教科書検定 随筆のページへ

トップページへ

File No.150424

来年4月から中学校で使われる教科書すべてが、文科省の審査に合格した。当初、社会の教科書で何点か不合格だったようだが、修正、再申請の結果合格となった。今回は新検定基準による初めての検定である。教科書を作る指針となる学習指導要領の解説書も改訂され、政府の統一的見解や、最高裁判例などに基づく記述が求められた。この結果、竹島や尖閣諸島については「日本固有の領土」と明記され、竹島については「竹島を韓国が不法に占拠している」、尖閣諸島については「領有権の問題は存在していない」と記載された。領土に関する記述の量は2倍になったという。他にも戦後処理に関して「国家間の賠償などの問題はすでに解決済み」という日本の公式の立場なども記載されている。領土や国益についての日本の立場を教えることは、至極当然のことである。これまでは、どこの国の教科書か分からないバランスを欠いたものもあったが、ようやくまともな内容になったと言える。
「そこまで言って委員会」(2015/04/19放映)で、教科書検定問題を討議するにあたり、所功先生がこういう説明をされた。これを踏まえておくと、我々も理解しやすい。
『小学校、中学校は、義務教育ですから、そこで公平、中正な教育を行うためにどうしたらいいか。いろんな工夫がある中で、戦前の国定ではできない。しかし、全く自由ということも難しい。その中間の検定という制度。つまり民間がつくったものに、著しい間違いや偏りがないかどうかを文科省でチェックして意見を伝えて、民間の方が受け入れられるのであれば、直して合格に持ち込む。この在り方は決してベストかどうか分からないが、ベターなあり方だと思う。教科書無償配布ということは、国が買い取っている。毎年400億円超のカネが出されている。国費が使われている。それだけに国としても責任をもって検定する。しかし、今の憲法の下では自由であらねばならないことの兼ね合いで出来ている』
さて、朝日新聞をはじめとする左翼新聞・メディアの反応や如何に、である。少しだけ抜き出してみよう。「社会科の教科書は、国が自分の言い分を正解として教え込む道具ではない」 「どんな教科書を作るかは、出版社が判断することだ。国の検定は控えめにすべきである」 「韓国は抗議し、中国の反発も必至だ」 「教育への統制を強めた」 といった具合である。この怒りようからすれば、よほどこれまでが左翼に都合のよい内容だったとみえる。「竹島・尖閣が日本の固有の領土」などと、政府の統一見解を記載したのがお気に召さないのだ。ばっかじゃなかろうか。「バランスを欠く」と言うが、これまでの偏向教育を基準にするから、そう感じるのである。左翼にとって、正しい教科書とは、左翼思想を刷りこむのに都合のいい教科書ということだ。考えてみるに、左翼新聞・メディアを理解するには、「中国・韓国にほめられたい症候群」と思って読むと分かりやすい。
検定は終わったが、検定以上に重要なのが「教科書採択」である。今回から新しい制度の下での教育委員会が採択する。いじめ問題で明らかになったように、これまでは何とも情けない組織だった。教科書採択にしても、声の大きい日教組教員が推薦した教科書を、ただただ追認するだけということもあったらしい。それぞれの教科書をきちんと判断し、公平、中正の教育のために、教育委員会の責任において採択する。当然の責務である。ただし今回も、教員が調査員として、各教科を調査し、結果を教育委員会の判断資料にするという。しっかりした調査員を選ぶことができるかが問題である。左翼思想に凝り固まった日教組の教員など選んではいけない。あくまでもバランス感覚のある人物を選任してもらいたい。その辺は教育長や教育委員の任命・罷免の権限をもつ自治体の首長の器量も影響してくるだろう。教科書がまともになり、教育委員会が機能すれば、次は教師の教え方である。これまでのような相手の立場からだけの一面的な偏向教育から脱却しなければならない。


随筆のページへ トップページへ
(注)画像はすべて『そこまで言って委員会NP』(2015・04・19放映)からのものです。