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File No.120512

日見子は季節の山菜は必ず食卓に出す。菜の花、フキノトウ、わらびなど、春先の山菜はちょっとした苦味がいい。江戸中期、上杉鷹山(うえすぎようざん1751〜1822)という米沢藩主がいた。この人は財政難の藩を、倹約や事業で立て直した名君である。この殿様が飢饉に備えて藩内に配布した「かてもの」という本がある。これにはワラビ、フキ、ゼンマイなど84種の山菜や、魚などの保存方法などが書かれていた。これによって天明の大飢饉では、米沢藩からは餓死者が一人もでなかったという。この教えが今も「山形おきたま伝統野菜」として伝わっている。一か月ほど前「笑っていいとも」に出演した堺雅人さんが、貧乏だった学生時代の話をしていた。野菜を食べないとと思って、道に生えているタンポポを食べたことがあるという。ゆでてポン酢で食べると、結構うまいらしい。調べてみると、たんぽぽの栄養価は高いようだから、サバイバルとしては適切だったのかもしれない。


人間も草で事足りるなら、かなり食糧問題も改善されるはずだ。牛は草しか食べないのに、あの巨体である。だが植物たちも生き残りをかけて、防御の知恵を身につけてきた。そうむざむざと食べられ、絶滅などしてたまるかである。動物の細胞も、植物の細胞も、考えていることは同じである。植物は逃げるわけにいかないから、動物以上にいろいろな方法を身につけてきた。サボテンは棘で、外敵から身を守っている。葉や茎に毒をもったものも多い。いわゆる有毒植物である。有名なものではトリカブトやジギタリスなどがある。人間の手にかかれば、逆に薬としての効果もあるが、草食動物たちは近寄らないだろう。動物が近寄らないような場所で生きるという方法もある。"雑草のようにたくましく"などと言うが、手に負えないくらいの繁殖力もまた、生き残るための強力な武器である。いま自生している植物たちは、何らかの防御や攻撃の方法を身につけ、勝ち残ったものたちである。


繁殖力を武器に、生き抜いてきたといえば、動物で言えば人類である。人類の初期にあっては、それが有効に機能してきた。しかし、地球を征服したため、今では向かうところ敵なし状態で繁殖している。おかげで100億人という大台突破も視野に入ってきた。プライムニュースで長沼毅先生は「地球は今氷河期の入口に立っている」と話す。地球は過去60万年の中で、10万年の氷河期と1万年の暖かい時期を繰り返してきた。今、その暖かい一万年が終わろうとしている。ニューヨークに氷河の痕跡があるが、人類の文明は、氷河期を経験していない。氷河期になれば、人類が住めるのは、熱帯地方だけになり、文明は打撃を受け、食料も10億人ほどしか養えないくらいになるだろうという。そうであれば、考え方を変えよう。氷河期になれば、人類は10万人も生き残れる。つまり、絶滅しないのである。地球は回復力を取り戻し、次の温暖期には、水と緑の豊かな地球がよみがえっている。


水と緑の地球をよみがえらせるのは植物の生命力である。三万年前のシベリアの凍土から発見された種が発芽し、花が咲いたというニュースもある。人間のわずか100年の寿命の時間感覚や、ひ弱な皮膚感覚などとは次元が違う。植物の生きる力は、知れば知るほど驚く。たとえば、真っ暗な土の中に埋められた種は、必ず地上へ向かって芽を出す。種には、どっちが上か、どっちが根を張る地下の方向か判断出来ている。固い殻につつまれ、モノ言わぬ種だが、地球の重力を感じ取る能力が備わっている。また植物は、三万年の時を止めることができる一方で、正確な時間を計る能力も備えている。その正確さは、15分の違いを正確に見極めているというから驚く。植物は夜の長さを正確に計っている。それは、時間を合わせて一斉に花を開き、子孫を残すためである。サバイバルにかけては、時間や重力までも把握し、ひたすら生き残りに力を注ぐ植物が最も優れていると言えるのかもしれない。


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2012/05/21 笑っていいとも・ゲスト:長沼毅先生(科学者)
長沼先生がこんなことを言っていた。「今、生物学をやっていますが、生物は一番苦手だったんです。生き物そのもの、花の名前とか、魚の名前は憶えられない方だけど、生き物が生きていること、生命っていうこと、その不思議を探ろうと思った。命って何だろって」。私もこの考えに共感を覚える。まさにそうである。私も花や動物の名前を覚えようという気はないが、生命の発生や進化、細胞レベルに興味がある。宇宙にも強い興味があるが、星座は北斗七星くらいしか知らない。私の感覚を一言で言うのは難しいが、あえて言うなら“宇宙図を眺めている”そんな感覚である。

今日の笑っていいとものゲストに登場したもう一人の人、漫画家・久保ミツロウさんもよかった。初めてテレビに出演したらしいのだが、その理由は「タモリさんと同じ時代に生きている証がほしかった」だった。タモさんへのリスペクトもなかなか好感がもてたが、やはりその発想力の豊かさはさすがだった。

宇宙図

2012/05/13  水循環変動観測衛星「しずく」
JAXAと三菱重工業は、水循環変動観測衛星「しずく」を今月18日打ち上げる(種子島宇宙センター・H2A・21号機)。気候変動の仕組みを解明するため、10〜15年かけ継続的に観測する。「しずく」は高度約700kmから、大気中の水蒸気量や海面温度、氷の分布、積雪量などを調査する。海面温度の0.5度の違いが分かるという。九大の市川先生は「赤道付近で受ける太陽からの熱エネルギーは、水によって地球全体に運ばれる。この仕組みを理解すれば、将来の変化の予測に役立つ」と話した。

長沼毅先生は「100年に一度と言われるような災害が、毎年のように襲っている。今、気候システムの変動期にある。氷河期になれば、当然氷が増える。それは、地球内を循環している水が凍って、使える水が減るということである。農業には大きな打撃になる。さらに氷の白で太陽光を反射し、更に冷えるという悪循環に陥る」と話していた。
2012/05/18 「しずく」打ち上げ成功
「しずく」は、大気中の水蒸気量や降水量、海面温度などを観測し、観測データは地球の気候変動の研究に役立てられる。他に気象予報や、漁場探査などにも活用される。

2012/06/02   カメラ散歩・生物
小動物でも植物でも、命をつなぐために必死で生きている。今日のニュースによれば、1000万年前のアユの化石が見つかったという。これまで東アジアのアユは約258万年前に出現したとされてきた。その起源を大幅に遡ることになった。アユも人類をはるかに超える時間、命を繋いできたのである。セミは次の世代に命を繋ぐために、ただひたすら危険を避け、地中で何年も過ごす。そして、地上に出て、その使命が終われば死んでいく。セミが地上に出て、わずかな期間しか生きていないのを、あわれに思う感覚は、典型的な人間の発想である。生き物は、命を繋ぐことこそが最大の使命であり、生きることの意味である。