マレーシア航空370便 随筆のページへ

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File No.140318
マレーシア航空380便(以下、MH370便)が消息を絶って10日が経った。MH370便は、3月8日午前0時40分、クアラルンプール(マレーシア)から北京(中国)へ、乗員・乗客239人を乗せて飛び立った。その約40分後、マレーシアの管制官からベトナムの管制域に移ることを告げられる。これに対するMH370便の副操縦士からの「了解。おやすみ」が地上との最後の会話となった。MH370便は、救難信号などの発信はないまま、予定のルートを大きく外れ、インド洋方面へと舵を切った。ようとして消息を絶ったMH370便。マレーシア政府の要請に応えて、国際協力のもと26か国が捜索に当たるも、今だ手がかりは掴めていない。
(尚、上の画像は福岡空港で撮影したA330-300。行方不明のMH370便はB777-200である)
現在、最も有力な可能性は、ハイジャック説である。その根拠は、MH370便からの通信手段が、最後の会話付近で、ことごとく遮断されたからである。操縦士が意図を持って切ったと推測されている。その通信手段と、働きなどは次の通りである。
☆無線による会話
☆緊急信号
 ⇒ この二つによる緊急事態を知らせるものはなかった
☆ACARS(エーカーズ)
メールと同じで、文字情報によって管制官と交信する。この機能を切るには、ブレーカーが床下にあるため、操縦席から切断することは不可能。
☆トランスポンダー
便名や位置などの情報を管制に自動的に送信する。この情報が無いと、管制官のレーダーに機影は写るが、情報が表示されないため、機体の特定ができない。
 ⇒ この二つも離陸後約50分前後で切られてしまう。
午前2時15分、インド洋方面へ向かったMH370便を、軍のレーダーが確認している。この約6時間後の8日午前8時11分、人工衛星のレーダーが捉えた。このレーダーを解析した結果、北はカザフスタン付近から、南はインド洋南部までの地域であることが推定された。しかし、北へ向かえば、各国の軍のレーダーに捕捉される。交信不能となった直後、軍のレーダーを逃れて、西に向かったことを考えれば、北へ向かう可能性は少ない。MH370便の平均速度を870km/hとすれば、5000kmほど飛んだことになるが、飛行可能な時間は最大8時間ほどである。現在の大方の見方は、オーストラリア沖のインド洋への墜落である。
マレーシア当局は、ハイジャック犯の可能性として、MH370便の機長を視野に入れている。3・11以降、第三者のコックピットへの侵入は、かなり難しくなっている。これに加え、緊急事態の発信もなく、離陸後一時間ほどで次々に通信装置が切られている。特に床下のACARSまでが切断されていることを考えれば、この機材(B777)にかなり精通している者の犯行である。この機の機長は、自宅にフライトシュミレーターを持ち、今回の飛行にあたっても、犯行のためのフライトデータが持ち込まれた可能性もあるという。思想的にもイスラム教徒ということもあって、その方面との接点や、さらには政治的に支持している元副首相の事件で、フライトの前日逆転有罪になったことも指摘されている。マレーシアのフラッグキャリアの機長が、しかもこういう背景から犯行に及んだとすれば、マレーシア政府の責任は重い。またMH370便は、中国南方航空とのコードシェア便で、搭乗239人のうち152人は中国人である。マレーシア当局の、対応のにぶさ、二転三転する情報は、こんなところに原因がありそうだ。マレーシア政府は、できればこのまま全てを闇の中に葬りたい気持ちだろう。はたして、真相が解明される日が来るのだろうか。

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2014/03/19 新情報−1
きょう報道された機長の情報として次のようなことが分かった。まず機長が政治的に支持している元副首相(現・野党党首)の件だが、機長とは親戚関係にあり、熱狂的支持者だった。さらにフライトの前日、機長の家族が自宅から引っ越しをしていたという。こうなると、機長によるハイジャック説は、かなり信憑性を持ってくる。
もう一つはかなり衝撃的である。それは「ACARS」は作動していたのではないかという推測である。航空評論家の杉江弘氏はこう話す。
『首相の会見で、トランスポンダーのスイッチは、はっきりオフになっていたと言っていたが、ACARSに関しては「ACARS was disabled」(エーカーズは作動していなかった)と言っており、切っていたということではない。微妙にどちらとも取れるよう逃げている』
その意味するところは、あるいは何らかのやりとりがあって、交渉決裂といったことを隠しているのではないかという見方もできるとしている。

2014/03/21 新情報−2
オーストラリアのアボット首相が、人工衛星の画像解析から、MH370便の残骸らしきものを発見したと発表した。オーストラリア南西沖2500Kmのインド洋に二つの浮遊物を確認したという。しかし、現場海域は、波や風が強く、海流も速い。詳細調査のため、各国が哨戒機などを派遣しているが、視界が悪く、特定には至っていない。厳しい気象条件の中での捜索は困難を極めている。
日本はMH370便捜索のために、航空自衛隊のC130輸送機2機と、海上自衛隊のP3C哨戒機2機を派遣している。これは国際緊急援助隊派遣法に基づくもので、隊員は約100人が派遣されている。今回のオーストラリア沖の浮遊物発見情報で、P3C哨戒機2機の捜索範囲を、オーストラリア西部海域に変更した。小野寺防衛相は「オーストラリア西部が一番有力な場所」との認識である。

2014/03/25 行方不明のマレーシア機「インド洋南部に墜落」と結論づけ
昨日夜、マレーシアのナジブ首相は「不明機の航跡がオーストラリア・パース西沖のインド洋南部で終わった」と発表した。これはMH370便が墜落したということである。イギリスの航空事故調査委員会が通信衛星データを分析した結果だという。乗員・乗客239人については、生存者はいないとみられる。最悪の結果に終わった今回の事故だが、事故に至る経緯などの説明は一切なかった。