特定保健用食品・コーラ 随筆のページへ

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File No.121222
今年の流行語大賞は、スギちゃんの"ワイルドだろ"になった。子供から年寄りまで、幅広く浸透し、選ばれるにふさわしい言葉だったと思われる。世相を表すもう一つに「今年の漢字」がある。今年は、ロンドン五輪で、史上最多のメダルを獲得、金冠日食などもあり「金」に決まった。さて今年のヒット商品は、何だったかと言えば「東京スカイツリー」や「LCC」「マルちゃん正麺」「メッツコーラ」などが上位にランキングされている。その「メッツコーラ」だが、今年4月の発売からわずか7カ月で、一億三千万本売れたという。ヒットの目安が200万ケース(1ケース24本)と言われる中、凄まじいばかりの売れ方である。消費者の心理をつかんだ要因は、「特定保健用食品」と「コーラ」という意外性のある組み合わせである。一見、健康とは無縁のイメージのあるコーラに、食物繊維の一種「難消化性デキストリン」を加え、特定保健用食品にしたというアイデアの勝利である。

大型スーパーの売り場に行ってみると、特定保健用食品の特設コーナーが設けられ、10数種類の飲み物が並んでいた。健康志向の強さを伺わせる。コーラ系では「メッツコーラ」に加え、11月から発売された「ペプシスペシャル」が並んでいた。では「難消化性デキストリン」とは何なのか。デンプンの一種の水溶性食物繊維で、食事の際、中性脂肪の排出を促進するという。これはすでにペットボトルのお茶などにも使われ、広く出回っている成分である。コーラには、どちらにもボトルに「脂肪の吸収を抑える」と書いてある。中性脂肪を気にしている人は多い。意外だが健康志向の女性にも人気があるという。特定保健用食品は、まず健康の維持に適する程度のものであることを認識しておきたい。ボトルには「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」と書いてある。あくまでも生活の基本がしっかりしていることが効果の前提である。


特定保健用食品の認可を受けるためには、有効性や安全性についての科学的根拠の審査を受け、消費者庁の許可を受けなければならない。ボトルには必ず「消費者庁許可」と書いてある。ところが巷では、「トクホのコーラに"発がん性物質"が含まれている」と騒いでいる。それは「難消化性デキストリン」が問題なのではなく、コーラのカラメル色素の副産物として発生する「4-MI」という物質に含まれているという。この件でキリンビバレッジは「毎日、16リットル飲まなければ大丈夫」と言っている。"1日16リットル"ですよ。もちろんこれは科学的根拠を持った説明である。コーラは発売以来、百数十年という歴史がある。すでに天文学的数字のコーラが全世界で飲まれてきている。一応噂の根拠を調べてみたが、私の個人的な感想を言えば、そう気にすることもないように思える。タバコの注意書きみたいだが「飲み過ぎには注意しましょう」ということでいこう。



という訳で先日、外食した際に「ペプシスペシャル」を飲んでみた。本来は、脂肪分の多い、ハンバーガーやピザなどとの相性がいいとされている。「脂っこい食事」との相性がいい訳だからメニューを「ハンバーグ」にしてみた。一般的には、甘いコーラが食事に合うのかと疑問視する向きもあるが、心配はいらない。コーラを好きな人は、大抵の洋食なら違和感はないと思われる。先日カレー屋で、ドリンクが付いているというので、コーラを付けたが、実にうまかった。だがトクホ・コーラの問題は480ミリリットルという量にある。さすがにこれは多すぎる。飲んだ感じでは360ミリリットル、コップ2杯分くらいが良いように思う。甘いコーラが食生活の改善になるとは思えないと言う人もいるが、あえて反対はしない。私はコーラが好きだが、それでも喉が渇いた時に、月に1〜2本飲む程度である。それが「特定保健用食品」ならなお結構だ。


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