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先日、知人から電子メールをもらった。その中で思わず「うーん…」と唸ってしまった部分があった。前後は省略するがその部分とは
創作においては、読者にどこまで歩み寄るか、自分をどこまで残すのか、というジレンマが、方向性の決断を鈍らせる。 しかし、もし道を間違えても必ず戻ってくる。 |
私は、この短い文章のなかに、プロ意識を見た。つまり、プロとしての自分を見失うことなく、読者をどれだけ楽しませることがで出来るか、プロならではの究極のジレンマとバランスがそこに存在する。プロゴルファーの「タイガーウッズ」の好きな言葉は「バランス」という言葉だそうだ。彼は「僕の人生で一番難しいことは、バランスを保つことだ」と言っている。「ドライブ イズ ショー、パット イズ マネー」という言葉がプロコルファーの世界にある。勝負どころのティーショットでは一番飛ぶドライバーで派手に打って、ギャラリーを沸かせ「ショー」を演出する。つまり、「読者にどこまで歩み寄るか」なのである。しかし、パットは神経を研ぎすまし、自分自身の為の一打である。言ってみれば「自分をどこまで残すか」と言えないだろうか。そこにプロとしてのバランスを見ることが出来る。
元女子テニスプレーヤーで「伊達公子」という選手がいる。私の個人的な評価においては、日本人としてアスリートの最高峰に位置している。彼女は、WTAランキング世界4位までのぼりつめた輝かしい実績を持ち、フェド杯で女王グラフを破り、ウィンブルドンでは準決勝進出。文字どおり世界のヒロインとなった。殺到する取材依頼とコマーシャルへの出演要請というトップアスリートとしての洗礼を受けた。しかし彼女は「グラフなんかとちがって、常に100%の力を出さないと、相手が20〜30位台の選手でも負けてしまう。それなのにある程度の成績では満足してもらえなかった」と言っている。プロとしてファンの期待に応えたいという気持ちは「勝つ為に試合に集中したい」と記者会見を断って「生意気だ」と非難された。しかし私は、ここに彼女のプロ意識をみた。記者会見や取材はを拒否し、勝つことによってファンの期待に応えたいという考えは、プロとしての自分を見失っていない。バランスを保っていた証明でもある。そんな彼女が、キャリアの頂点で突然の引退を決意したのは、「女子テニス協会(WTA)」が97年から出場試合数をを増やすほど順位があがる新ランキング制度の導入を決めたことにあった。日本人を排除しようとする新システムに、純粋なプロとしてのバランス感覚以外の政治的な力が働いたことに失望したのかもしれない。
ともあれ、知人からのあの「短い文に凝縮されたプロ意識」に考えさせられたことであった。
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2009・09・27 西日本新聞 |
韓国オープン 伊達が決勝進出・ツアー13年ぶり |
[ソウル共同]女子テニスの韓国オープンは26日、ソウル五輪公園テニスコートで行われ、シングルス準決勝でクルム伊達公子(エステティックTBC)は大会連覇を狙ったマリア・キリレンコ(ロシア)に3−6、6−2、6−4で逆転勝ちした。クルム伊達がツアー大会で決勝に進出するのは、1996年8月のトーシバ・クラシック(米サンディエゴ)で優勝して以来。 世界ランキング155位のクルム伊達は、第1セットは同54位キリレンコとの打ち合いに競り負けたが、第2セットは一方的な試合運び。最終セットは5ゲームを先取した後、4ゲームを返されたが、追撃を振り切った。 27日の決勝で第2シードのアナベル・メディナガリゲス(スペイン)と対戦する。 |
2009・09・28 西日本新聞 | ||||||||||||||||||||||||||||
伊達13年ぶりV・・・38歳、女子テニス | ||||||||||||||||||||||||||||
[ソウル共同]女子テニスツアーの韓国オープンのシングルス決勝が27日、ソウルで行われ、昨春に現役復帰したクルム伊達公子(エステティックTBC)=世界ランキング155位=が第2シードのアナベル・メディナガリゲス(スペイン)=同23位=を6−3、6−3とストレートで下して、13年ぶりのツアー8勝目を挙げた。 28日が39歳の誕生日のクルム伊達の制覇は、ビリー・ジーン・キング(米国)の39歳7か月のツアー最年長優勝に次ぐ記録となった。 |
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伊達「あきらめず挑戦」・・・13年ぶり優勝 | ||||||||||||||||||||||||||||
[ソウル共同]女子テニスツアーの韓国オープンは27日、ソウルの五輪公園テニスコートで行われ、シングルス決勝で世界ランキング155位のクルム伊達公子(エステティックTBC)が同23位で27歳のアナベル・メディナガリゲス(スペイン)を6−3、6−3で破り、1996年8月のトーシバ・クラシック(米サンディエゴ)以来13年ぶりにツアーを制し、日本人選手最多の通算勝利数を8に伸ばした。 昨年4月に現役復帰したクルム伊達は28日が39歳の誕生日で、83年に39歳7か月で勝ったビリー・ジーン・キング(米国)に次ぐ年長でのツアー優勝となった。賞金3万7千ドル(約333万円)を獲得し、世界ランキングは100位前後まで上昇する見込み。 かつて活躍した1990年代よりスピードもパワーも進化した今のテニスにクルム伊達は適応し、一度現役を退いた96年以来のツアー制覇を成し遂げた。「復帰後、初めての優勝で信じられない。ツアーでは勝てそうで勝てない試合が続いたが、あきらめずにチャレンジした」。顔には興奮と喜びが満ち溢れていた。 サーブのスピードでは劣っても、ところ狭しとコートをカバー、巧みなショットで相手の不意を突いた。第2セット第2ゲームを0−40から粘ってキープし、続く第3ゲームをブレーク。前週の大会で敗れた第2シードのメディナガリゲスに雪辱を果たした。 「けがなく夫のサポートがあれば、あと2,3年やりたい」と来年も現役を続ける意向だ。 |
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2010・05・26クルム伊達(世界72位)、全仏オープンで14年ぶりに白星 |
前年準優勝の世界9位サフィナを逆転撃破・・・・今月初め右ふくらはぎに軽い肉離れを起こし、治療を受けていたクルム伊達だが、女子シングルス1回戦で3−6,6−4,7−5で逆転勝ちした。相手は2年連続準優勝で第9シードのディナラ・サフィナ(世界9位)。クルム伊達は、右ふくらはぎに厚いテーピングをしていたが、最終セットでは顔をゆがめながらも、相手を翻弄し勝利した。39歳のクルム伊達はもちろん今大会女子シングルスでは最年長。四大大会での勝利は1996年のウィンブルドン以来14年ぶり。39歳という年長での勝利は全仏のこの種目では2番目の快挙である。2年前、12年ぶりに復帰した伊達だが、今や日本のトップとして君臨している。それにしても、世界9位に自分のテニスをさせず、ライジングショットで翻弄した見事な試合と精神力に拍手を送りたい。 |
2010・09・24 クルム伊達「東レ・パン・パシフィック」に主催者推薦で出場 | ||||||||||||||
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2011/06/23 伊達、ビーナスに惜敗 |
テニスの4大大会“ウィンブルドン選手権”で伊達が、惜敗はしたものの、元世界1位に大拳闘した。40才の伊達は、この試合の女子シングルス1回戦で、15年ぶりの勝利をあげた。この勝利は1968年以降ウィンブルドンで2番目の年長勝利者となった。そして2回戦では、もと世界ランキング1位、過去5回の優勝を誇るビーナスとの対戦である。その試合ぶりは、積極性にあふれ、相手のショットを読む見事なプレーが大歓声を呼んだという。 堂々の戦いぶりをした伊達はこうコメントしている。 「きょうはとてもいい戦いができた。・・・自分のテニスができてとてもハッピーだ」 一方、苦戦を強いられたビーナスのコメントはこうだ。 「彼女は攻撃的だった。すべてのボールをベースライン際に打ち、何もかもよかった」。 |