映画「キャプテン・フィリップス」を観て 映画のページへ

随筆のページへ

トップページへ

File No.131203

この映画はアメリカの貨物船が、ソマリア沖で海賊に襲撃された実話を映画化したものである。2009年4月、オマーンのサラーサ港からが出航したコンテナ船、マークス・アラバマ号は、ソマリア沖でわずか4人の海賊に襲撃され占拠された。映画の前半では、非武装の船長と20人の乗組員たちが、追い詰められながらもどう闘ったのか。特に機関銃を突きつけられた恐怖の中にあって、勇気をもって沈着冷静に、乗組員を守るろうとする船長の姿が描かれる。そして後半には、アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズが、プロとしての圧倒的な作戦能力で事件を収束させるまでを描いている。2時間の上映時間の最初から最後まで、ずっと緊張感あふれる展開で息を抜くひまが無い。死と隣り合わせの中で家族を想い、乗組員を守る、人間味あふれる船長役のトム・ハンクスがいい。
マークス海運に勤務するリチャード・フィリップス(トム・ハンクス)は、貨物船「マークス・アラバマ号」の船長である。今回はオマーンからケニアへ援助物資を運搬する任務に就く。だが気がかりなのは、そのルートが、海賊の活動が激化しているソマリア海域を通ることだった。「アフリカの角(つの)を回る。万全が必要だ」。単独で海域を航行するアラバマ号は、海賊にとって格好の標的だった。レーダーに猛スピードで近づく2隻の不審船が映る。「機関長、全員持ち場に集まれ。これは演習ではない。本番だ」。エンジンの回転をリミットまで上げ、一旦は不審船を振り切ったアラバマ号だったが、翌朝1隻が再び襲ってくる。「非武装の船がどう戦う。ひとつかわせば次にぶつかる」。放水で応戦するが、ついに乗りこまれ、アラバマ号は4人の海賊に占拠される。海賊たちは銃を突きつけ、交渉を開始する。フィリップは金庫にある3万ドルで決着をつけようとするが、海賊たちが狙っているのはそんな端金ではなかった。
ソマリア沖・アデン湾は、スエズ運河を経由し、アジアと欧州を結ぶ極めて重要な海上交通路である。この海域における各国連携の海賊対処行動が奏功し、このところ比較的落ち着いてる。とはいえ海賊の活動範囲は拡大しており、予断を許さない状況にある。この海域には自衛隊も護衛艦2隻とP3C哨戒機2機を派遣している。場合によっては輸送機C−130Hも投入される。今回の第17次隊からは、護衛艦のうちの一隻は、米国を中心とした15カ国で構成する多国籍部隊(CTF151)に参加する。そうなると当然集団的自衛権の問題が発生する。しっかりした法的裏付けが必要である。海上自衛隊は他にもP3C哨戒機を多国籍部隊に参加させることを検討している。現場海域の状況を把握し、早い段階で効果的な対処ができる。安倍首相も前向きで、小野寺防衛相は「日本の役割を世界に広める活動」としている。


この映画は、「ユナテッド93」などドキュメンタリータッチで緊迫感のある映像を得意とするポール・グリーングラス監督の作品である。終始緊迫した映像は監督の真骨頂と言える。しかし、単にアメリカの威信をかけた救出劇だけを描いているのではない。フィリップス船長の家族への想いや、ソマリア人が、家族を養い、生きていくために海賊という命がけの仕事にあえて身を投じている姿も描かれている。船長フィリップスが海賊のひとりとこんな会話をする。「漁師なら誘拐などしなくても道はあるだろう」「アメリカなら」。ソマリアは中央政権が崩壊し、その後も内戦状態が続いている。彼らも普通の漁師として平和に暮らしたいのである。しかし、絶望的な貧困の中、彼らに残された選択肢は限られている。だからと言って許される行為ではない。日本は自衛隊を派遣する一方で、根本的な解決に向け、ソマリアの支援を行っている。治安向上への支援や人道支援・インフラ整備への支援などである。この映画は、そんな問題提起もしている社会派の監督らしい作品である。


映画のページへ 随筆のページへ トップページへ


映画「キャプテン・フィリップス」
2013年/アメリカ/2時間14分

監督:ポール・グリーングラス
出演:トム・ハンクス他

2013/12/18 哨戒機を多国籍部隊へ
小野寺防衛相は、アフリカ東部ソマリア沖アデン湾での海賊対処に派遣している海上自衛隊のP3C哨戒機を、来年2月上旬から、米英軍を中心とする多国籍部隊に参加させると表明した。参加機数は1〜2機を予定している。活動は多国籍軍の指揮下にはいるのではなく、多国籍部隊と協議の下で、日本独自で活動方針を決めるという。

2013/12/06 笑っていいとも
今日(12/06金曜日)のコーナーのひとつに「関根勤企画・負けず嫌いマッチ」というのがあった。先週に続き2週目となる企画である。これは客席にいるお客さんのイメージで名前を連想し、実際の名前と比べてイメージが近い方が勝ちというものである。判定を下すのはタモリさん。何といっても関根さんらしいこのユニークな発想がいい。それとフィーリングで判定するというタモリさんの良さが実によく出ているゲームだった。

月曜日のコーナーで「なぜフェッショナル」というのがある。これにはなぜそんなことを極めたのかというスゴ技を持った人が出演する。先週は「木彫りの自動販売機」を作ったというアーティスト山本麻璃絵さんが出演した。釘は使わず寄せ木でつくったもので実に温か味のあるいい作品だった。あえて木の良さを出した適度なゆがみが何とも言えないいい雰囲気を出している。この人の個展があったらぜひ観てみたいと思うような作品群だった。

いま出演しているテレフォンアナウンサーで、私の一押しは久代である。クッシーと言うらしい。キリっとした雰囲気がいい。他局のアナウンサーだと、これまではテレ東の大江麻理子アナだったが、残念ながらニューヨークへ転勤になってしまった。最近はタモリさんと事務所が同じ夏目三久アナかな。しなやかさと強さ両方を持ち、「マツコ&有吉の怒り新党」で、あのつわもの二人を相手に、互角に渡り合っている。

今日(12/06)のエンディングで、非常に珍しいことが起きた。なんとタモさんが、後1分を残して「それでは来週もまた観てくれるかなッ!」「いいとも〜!」とやってしまった。それに気付いた後の1分、劇団ひとりが「異常に長い」と笑いをさそっていた。「いいとも」もいよいよ最後を迎える。大変残念だが、初めがあれば、必ず終わりがある。徳光さんがゲストに出たときこんなことを言っていた。「日本に健全で明るいお昼をつくってくれた。こんな番組はないと思う。敬意を表しまして・・・」。最後はやはり吉永小百合さんの花束贈呈かな。