戦後70年・安倍談話 随筆のページへ

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File No.150815
私は終戦直後に生まれた。第二次大戦後に育ったという意味で、純然たる"戦後派"である。そんな私がもはや70歳にならんとしている。まさに戦争を知らない世代が、私たちから始まった。いまやその世代が日本の80%を占めるまでになった。戦後70年の節目の年、やはり何らかの形で、これまでのあり方から脱却し、新しい未来に向かって進むべき時期に来たと言える。そんな今年、終戦の日を前に、安倍首相は談話を閣議決定し発表した。安倍首相の「できるだけ多くの国民と共有できる談話づくりを心がけた」という発言に腐心の様子が伺える。相当前からその内容について国内外から注目を集めていた。同盟国アメリカには、事前に了解を得たと聞くが、発表後、右翼も左翼も中国も韓国も、一言一句を微に入り細にわたり検討したことだろう。私も各メディアから情報を得て、ある程度は把握したつもりだ。その内容は「内外に配慮をしながらも、主張すべきは主張した」という印象を受ける。

『・・・国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、わが国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持・・・・』。反省の上に立った戦後日本の歩みがある。今回の談話のキーワードとして注目されたのが「侵略」「植民地支配」「反省」「お詫び」の四つである。侵略の定義は定まっておらず、お詫びはこれまで繰り返ししてきた。もし、村山談話と同じ内容なら、改めて談話を出す意味がない。しかし、内外への配慮から「侵略」や「お詫び」が盛り込まれた。結果として、そのキーワードが入ったことで、各方面からの受け取り方もやわらかくなったと思われる。アメリカは「戦後70年間、日本は平和や民主主義、法の支配に対する揺るぎない献身を行動で示しており、すべての国の模範だ」と、今回の談話を評価した。評価する気がないのは、相変わらず左翼新聞である。よくもまあこれだけ悪口雑言を並べ立てたものだ。さすが"中国・韓国にほめられたい症候群"、"中国・韓国へのゴマスリ症候群"の方たちである。

一方、その中国と韓国の反応はどうだったか。『繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました』というように、これまで日本は誠意をもって、お詫びしてきた。しかし、中国と韓国は、外交カードとしてこれを使い、どんなにお詫びしようとも、許す気などなかった。本来なら日中共同宣言と日韓基本条約で正常化されていたはずである。ところが両国ともその後の傍若無人な振る舞いは、国際的な良識を逸脱している。中国による東シナ海への進出をはじめとする、武力による現状変更の試み。韓国の世界遺産登録時の"だまし打ち"は記憶に新しいが、わが国の領土である竹島を侵略し自分の領土だと言い、盗んだものを返さない泥棒国家である。ところが今回の談話発表は、中・韓とも自国の都合で関係改善の方向にあったことが幸いした。中国は、批判はするが抗議はしないと、一定の評価をし、韓国も、歴代内閣の歴史認識を継承するということで一定の評価をしている。それは今回の談話が、実に巧妙につくられているということでもある。

今回の談話で一番重要なのは次の部分だと思う。『私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪を続ける宿命を負わせてはならなりません。しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責務があります』。戦後70年、日本はひたすら平和国家として、歩み続けてきた。中国・韓国は、自分の都合で、いつでも蒸し返してくるだろう。だが、日本の国益を失わせ続けた「村山談話」は、ここで区切りをつけ、未来に向け新たなスタートを切りたい。この謝罪外交という負のスパイラルは断ち切らねばならない。その責任は中国・韓国の、外交カードとして、謝罪させ続ける態度にある。これに対し毅然とした態度で臨みたい。今回の談話の内容は、安倍首相としては、本意ではないかもしれない。我々としても思うところはあるが、だがしかし半歩前進である。これが未来へ引き渡す基本の談話となる。


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2015/09/22 安保法成立
国民の生命と財産を守るための安保法が成立した。中国の海洋進出、北朝鮮の核・ミサイルなど、日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。日米同盟の強化、あるいは周辺国との密接な連携により抑止力を高める必要がある。安保法は、すき間のない日米防衛協力体制を構築し抑止力を高めることになる。

今回、衆参両議院で、それぞれ100時間を超える審議を重ねた。野党の対案などにも丁寧に対応した。無責任な野党は、強行採決させて、攻撃材料をつくるのが目的である。野党や左翼メディアの「審議が尽くされていない」という決まり文句は、賛成するつもりなどないということと同じ意味である。

野党・左翼メディアは、「性悪説」で出来ている。日本をよりよくするためなど考えていない。とにかく反対、何が何でも反対。日本を停滞させるために命がけである。今回も戦争法案などと無責任な宣伝をする。軍事力のバランスが平和を保つための基本である。軍事力のバックがあってこそ、外交が意味を持つ。

今回の安保法は、「新3要件」により、自国防衛のための厳しい歯止めがかけられている。日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合、日本の存立が脅かされ、国民に被害が及ぶことが明らかな事態での武力行使を規定している。しかも、国会の事前承認を必要としている。国民は、野党や左翼メディアの無責任な宣伝に惑わされてはいけない。