古代史フォーラム
「伊都国から日本の古代を考える」
随筆のページへ

トップページへ

File No.150208

1月31日、糸島市の伊都文化会館において「伊都国から日本の古代を考える」という古代史フォーラムが開催された。テーマは「伊都国女王と卑弥呼〜王権誕生の軌跡を追う〜」。魏志倭人伝には、伊都国に「世々王あり」と書かれている。日本の国家の夜明けに、伊都国は大きな役割を果した。だからこそ、このテーマが成り立つ。古来より糸島は、地勢的に大陸の政治・経済・文化の窓口であった。吉武高木の王の流れを汲む伊都国は、三雲南小路の王、井原ヤリミゾの王、弥生時代終末期の平原の女王へと連綿と続く。三雲南小路2号棺の女性は1号棺のイト国王の近親者にあたる紀元前1世紀後半の巫女王だという。さらに井原ヤリミゾ遺跡の1世紀後期前半、女性首長墓で占められている。この歴史を平原の女王が受け継ぎ、祭祀を司る巫女的存在は確立される。平原の巫女王が、卑弥呼に近い存在だったとする考えに無理はない。そういう伊都国の豊かな歴史を踏まえれば、近畿地方に唐突に現れた、北部九州の葬送祭祀を継承する王権は、伊都国の歴史的意義を一層強いものにする。

柳田康雄先生(元國学院大学・教授)は「金印」について、こう述べられている。『後漢の光武帝から57年に下賜された「漢倭奴国王」の金印は、「かんのわどこくおう」と読み、「奴」を「匈奴(きょう)」の場合と同じと考えると「倭奴国王」は倭国王と理解することもできる。考古学的には、福岡平野は後漢鏡の出土が糸島平野に劣っている』。私も以前こんなことを書いた。「威信財としての鏡など、この吉武高木の文化を、三雲南小路や須玖岡本の王たちが継承した。つまりこれは三雲南小路の王は、吉武高木に続く系統の家督相続者ではなかったか。また須玖岡本の王は、三雲南小路の分家ではなかったろうか。三雲と須玖の間に軍事的な緊張の痕跡はなく、関係は良好だったようだ。伊都国は、三雲の王以後、井原、平原と代々続く一方で、須玖岡本の王の系列は、その後の有力な首長墓の発見はなく途絶えている」。三雲南小路1号棺出土の直径27.3cmの大型鏡(重圏彩画鏡)や金銅四葉座飾金具は、中国の皇帝から下賜されたものである。伊都国の王が、倭奴国王として君臨していたとすれば、「金印」が伊都国王に贈られたと考えるのが自然である。
パネルディスカッション


内行花文鏡
数百年にわたる伊都国の歴史によって確立された北部九州の祭祀は、東征により古墳時代の祭祀として受け継がれていく。その顕著なものとして銅鏡文化がある。平原遺跡から出土した直径46.5cmの内行花文鏡は、今に続く三種の神器のひとつとして、伊勢神宮に受け継がれている。かつて平原遺跡の内行花文鏡と伊勢神宮の神鏡について、原田大六氏はこう考察されたという。『平安時代の「皇太神宮儀式帳」や「延喜式」大神宮式などに記されている大鏡に関する情報から、その条件に合致するものは、平原弥生古墳出土の超大型内行花文鏡以外に存在しない』。それは「皇太神宮儀式帳」に、神鏡を直接包む御桶代の内径が49cmと記されていること。「伊勢二所皇太神宮御鎮座傳記」「造伊勢二所太神宮寶基本記」に、神鏡は8頂点を伴う花形と八葉の図柄をもち、中央に円座を備えた鏡であると記載されていることなどが根拠になっている。三種の神器自体、吉武高木から始まる北部九州の文化だが、大鏡についてはいえば、誰がどうみても伊都国の内行花文鏡そのものである。

平原王墓の太陽信仰による葬送の祭祀が、近畿の纏向遺跡の祭祀と密接な関連性が認められるという。柳田康雄先生は、平原王墓の、主体部、大柱、日向峠が直線上に並ぶことで太陽信仰との関係を指摘する。平原王墓の東15mの大柱穴に立てた柱が、日向峠に昇る太陽の光を受けて、埋葬された女王にまっすぐ影を落とす。一方、纏向遺跡においても、王宮と推定される大型建物群が、太陽や周辺の山並みとの位置関係・方向などに密接な関連が認められ、それは初期の前方後円墳にまで及んでいるという。つまりこの点でも伊都国の祭祀が古墳時代へと受け継がれていったことを示している。こういったことから伊都国の存在が、日本の古代国家形成に大きな役割を果たしたことは間違いがない。その存在の大きさは、魏志倭人伝の記載でも分かるように、大陸においても認識されていた。国家の誕生は一日にして成らず。伊都国が300年かけて作り上げてきた国家の萌芽は、飛鳥、奈良、平安時代へと大きく花開いていく。
平原王墓・中心主体部
(糸島市教育委員会)


随筆のページへ トップページへ

2015・02・11 テレ朝「報道ステーション」・BPO「倫理違反」
放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は、テレビ朝日の「報道ステーション」の番組を「放送倫理違反」との意見を発表をした。倫理違反とした放送は、昨年9月10日、原子力委員会の田中委員長の記者会見を放送したもの。詳しくは過日アップした下記内容を読んでほしい。BPOは「客観性と正確性を欠き、放送倫理に違反している」と判断した。
(2014・12・16)朝日新聞の報道は、誤報ではなく「ねつ造」である。「慰安婦問題」と「福島原発の吉田所長に関する報道」は、虚偽と知りながら、あるいは事実を歪曲して報道している。この思想をそのまま反映させているのが、テレビ朝日の「報道ステーション」である。この番組では9月、川内原発再稼働に伴う原子力委員会の田中委員長の発言を、故意に歪曲して報道した。それは竜巻に関する発言を、周辺の火山に対する発言のように編集し、委員長の大部分の発言を省いて、あたかも回答を拒んだように編集したのである。朝日新聞の本質は、そのまま「報道ステーション」の本質であり、それは日本を健全にするための批判ではなく、日本を貶める、あるいは政権の足を引っ張るための報道である。