上原ひろみ・米チャート1位
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File No.160427

今月(4月)アメリカで発売された上原ひろみの「SPARK」が、全米ビルボード・ジャズ・チャートで、初登場1位、トラディッショナル・ジャズ部門でも1位になった。彼女は、これまでもグラミー賞の受賞や、ジャズ専門誌「ダウンビート」で表紙を飾るなど着実にその存在を示してきた。今回の日本人アーティスト初の快挙に上原ひろみはこうコメントしている。「2003年のアメリカ・デビューから13年間、作品創りとライヴ活動を地道に続けてきた結果が、こういう形に繋がり、応援してくださった皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。今年も、世界津々浦々、音楽の冒険の旅を精一杯頑張ります」。彼女は一年の半分は、世界中を回ってコンサートをしている。彼女の言う「音楽の冒険の旅」こそが、天才的な才能、圧倒的な実力を持つ彼女を、更なる未知のステージへと向かわせる。一つのステージへのエネルギーが、新たな上原ひろみの基層を形成する。それを積み重ねていった延長線上に、一つの通過点としての全米ビルボード1位がある。

今回の「SPARK」も前回の「MOVE」と同様、全曲上原ひろみのオリジナルで、演奏もザ・トリオ・プロジェクトである。前作の「MOVE」は、朝の目覚めから一日の終わりまでを、時間の流れに沿って表現していた。今回の「SPARK」は、ヒトの心の奥まで踏み込んでいる。生きていく上で、誰もが経験する精神的な強さや弱さ、迷いや決断を表現する。それは卓越した才能を持ちながらも、彼女が歩いてきた道なのだろうか。1曲目の「SPARK」で"心を突き動かす衝撃"を表現し、道に迷いながらも、「WANDERLAND」へ辿りつく。だが時間は止まり、ジレンマに陥る。そして運命を切り拓き、9曲目の「終わりよければすべてよし」で物語が終わる。そんな流れを意識しながらも、私はただただ上原ひろみが、異次元を浮遊しながら奏でる、音のシャワーを浴びる。難しい音楽的なことは分からない。だが寄せては引く音の波に身を任せる心地よさがある。最後の「ALL'S WELL」が、上原ひろみの今であり、未来への想いなのかもしれない。

1985年タモリさんはマイルス・デイビスにインタビューをしている。マイルスは「お前は俺の音楽をよく聴いている」とサインしてくれたという。さすがに「モダンジャズ研究会」から数十年の歴史は伊達ではない。先日、福岡市美術館で「日展」が開催された。左の絵葉書は、そのときの出品作品、佐藤哲氏の「マイルスによせて」である。佐藤氏は作家のことばに「ジャズの音を演奏者から受ける印象を画面で表現するのは至難の業である」と書いている。しかし実にアメリカ的雰囲気、ジャズ的雰囲気を感じる。特に私が注目したのが、サックス奏者の顔の後の壁が、真っ白で空白になっているところだ。雑誌「SWITCH」(Vol.33 No.5)によれば、マイルス・デイビスが、コードを単純化したことによって、ジャズメンに、より多くの技量と想像力、アドリブ力が必要とされていったとある。空白の部分は、ジャズメンが自分の技量のすべてを出し切るアドリブ演奏部分ではないかと解釈した。そこにこそジャズのジャズたるところがあり、表現としては「空白」しかないのかもしれない。

雑誌「SWITCH」(2015年5月号・Vol.33 No.5)の特集は「ジャズタモリ」だった。ジャズという音楽を通した人生の生き方、在り方など、人間・タモリさんを深く掘り下げていた。この中でタモリさんは大学時代の先輩・菅原さんの経営するジャズ喫茶「ベイシー」を訪れる。このとき菅原さんが最初にかけたのが「ザ・ビギニング・アンド・ジ・エンド」だった。この演奏にはタモリさんもかなり気に入って、感動していたという。これは天才トランペッター、クリフォード・ブラウンの初レコーディング(1952年)2曲と、この世を去る1年前(1955年)のジャム・セッション3曲を収録している。初レコーディングの思いもよらないブラウンと、円熟した見事な演奏が対比される。菅原さんは「あの若さで、プレイはまるで60歳を過ぎているようです。パーフェクトな演奏で、非の打ちどころがない」と話す。クリフォード・ブラウンが、天才トランペッターとして活躍した時間はわずかだった。ファンとして「ドナ・リー」の演奏が終って「クリフォード・ブラウン!」という紹介と拍手が実にせつない。


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雑誌「SWITCH」2015年5月号・・・特集「ジャズタモリ 上原ひろみ 「MOVE」 (2012年9月)

テレビ朝日系で「Qさま」というクイズ番組が放送されている。この中で「下剋上」というコーナーがある。ここでは1〜3位の中の一人と、脱落候補の下位3人だけに回答権がある。下位3人の中の人が正解すると、1〜3位の人と無条件に順位が入れ替わる。場合によっては優勝候補すら脱落する。文字通り過酷な下剋上だが、納得いかないコーナーでもある。ここでは上位3人の誰が選ばれるかが問題である。MCがクジ引きで箱の中から取り出した1〜3の順位の人が、下剋上の対象となる。ところで私は、このクジ引きで取りだす数字を、これまではほぼ90%以上当てている。と言っても予知能力などの特殊能力ではない。上位3人の顔ぶれから判断して言い当てている(あくまでも状況判断である)。ちなみに前回の放送でも「下剋上」と「教科書ドボン問題」を、どちらも言い当てた。ただ過日放送された地方局の女子アナの時は、判断材料がなく予測が出来なかった。