南シナ海・中国の主権認めず 随筆のページへ

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File No.160713
7月12日、中国が南シナ海で主張する主権や権益に対し、オランダ・ハーグの仲裁裁判所の司法判断が下った。昨日は早速フジの「プライムニュース」と、日テレの「深層ニュース」でこの問題を取り上げていた。
今回の司法判断は次の通りである。
1、 中国が「歴史的権利」として主張する「九段線」について国際法上の根拠は認められない。
2、 南シナ海における岩礁について、島として認めない。(低潮高地か岩)
3、 フィリピン船への危険な行為や環境破壊など、南シナ海での中国の活動は、国際海洋法条約に違反している。
4、 中国は島々の開発について、当事者同士の紛争が悪化するのを防ぐ義務を果たしていない。
以上のように、中国の主張は完全に否定された。南シナ海の領有権争いについて、初めての国際的な司法判断である。これに対する不服の申し立てはできず、この判断は確定し拘束力を持つ(但し、強制力はない)。中国は「歴史的」と主張するが、2009年から突然「九段線」を言いだしたという。石油資源があると分かったら、突然尖閣諸島の領有権を主張し始めたのと似ている。
中国は以前から「仲裁裁判所の判決が出たとしても、それは紙くずに等しい」とか「空母を南シナ海に10隻並べても、中国はびくともしない」など、暴言に次ぐ暴言を吐き続けてきた。司法判断後も「仲裁裁判所には管轄権はなく、判断は無効で、中国は受け入れない」、「南シナ海における中国の領土主権と海洋権益は仲裁裁判所の決定に何の影響も受けない。また、決定に基づく行動や主張についても一切従わない」などと国際規範など完全無視である。それどころか「仲裁裁判所自体が違法である。裁判自体が国際海洋法に違反している。これに反対することが、既存の国際海洋法のシステムを守ることに繋がる」とのたまう。我々からは信じがたいような毒を吐く。中国はそういう国だと思いながらも、この無法振りはあまりにひどい。もっとも南シナ海も東シナ海も、中国のものだと国内に宣伝し続けてきたため、今更、裁判所の判断に従えない事情もあるという。司法判断に従えば、政権がもたないらしい。
今回の仲裁裁判は、スタート時点から中国は提訴の中に入っていなかった。国際裁判所で審理すれば不利だとわかっていたから、はじめから逃げていたのである。そこで、日本の領土である「竹島」の問題を思い出す。まず南シナ海での中国の無法ぶりを改めて挙げてみよう。(1)勝手に九段線を引いて領有権を主張。(2)岩礁を軍事基地化。(3)国際裁判所で審理すれば負けると分かっているから逃げる。さて次に韓国の竹島における無法ぶりを挙げてみよう。(1)韓国は勝手に「李承晩ライン」を引き、韓国の領有権を主張。(2)竹島に軍隊で訓練を受けた実力組織を置いている。(3)国際司法裁判所で審理すれば負けるので逃げている。戦争して勝ち取ったものなど無い韓国だから、せめて泥棒したものを自分のものにする。韓国も無法者・中国と大して変わらない。中国にゴマをすってきた韓国だが、アメリカとの板挟みで、北朝鮮のミサイル発射を言い訳にして、米軍基地へのTHAAD導入に踏み切った。今後の中・韓関係はどうなる事やら。
南シナ海で起きていることは、東シナ海でも必ず起きる。中国海軍の軍艦が日本の領海を侵犯し、尖閣諸島への侵入は日常茶飯事である。これに対応する切れ目のない安全保障体制が整備されたが、最終的には現状に合った憲法改正が必要だ。それが立憲主義である。今回の参院選で改憲派が3分の2の議席を獲得、憲法改正が現実味を帯びてきた。安定した政治基盤の下で、しっかりした改憲論議を期待したい。しかし、もう何年もの長きにわたって、改憲の必要性は言われ続けてきたが、今だに世論調査では「分からない」という人がかなりいる。分からない理由が分からない。また、「改憲しない」という人には、なぜそう思うのかを問うてみたい。「今まで平和だったから必要がないのではないか」とか、「今の憲法があるから平和だった」などといった“しょうもない答え”が返ってきそうだ。国際法など無視する無法国家が隣に居る。米国の軍事力の変化も気がかりだ。国民に、国を守るということを、真剣に、リアルに訴え、合意を得たい。


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2016/07/22 中国・南シナ海を“爆撃機”で哨戒飛行
中国は、南シナ海のスカボロー礁上空を爆撃機などで哨戒飛行したと発表した。今後、南シナ海での哨戒飛行を常態化させるという。発表によれば核ミサイルを搭載できる最新鋭のH6K爆撃機のほか、戦闘機や偵察機なども参加した。これは制空権を確保するための「戦闘空中哨戒」の実施だという。中国は、ハーグの仲裁裁定を無視し、今後も人工島造成は計画通り進める意向である。
一方、2国間協議を持ちかけられたフィリピンは、「フィリピンの憲法や国益、国際法のルールにそぐわない」と拒否した。これに対して中国は「仲裁裁定に沿った議論なら、敵対することになるだろう」とフィリピンを脅したという。