『 CM 』 という芸術
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企業は、膨大な広告費を使って、「CM」を制作する。売り出そうとしている新商品や、自社がいかなる方針で取り組んでいるかなど、消費者に繰り返しアピールする。ところが観ている側は、テレビで「CM」が流れると、トイレタイムであったり、ビデオ録画なら、早送りで通り過ごす。実にもったいない話である。「CM」をひとつの芸術作品として観たとき、「CM」に対する観かたは随分違ったものになるはずだ。「犬のお父さん」という奇抜な発想が、観るものを楽しませる。
Softbank

suntory・BOSS
これはサントリーの缶コーヒーBOSS・レインボーマウンテンブレンドのCMである。「宇宙人ジョーンズ」のシリーズは、ずっと人気のいいCMである。なかでも今回の高見盛が出演している「大相撲」篇は、最近流れているものの中でも、一番気にいっている。コピーがいい。「この惑星の住人は、誰もが勝利者になれるわけではない。ただ、この惑星には愛されるという勝ち方もある」。これを最初に観たときしびれたね。そして、締めくくりは「このろくでもない、すばらしき世界」ときた。
女優・松雪泰子のしびれるCMである。これは演出と演技が光る作品といえる。いくつかパターンがある。「閉店後」篇の「例えてみなさいよ」、「最初の客」篇の「でも ガンダムのこと話してる瑛太くんの目 好きよ」、「次の客」篇の「矢作ちゃんさー、ガンダムに例えればみんなに通じるというの思いあがりよ」。いづれのパターンも、その表情と手の動き、画面全体が醸し出す雰囲気が絶品である。
mobage・ガンダム祭

LOTO
妻夫木「キャリーオーバーだと8億円になるんです」、柳場「興味ない。お前の夢は金で買えるのか?」、妻夫木「かっこいいなあ」。こんな流れだが、妻夫木が街を歩いていると、LOTO売り場の柳場部長に気づく。部長もまた妻夫木に気づく。このときのお互いが口を“へ”の字に曲げた表情が絶品である。お互いの”驚き”と”バツの悪さ”があの表情によく表れていて、何度観ても笑ってしまう。
絶妙の表情と言えば、堤真一の出演した「TOSTEM・内窓・インプラス」がある。最近は観なくなったが、今でも思い出す。自宅で妻が不機嫌そうな顔で、ひたすら掃除をしている。堤「ここのところずっとだ。こうして一緒にリビングにいるだけで、汗ばんでしまうのはなぜだ。最近の俺に問題は無いはずだ。何が、何がもの足りないというんだい」。妻と顔を見合せた時みせる、堤真一の笑っているようで笑っていない、絶妙のつくり笑いがいい。演技に加え、「窓」という商品を、このスチュエーションで描いたというところに拍手である。
TOSTEM・インプラス

ハーゲンダッツ
表情で言えばもう一つ。最近流れている「ハーゲンダッツ・チョコレートブラウニー」のCMがある。「めくるめくチョコレートづくし」というだけあって、これを食べようとしている柴崎コウの表情が実にいい。CMには、タレントの魅力、演出の魅力、商品自体の魅力などいろいろあるが、これはまぎれもなく女優・柴崎コウの魅力である。月9ドラマ「ガリレオ」で観られなくなったのはさびしい限りである。
女優の魅力に対して、AGF・Blendyの原田知世は、生き方そのものの魅力と言えるかもしれない。前にも書いたが、実際に間近でみると、透きとおるような清楚な感じがある。このCMからもその感じは十分伝わってくる。日見子は「おかたづけ」篇がいいと言っていたが、私は「こいって、いいです」篇が気に入っていた。「こいっていいですか?」に対し「こいっていいですよ」と答えるまでの絶妙の間(ま)がよかった。
AGF・Blendy




RIGHT ON
蒼井優が外国の街を颯爽(さっそう)と歩く。RIGHT-ONの「新しい私が、はじまる」篇のCMである。最初、私はニューヨークの街だと思っていたが、シドニーの中心街らしい。ショートヘアーにして、新たな旅立ちをしようとしている雰囲気がよく出ている。超高級車のウインドーを鏡がわりに、身づくろいする蒼井優。その時、突然ウインドーが開いて、中にギャングの大物ボスらしき男が座っている。スッと歩き出した蒼井優が、ちょっとうつむきかげんに微笑む表情が何とも可愛いかった。
女優が発しているオーラみたなものが感じられるのが、菅野美穂の味の素ピュアセレクト・マヨネーズのCMである。「気合入りました」と髪を結ぶシーンが何ともいい。「マヨマヨと・・・」菅野美穂のならではの突き抜けるような明るさが、商品のイメージに合っているように思う。最近ではサントリーの角瓶のCMも人気がいいようだ。結婚した彼女の人生に”幸多かれと祈る”。
味の素・ピュアセレクト

森永乳業・MOW
竹内結子のアイスクリームのCMである。ガレージセールをしている女性を演じている。「いいの見つけたね。そんじょそこらの品じゃないよそれは。この間パリに行った時、アラブの王様と知り合いになって・・・気にいられちゃって」。これを演じる竹内結子の一挙手一投足に、いかにもあやしい感じがよく出ている。CMは、背景まで含めた全てが、念入りにチェックされ、無駄なものはひとつもない。このCMでも背景のアメリカ風の家がいい。「ルート66」の小さな標識なども飾ってある。そんなディテールにも、注意をはらって見るとさらに面白い。
最近のCMの女王といえば剛力彩芽だろう。たくさんのCMに出てはいるが、残念ながら剛力彩芽の魅力を充分引き出しているCMをほとんど見ない。その中にあって、この山崎製パンの「自由型ランチ・ダンスチーム」篇は、はじけるような若さと笑顔が生きている。タレントの持つ魅力を充分引き出し、それが企業の商品イメージと一致したとき、CMの効果が最大限に発揮される。
山崎製パン・ランチパック

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