酷民の生活が・・・ 随筆のページへ

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File No.120713

民主党を除名された小沢一郎が、新党を立ち上げた。民主党内の権力闘争に負けて出ていく、言い訳みたいなものである。自分がガキ大将でないと気が済まない気位の高い性格はどうしようもない。志を高く持ち、周りを心酔させるような大物とは"ほど遠い"。だからつくっては壊し、つくっては壊し、これで4度目である。どうせ今回も長続きはしないだろう。一緒に出て行った3分の2は、基盤も何もない1回当選の新人議員である。小沢一郎に何一つものが言えないような議員たちである。新党を立ち上げたところで、熱気や高揚感などあるわけもなく、あるのは周囲からの冷笑だけである。民主党が政権を握った時、ねじれ国会でもなかったにも関わらず、何一つしなかった。それどころか公約だったはずの「ガソリンの暫定税率」を早々と引っ込めてしまった。言うこととやることが全く違うということは、我々国民が十分承知している。いよいよ小沢一郎という政治屋の断末魔を見るときが来た。


新党の名前にも、何の期待もない。そもそも「国民の生活が第一」というのは、6年前小沢一郎が民主党代表だったときから掲げている古びたスローガンである。今回、グループ議員がツイッターなどで応募のあった数百の党名候補を差し出し、決定は小沢一郎に一任したという。しかし結局、誰の意見も聞かず、自分が後生大事にしていた「国民の生活が第一」に決めた。誰が何を言おうが聞く耳持たぬである。国民の声など聞くはずがない。「国民の生活が第一」という言葉だけが独り歩きしている。要するに「世界平和が第一」と言っているのと同じで、それ自体に誰も口を差し挟む余地などない。要は、それをどういうプロセスで実現させるかである。やる気も、やる能力もないことを言って、国民をだまそうというのは、民主党のマニフェストで充分学習した。さて新党の議員は、次の選挙で何人が生き残るだろうか。それより支持者をほっぽり出して放射能から逃げた、小沢一郎自身の身が心配だろう。


鳩山由紀夫が、これまた離党して新党でも作ろうかという雰囲気らしい。普天間問題で「腹案がある」などと口から出まかせを言い、その後「私は愚かな総理かもしれません」と自分で自分の愚かさを認めた人物である。菅直人が総理大臣を辞めると言って、辞めなかった時、「口できちっと約束したことは守る。当たり前の話で、出来なければペテン師だ」などと言った。そのときみんなが一斉に突っ込んだ。議員を辞めると言って、辞めなかったのはどこのどなたでしたっけ。しかも最近のグループの会合では「私が代表を務めているとすれば、一人でも離党者を出したとすれば、その時の責任を強く感じる」などとのたまっている。鳩山・小沢で日本をめちゃくちゃにしておいて、まだそんな事を言っている。小沢一郎は面の皮が厚くてKY(空気読まない)なのだが、鳩山由紀夫は、正真正銘ニブくてKY(空気読めない)である。カネさえあればみんな、先生々々とすり寄ってくる。


「国民の生活が第一」という空々しいスローガンに対し、掲げた政策は次の通りである。「消費税法案の撤回」「被災地をはじめとする地方の復興」「地域主権を確立させるための行財政改革」「脱原発の方向性」。まあ見るからに飛び交っている言葉を拾い集めてきたという感じである。新党だけでは、権力闘争に負けた相手にダメージも与えられそうにないから、周辺にすり寄るのに、いろいろ並べ立てている。「消費税法案の撤回」を掲げながら、選挙目当ての財政出動を言い、放射能が怖くて逃げだした人が、「被災地をはじめとする地方の復興」を叫ぶ。「地域主権を確立させるための行財政改革」などというが、事業仕訳で廃止したものを、裏ですぐ復活させた張本人である。「脱原発」に限らず全てにわたって、政策への具体的なプロセスが見えてこない。それは、新党だからではなく、小沢一郎という政治屋への、それまでの不信感がそうさせている。


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