大回り乗車の旅
(JR九州・福岡近郊区間)
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File No.130129

JR九州に福岡近郊区間という規定がある。これは決められた区間内なら、目的駅までの経路を利用客が自由に選択できるというシステムである。これをうまく利用すると、隣駅までの料金で、大回りして列車の旅を楽しむことができる。ただし、これを利用するには決まり事がある。まず、途中下車ができない。ひたすら列車から列車を乗り継いでいく。次に、同じ路線を重複してはいけない。つまり、出発駅から目的駅までを“一筆書き”のルートで乗り継ぐというものである。

@鹿児島本線
A筑豊本線・原田線
B筑豊本線・福北ゆたか線
C後藤寺線
D日田彦山線
E鹿児島本線

総延長:170q
運  賃:160円



1月28日の朝。この冬一番の冷え込みではないかと思われる寒さだ。天気予報では“低温・乾燥注意報”が出されていた。風が無いのが幸いだったが、シンシンと冷気が、まとわりつく。朝7時半ころ博多駅に到着。早速、隣の駅「吉塚」まで、160円の切符を買う。少し早めに来たのは、通勤ラッシュの雑踏を楽しみたいと思ったからである。博多駅の朝は実に活気がある。
さて、8時19分の久留米行き普通列車が入ってきた。列車は近郊型の列車として使われている「813系(R103)」である。

列車前方には「特急みどり」が待機していた。この後「ハウステンボス」とすれ違ったが、この二つが連結して「みどり、ハウステンボス3号」として運行されると思われる。他にも787系、885系などが見られ、787系の向こう側に、新幹線のレールスターが見えたりと、飽くことがない。

「原田駅」に到着。筑豊本線の末端駅である。ここから「桂川駅」までは非電化のため列車は「キハ31形(-3)」が走っていた。「筑前山家駅」には、古い路面電車が置いてあったが無くなっていた。筑前山家駅を出ると、冷水トンネル(写真右)がある。トンネルの長さは3286m。トンネルを出ると、「筑前内野駅」である。今も長崎街道の宿場とまったく同じになっている。400年前の人たちが、大変な苦労をして開削した冷水峠も、ほんの数分で通過してしまう。



「桂川駅」に到着。ここから電化区間に入るので、原田線とは別の系統で運用されている。列車は、福北ゆたか線の813系(R018)が来た。右の写真は、さっき乗ってきた「キハ31形」とのツーショットである。
「新飯塚駅」に到着。ここから「後藤寺線」に乗り換える。列車はここでも「キハ31形(-6)」で運用されていた。「田川後藤寺駅」まで13kmほど、所要時間は24分である。前々から思っているのだが、私は「キハ」1両でのんびり走るというのも風情があって好きである
「田川後藤寺駅」に到着。向こうに「平成筑豊鉄道」の車両が止まっている。列車は「キハ147形(-54)」。北部九州の路線の中で、唯一乗ってなかったのが「日田彦山線」の田川後藤寺〜城野である。
初めてのルートなので見どころがいっぱいある。まず「写真上左」は「田川伊田駅」付近であるが、確認はしていないが、おそらく「あ〜ま〜り、煙突〜が高いので〜」と炭坑節に歌われた煙突と思われる。「写真上中」は、「香春駅」付近である。セメント工場などがあり、山が削られている。昔の高倉健さんの映画「唐獅子牡丹」は、石材採掘の利権にからむ抗争の話だったが、その石材を切り出す現場を彷彿とさせる眺めである。作家・五木寛之さんの「青春の門」の舞台になったのもこの付近である。「写真上右」の「採銅所駅」であるが、名前の由来の歴史は古く、1000年以上遡る。奈良時代、奈良の大仏建立に際して、ここの銅が使われたという。この付近は、なかなか興味深い地域である。
さていよいよ北九州市に入ってきた。「志井公園駅」の傍に「北九州モノレール」の車両基地(写真左)があり、南小倉−西小倉間にはJR九州の小倉総合車両所(写真右)がある。どちらも一瞬で通り過ぎるため、よほど注意していないと撮り損ねる。JRの車両所には、「883」「800」「787」「885」「783」などの絵が掛けられていた。




「西小倉駅」に到着。ここから鹿児島本線下りになる。ここまで乗ってきて、車窓を流れる景色を楽しみ、その地域にかかわるいろいろな事に想いを馳せ、これで最低の料金で最高の“乗り鉄”が楽しめるのだから、たまらないシステムである。車両は811系(P9)。
「写真上左」は「スペースワールド駅」だが、JR九州で一番長い文字数の駅名と聞く。「折尾駅」に到着。今、駅舎建て替えで工事中である。その様子をちょっと垣間見てみたいというのと、丁度昼になったので、駅弁では人気のある「かしわめし」を食べようと下りた。先日、テレビ番組で、タレントの原口あきまささんや、はなわさんたちも、大回り乗車の旅をしていた。彼らもこの折尾駅で「かしわめし」を大量に買い込んで列車の中で食べていた。
ついに目的駅「吉塚駅」に到着。総延長170q、所要時間約5時間。これでわずか160円である。一旦、改札を出るが、時間が大幅に経過しているので、駅員さんに、大回り乗車であることを告げ、改札を出た。そして改めて「博多駅」までの切符を買って、無事帰りついた。

せっかく博多駅にきたのだから、このまま帰るのはもったいない。東急ハンズに寄ってみた。使っていたCRリングが壊れていたので買ったのと、修正テープを買った。このPLUSの修正テープが優れものである。普通、修正しても裏から見ると、書いた文字が透けて見える。このPULSの「ホワイパー・スライド」は、裏に特殊パターンのアルファベットが印刷されているので、裏から見えにくくなっている。
駅ビルとバスターミナル、道路を挟んだ新三井ビルを結ぶ、空中回廊が出来ていた。エスカレーター、エレベーターがあり、屋根も付いているので、かなり利用している人が多かった。
大回り乗車という粋なシステムで、何とも楽しい一日だった。


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