パラレル宇宙
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パラレル宇宙とは、我々が見ている宇宙とは全く別に存在する宇宙である。このパラレル宇宙の存在について、いくつものケースが予言されている。一つは「無」から宇宙が誕生したというものだ。空間も時間も存在しない「無」の世界に、エネルギーだけが存在し、ゆらいでいた。エネルギーは質量に転換できる。それによって粒子の対生成と対消滅が繰り返される。同じように「宇宙」もまた「無のゆらぎ」の中で生成と消滅を繰り返していた。その中のいくつかが、インフレーションによって宇宙となった。さらに、そのインフレーションの中の泡が、新たな宇宙を生み出し続けているという。宇宙には、我々が観測できないだけで、無数のパラレル宇宙が存在しているのである。
ブラックホールの奥底では、すべてが一点に凝縮してしまう。ところが、これを一般相対性理論で計算すると、分母が"ゼロ"になり、数式上計算不能になるという。この矛盾を解決したのが、超弦理論である。超弦理論では粒子は点ではなく、輪ゴムのような"弦"であるとしている。この弦は長さのある"ひも"であり、点ではないから、数式で無限大にはならない。さらに、その弦が膨大に集まって膜(ブレーン)をつくっているとすれば、ブラックホールの奥底の謎の"熱"も計算できるという。今、超弦理論と、それから派生したブレーン宇宙論が、有力視されている。「ブレーン宇宙論」でも、高次元空間の"先"には、別のパラレル宇宙(別のブレーン)が存在するかもしれないという。それが存在しているのは、我々の目の前、余剰次元方向のほんの0.01ミリ程度先かもしれないのだ。
今回の特集の中で、特にひかれたのが「量子論の多世界解釈」である。これでは無数のパラレル宇宙を予言している。その解説にはこう書かれていた。
『多世界解釈では、サイコロを振ることに似た「確率に支配された現象」の結果が出るたびに、世界(宇宙)が枝分かれしていくと考えます。・・・・・時間が進むにつれ、可能性の数だけさらに枝分かれしていく、と考えることができるわけです』『量子論によると、原子核の崩壊のようなミクロな現象は確率に支配されています。多世界解釈では、崩壊が実際に観測されたとしても、崩壊が起きなかった世界も、どこかに実在しているとのだ考えます。この考えを拡張すると、宇宙はこのような現象が起こるたびに、どんどん枝分かれしてふえていっていることになります』
確率50%で事故が起きるとする。その場合、事故が起きた世界と、起きなかった世界に枝分かれするというのだ。「人生とは選択の積み重ねである」と言うが、まさにその両方の世界が出現するのである。かつて私は次のように書いたことがある。
人の命でさえ実に簡単に扱われている。あたかも、今見ている世界は、物質(A)と反物質(B)の関係のごとく、普通だったら(A)、(B)同時に消滅するはずだが、場合によっては(A)が残るから(B)は消えてもいい、とでも言いたいような扱いなのである。もしそうだとすると、B世界における「死」とはどういうものなのか、ますます興味が湧く。(2011/07/07)
これは私が実際に体現し、感じ取ったことである。まさに「多世界解釈」そのものである。だが、人生悪いことばかりではない。多世界解釈では、一度の人生で、無限の人生が歩めるのである。


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科学雑誌「 Newton 」

2014年5月号

特集「パラレル宇宙論」
    〜並行宇宙は無数に存在する!