祝!国民栄誉賞受賞
長嶋氏、松井氏 おめでとうございます
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File No.130403

「ミスタープロ野球」と「ゴジラ」が国民栄誉賞をダブル受賞することになった。何とも"心躍る"ビッグニュースである。安倍首相は授賞理由を「長嶋さんは、戦後最高のスーパースター、本来ならもっと早く決定・申請すべきでした。松井さんは、昨年引退を決定したが、日米で最優秀選手になったのは難しいことだと思います」と語った。長嶋氏は、プロ野球を国民的スポーツにした立役者であり、松井氏は、大リーグで日本人初のMVPに輝いた希代のスラッガーである。“記憶に残る”と表現される二人だが、野球に対峙する真摯な姿と、天性のスター性は、多くの国民の心に刻み込まれた。 "心・技・体"が見事にバランスした、真のスポーツ選手であったことが、今回の受賞の根本にある。

長嶋氏は、"天覧試合のさよならホームラン"にみるように、打つべきところで打ってくれる勝負強さは際立っていた。そこに人気の秘密があり、さらに守備で見せた、あの華麗なランニングスローは、まさに絵になる選手だった。右の表は昭和35年のものだが、349打数122安打、3割5分を打っている。昭和40年代では、巨人V9の主軸として活躍。監督としてもチームを二回"日本一"へ導き、また松井選手を育てた。その松井氏は、高校野球での5打席連続敬遠はあまりにも有名である。巨人での10年間で、本塁打王、打点王、首位打者を獲得するなど、強打者として活躍した。大リーグでも、“日本人初”の年間ホームラン30本、ワールドシリーズでは“日本人初”のMVPに輝いた。日本人として、メジャーリーグで4番に座り、またホームランバッターとして認められたのは、松井選手ただひとりである。

昭和35年8月19日の新聞より


昭和52年5月20日
HRの王選手を迎える長嶋監督
松井氏は引退の会見で、一番の思い出は「長嶋監督と二人で素振りした時間」だと言った。長嶋監督は、松井選手がスランプのとき、真剣に彼の素振りする音を聞き、寄り添った。そこは張り詰めた緊張感に包まれながらも、固い信頼感で結ばれていたはずだ。松井選手の一番苦しんでいた時こそが、長嶋監督によって、一番の思い出になったのである。昨今、「体罰問題」がメディアを騒がしている。某高校では生徒が自殺に追い詰められるほどの暴行が常態化していた。女子柔道界では、監督のパワハラと暴力行為が告発された。精神的に追い詰められた選手たちが悲痛な声をあげた。これらの事件の指導者たちからは、愛情をもって育てていこうという意識など、かけらも感じられない。今回の国民栄誉賞のダブル受賞は、信頼で結ばれた師弟関係が評価された。学ぶべきものがあるはずだ。

これまで歴代の内閣が、長嶋氏への授与の機会を逃し続けてきた。今回、きっかけとなったのが、松井氏の引退である。だが、メディアや世間からは、松井氏の受賞は早かったのではないか、という声が漏れ聞こえる。おそらくそれを一番感じているのは、松井氏自身だろう。松井氏は受賞内定にあたって「正直、現時点での私がいただいていいものか、という迷いもありますが・・・」と言っている。しかし、「フォア・ザ・チーム」を旨としてきた松井氏の生き方をみれば、自ずと受賞を受け入れたことが理解できる。松井氏は、受賞内定を打診された時、自分の引退が長嶋監督への授賞のきっかけになったことを知らされたはずだ。長嶋監督には、感謝しても感謝し尽くせないという松井氏は、"長嶋氏には一点の曇りもなく受賞してほしい"と思ったことだろう。そのためには松井氏にとっての選択肢はただ一つ、受賞を受け入れることだけだったのである。松井氏の「今後、数十年の時間をかけて、この賞をいただいても失礼ではなかったと証明できるよう、これからも努力していきます」という言葉にすべての思いが込められている。長嶋氏の「苦楽をともにした松井君と一緒にいただけるということであれば、これ以上の喜びはありません」というコメントに、松井氏は心から喜んだに違いない。


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2013/06/02 ヤンキース松井氏、引退試合
「一日だけ」契約
米大リーグ、ヤンキースは、2009年のワールドシリーズ制覇などに貢献した松井秀喜氏の引退記念式典を、7月28日(日本時間同29日)にヤンキースタジアムで行なうと発表した。松井氏は一日限定の契約を結び、ヤンキースの一員として最後の花道を飾る。松井氏の代名詞だった背番号55にちなみ、ヤンキースの今季日程で55試合目のホームゲームにあたる7月28日のレイズ戦が開催日に選ばれた。式典は試合前に行われる。
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2000年本塁打王になった時のカード
2000年度の成績(打率.316、本塁打42、打点108)