辛坊治郎氏・講演会 随筆のページへ

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File No.141106

11月4日、アクロス福岡(福岡市天神)で開催された「辛坊治郎氏・講演会」を聴講してきた。この講演会は、日見子が応募していたもので、運よく参加証が送られてきた。参加証を見ると、2名参加できるとなっている。図らずも「たかじんのそこまで言って委員会」のあの辛坊さんの講演が聴けることになった。辛坊さんの人気は大変なもので、今回1800名以上の応募があったという。会場も大きなシンフォニーホールに変えたそうだが、当日は1000名を超える人が会場に詰めかけ、座席もぎっしり埋まった。講演会のテーマは「これからの日本経済の展望」だった。「立て板に水」とはこのこと、巧みな話術で我々にも分かりやすく、2時間近くの講演は、あっと言う間に過ぎた。講演は冒頭から『これからの経済など、誰にも分からない』と一撃をくらったが妙に納得した。結局、三井不動産の提供でもあり『永遠の価値のあるもの。不動産が未来を助ける』という結論だった。

講演の内容は多岐にわたった。なかでも興味のあるのは「経済」である。今、株価が急騰している。これは今月初め、黒田日銀総裁が「デフレ脱却に向けた日銀の揺るぎない決意」として、さらなる金融緩和を打ち出したことが大きい。これと同時に年金の株式運用の比率を大幅に引き上げたことも影響している。積立資金が130兆円ある。これまで株式運用の規定が12%だったのが、今後25%に倍増し、最大34%までできるという。しかし、これも目先の刺激策であって“ヘリコプターマネー”には当然限界がある。問題は本質的な実体経済がついてくるかどうかである。アメリカは先日、実態経済が改善されたことで、量的緩和を終了させた。日銀は今"祈るような気持ち"でいるらしい。一方、安倍政権は、株価が安定している限り大丈夫だという。ところが朝日新聞などの反日左翼が、汚い手で引きずり降ろそうとしている。新聞で一番信頼のおけるはずの"経済欄"まで動員して「Sell in May」で株価を下げようとしたという。やっぱり反日左翼は腐っている。

辛坊さんといえば「海難事故」が記憶に新しい。当然その話も出た。内容も海難事故時のなまなましい状況と、その時の心情の変化、葛藤など、講演会ならではの話を聞くことができた。結果は知っての通り、自衛隊員の決死の救出劇によって"二人とも助かる"という最良のかたちで終わった。辛坊さんいわく『私が生きているのを何千人、何万人という人たちが支えてくれている。生きているんじゃない。生かされているんだ』と思ったという。私も母の死後、いろんな手続きをしているうちに同じことを思ったことがある。不動産登記、住民票、戸籍、社会保障など、あらゆる手続きをしたのだが、すべての手続きが問題なくきちんと終わった。特に戸籍謄本などは、江戸時代終わり頃からの戸籍がきちんと記録されていた。ひとりの人間が生きるということには、こうして多くの人が関わってくれている。日本ではこういったことが、整然と行われている。辛坊さんが事故後の会見で「この国の国民でよかった」と言ったが、本当に我々はいい国に住んでいるのだ。

辛坊さんは「消費税は12月に必ず10%に上げる」と話す。三党合意で決まったことを、法律を変えてまで止めることはないという。たしかに素人考えでも、上げないことのリスクの方が大きいように思う。もし上げなければ、国際的な信用を失うことにもなりかねない。財政健全化に向けて、膨大な債務をどうするのか。景気回復対策は、我々にも目に見える形で行われている。しかし、財政健全化に向け、歳出カットなどの話は一向に聞こえてこない。政治資金収支報告書に記載されている「ネギ60万円」「じゃがいも100万円」などは、スーパーの安売りで買い物している我々の倹しい生活からは想像もできない。歳出カットなどは、はっきりした具体策を示してほしいものだ。全体の状況から考えて、消費税を上げることに反対はしない。ただ納得のいく、しっかりした対策が必要である。今回の講演会を聴講して、辛坊さんのように、深い知識のある人が、我々素人にも分かるように話をしてくれると、それまで単語だった知識が、文章として繋がってくる。


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