参院選2013
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参院選がスタートして数日が経った。予想では、自民・公明、与党圧勝の様相である。今回の最大の争点が、アベノミクスの評価ということになれば、当然なのかもしれない。これまでに放たれた第1の矢、第2の矢での積極果敢な攻めで、企業だけでなく、国民の心理までも十分盛り上げることに成功した。これに対して左翼系は、相変わらず具体的な対案もなく、アベノミクスの副作用をつつくくらいというふがいなさである。吹けば飛ぶような弱小政党は、政権を取る心配がないから、何を言っても現実味はない。民主党の海江田代表は「私たちは今度の選挙で、暮しを守る力になる」と言った。まさに言いたい放題の世界である。"ばらまき"くらいしかできなかった民主党と民主党崩れが何を言おうが、何の政策能力もないのは前政権で充分分かっている。20年にわたるデフレを脱却するには、荒療治が必要であるし、その途上では痛みも伴う。国民は弱小政党がつついている重箱の隅を見ているのではない。全体の流れに希望が持てるかどうかを見ている。

野党の中にあっても、維新の会は、一応アベノミクスの方向性を評価しつつも、第3の矢の問題点を鋭く攻めている。昨日のフジの「報道2001」で、橋下代表は「日本維新の会は、今までの野党とは違います。なんでもかんでも与党に反対する立場ではありません」と、"改革保守"という政党のイメージしっかり訴えていた。橋下代表は「第3の矢においては、農業改革、混合診療の解禁、大胆な法人税の引き下げなど、強力に推し進めないとアベノミクスはだめになる」と言う。「第3の矢を本当に実行するためには、抵抗勢力が息を吹き返さないように、我々のような改革政党がある程度勢力をもたないと第3の矢は実現できない」。つまり、自民党が圧勝すれば、第3の矢が進まなくなる。その結果アベノミクスが危うくなると、問題点を指摘しつつ、党の存在意義を主張していた。テレビ討論を観ながら、この"改革保守"という積極姿勢のあり方こそが、日本をいい方向に向かわせる健全野党のあるべき姿ではないかと思った。

参院選の争点のひとつに「原子力再稼働」の問題がある。私は先ごろ随筆「エネルギー安全保障」の中でこう書いた。『日本は原発が止まって以来、火力発電で賄っている。その結果、燃料輸入によるコストが3兆円も増え、貿易赤字になっている。日本のエネルギーの現状は、自給率4%である。原油の海外依存率は80%を超え、しかもその内の80%を政情不安定な中東に頼っている。さらにそのシーレーンを中国が侵略しようとしている。・・・・日本のエネルギー安全保障は、かくも不安定な状況に立たされている。原発再稼働も含め、エネルギー政策の見直しは、喫緊の課題である』。図らずも今日、原子力規制委が"世界最高水準の厳しさ"という新規制基準を施行し、電力4社が一斉に再稼働の申請をした。合格すれば半年後くらいには再稼働する見通しである。参院選ではどの党の政策が、現実的な政策かを見極めなければならない。私は、再生可能エネルギーなどの代替エネルギーの成長を見ながら、長い時間をかけて原発を終息させるのが現実的だろうと思っている。

政府は先ごろ、2020年を目途にした「電力システムに関する改革方針」を閣議決定した。これには、我々が電力会社を自由に選べる"電力自由化"などが入っている。その第一歩である"発送電分離"などを盛り込んだ「電気事業法改正案」が、先の国会で廃案になった。野党が「首相問責決議」を出したため、時間切れ廃案になったのである。そのほかにも、不正受給対策の生活保護法改正案、海賊多発海域の日本船舶に武装警備員を乗船させる特別措置法案など、1日も早く成立が望まれる重要法案が廃案になった。この問責決議を出したのは、生活の党、みどりの風、社民党の3党である。その理由を見るに、このバカさ加減には開いた口がふさがらん。どこが良識の府か!これには珍しく、左翼新聞も含めて全紙一斉に「こんな参議院はいらない」と書いていた。こんなくだらん野党のために“ねじれ”で国が停滞し、どれだけの国益が損なわれていることか。参議院選挙の真っただ中でどうかとは思うが、衆議院のカーボンコピーと言われる参議院は、はっきり言って"いらない"!


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