってのナット・キング・コールのトリオのようなジャズ・コンボでした。そして、4、5年もたつと、今度はレコード界にもデビュー。マイナー・レコードから、2、3枚も出した後、52年には、アトランティック・レコードと契約。以来、リズム・アンド・ブルース系の歌手としてスタートしたのです。「ハレルヤ、アイ・ラブ・ハー・ソー」や、「ホワッド・アイ・セイ」などは、52年から59年までのアトランティック時代のヒット曲。59年に、レイは、ABCパラマウントに迎えられて、単なるリズム・アンド・ブルース歌手以上の成長をとげました。「ジョージア・オン・マイ・マインド」「愛さずにいられない」など、彼のABCバラマウントでのヒット曲です。レイ・チャールズ自身、ステージの歌手であって、ヒットパレード的な歌手とはいえませんが、「ホワッド・アイ・セイ」と「愛さずにいられない」と、2枚のミリオン・セラー・レコードを持っています。リズム・アンド・ブルースでも、カントリー・アンド・ウェスタンでも、ジャズでも、全てが、レイ・チャールズを通すと、彼の歌になってしまうのは不思議なくらいです。そして、それこそ、レイ・チャールズが「魂を歌う人」といわれる理由なのでしょう。

星空のバラード
ホワッド・アイ・セイ

歌 レイ・チャールズ