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File No.150411

明日12日には統一地方選の前半戦の投開票が行われる。安倍政権が「地方創生」で、地域の活性化を推進する中での選挙である。予測によると、25年後には約半数の自治体に消滅の可能性があるという。少子高齢化で人口減少の流れは、かなり以前から叫ばれてきた。政府は地方創生の総合戦略を来年春までにまとめるよう地方自治体に求めている。その政策を支援するための交付金も配分される。交付金を生かすも殺すも、地方自治体の執行部と議会の能力次第である。これまでになく、地方自治体の能力が問われる時代になった。民間会社においては、右肩上がりの時代の年功序列型から、能力主義に評価基準が変わり、農業改革でも、それぞれの地域農協の能力が問われることになった。避けては通れない厳しい時代の流れの中で、市民は期待を込めて地方議員と首長を選ぶ。地域の抱える問題は地域で克服する。選挙戦では、相変わらず耳触りのよいフレーズが並ぶが、今我々が置かれている現実は、利益配分ではなく、むしろ「負担」の配分である。

「負担」の配分を、市民が受け入れるには、納得いく政治が前提であることは言うまでもない。ところが昨今聞こえてくるのは、政務調査費の不適切な使途、業者との癒着や収賄など、市民の期待を裏切るような報道ばかりである。去年、日本中が注目した兵庫県の元議員の政務費の不正使用では、市民団体などが刑事告発した。これでは市民の地方政治に対する不信感は募るばかりである。議員報酬や政務活動費が、結局、議員自身が次の選挙で当選する為の活動費に使われる。いや、そんな議員ばかりではない、必ずや市民の声を吸い上げ、執行部と渡り合うような議員もいるはず。と思いきや、議会では、チェック機能どころか、執行部の根回しで、ほとんどが原案通りに可決される。先日の新聞報道によれば、99.5%が原案通りの可決だという。しかも、今回地方選が実施される九州の議会のうち、9割は、議員提案による政策条例が無いという。これでは「地方創生」に期待できるわけがない。

糸島市の決算状況をみると、地方債残高の減少傾向、積立金残高の漸増など改善傾向が見られる。健全化判断比率では、一所懸命頑張っているという印象を受ける。とはいえ財政力指標0.51、経常収支比率87.4%など、決していい数字とは言えず、福岡県の中では真ん中付近に位置する。将来負担比率も改善傾向とはいえ依然として高い。先行き高齢化社会で、社会保障費の増加は確実にやってくる。自主財源の比率が低く交付金頼りの財政に、合併による交付金の減額という追い打ちがくる。先細りの自主財源を、どうやって上げていくかが問題である。莫大な税収の見込める企業を誘致すれば、一気に解消しそうだがそうはいかない。この状況下で議会はどう活動しているのか。市報の議会報告をみると、残念ながら意気消沈する。今年の2月の市報では相変わらず、一般質問のほとんどが「・・・について伺う」「・・どのように取り組むのか」といった、質問に終始している。これだと執行部は楽勝である。私はこの「一般質問」を「一般"的"質問」と称している。

糸島市議会の様子は、インターネットで配信されているので、誰もが見ることができる。今回の統一地方選は、糸島市は対象外だが、どこの市議会も似たようなものだろう。「・・・採決を致します。本案に対する委員長の報告は可決です」、「賛成議員多数です。従って議案○号は原案通り可決されました」のパレードである。このセレモニーと化した議会より、委員会の可決に至る討議のほうが聞きたい。ところがこの内容は、議事録が保管されるのみで、市役所に行って、申請して初めて閲覧できる。12月議会で唯一否決された議案がある。それは"議員の期末手当は引き上げない"という条例の一部改正議案の否決だった。本来なら有識者などで構成し実施している「糸島市外部評価」レベルの指摘を議会でするべきではないのか。執行部の方針を見直させ、協力して実行し、成果を市民に公開する。そうなれば市民に向かって、堂々と「負担」の配分も言える。我々はそんな議会を期待して一票を投じている。


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