ANA・787・福岡就航第一便 随筆のページへ

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File No.120501


2012年5月1日の福岡空港。待望の新世代機・ボーイング787の第一便が飛来した。鳥が大きく羽根を広げたような、反った翼が特徴である。昔、727が「夢のジェット機」と歌われたが、この787のネーミングは文字通り「ドリームライナー」である。当面、羽田−福岡間を、一日一往復する。時刻表を見ると、座席数は264席、機種表示は「78P」となっている。787運航すべてに特別のマークが付けられている。福岡のほかに鹿児島にも今日から就航している。今後、熊本線にも投入予定である。そもそも787のANAへの納入予定は2008年5月だった。いろいろな不具合の発生、従業員のストなどをくぐり抜け、結局3年半遅れの去年9月納入となった。福岡就航第一便のJA807Aは、近距離国際線仕様なので、本来なら2008年8月の北京五輪へのチャーター便に投入される予定だったのではないだろうか。




5月1日AM09:05・DREAM LINER第一便着陸 

 福岡空港に、ついにお目見え (JA807A)


787はそれまでの中型機に比べ、効率を約20%高めた。それは高度の電子化、ロールスロイルのエンジン・トレント1000、流体力学による新しい形状などもあるが、何といっても炭素繊維複合材料の多用による軽量化が大きい。その開発に大きく日本企業が関わっている。特に複合材料は、日本の技術力の高さを誇るものである。機体の全部品の35%を日本企業が担当した。787は日本企業の先端技術の粋を集めて創った「準国産」とも呼べる最新鋭機であるとANAは言う。ANAのパンフレットでは、携わった企業を次のように紹介している。東レ(機体構造の基本となる炭素繊維を供給)、三菱重工業(主翼)、川崎重工業(前部胴体・主脚格納室・主翼固定後縁)、富士重工業(中央翼など)。ほかにも、ブリジストン、パナソニック、ジャムコなどが携わっている。航空機産業は、高い技術水準が要求される。またこれが産業界に広く波及していく。三菱のMRJ、ホンダのビジネスジェット、CX、PXなどにも大いに期待したい。


オープンスカイによる規制緩和が本格的になり、日本の空も格安の時代に突入である。今年は「LCC元年」とも言われる。3月に就航したANA出資のPeachや、夏にはエアアジア、JALや三菱商事が出資しているジェットスターなどが相次いで就航する。これまで疑問を持つこともなく利用していたが、信じられないような激安の運賃に消費者は驚いた。それは過剰なサービスの排除、短い着陸時間、その間にCAが機内を掃除したりと徹底的に経費をカットする。こうしたLCCと、既存の航空会社が、同じ路線で真っ向勝負である。だがLCCは、単に移動の手段と考えるべきだろう。これに対し既存の航空会社は、「快適で豊かな旅の提供」と言える。そういう意味で787の快適さは、これまでの機種とは異次元といってもいい。787に搭乗した人の感想のトップを占めるのが「とにかく快適」である。詳しい内容は省くが、787にはそれだけの評価を得るだけの確かな理由がある。


787がロールアウトしたときの機体には"Launch Customer ANA"と書かれていた。787は、ANAがローンチカスタマーとなり、開発された機種である。エアバスがA380という巨大な旅客機で衝撃を与えたのとは正反対のコンセプトをANAは提案した。ANAのパンフレットには「経済性・効率性に特化した次世代のコンパクトな旅客機を」と書かれている。747が引退し、ダウンサイジングが世界の航空会社の主流であることを思えば、ANAは実に先見の明があったと言える。完成前の受注機数として、ボーイング史上最高の677機を受注したことがそれを物語っている。途中の開発の遅れなどで、ごたごたがあったものの、今のところボーイングの受注状況は870機になっている。ANAは787を55機発注している。今後中型機では787をメインに、787のさきがけとなった767、大型機では777での運用になる。こうしてみるとやはり新しい時代の風を感じる。



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ANA・CARGO/ALLEX (JA8286)

これも初めて見た (5月1日朝8時ころ)

2012・05・03 MRJ用エンジン公開
米航空機エンジンメーカー、プラット・アンド・ホイットニー(P&W)が、三菱航空機のMRJ用のエンジンを公開した。従来型より燃費を15%改善し、騒音も大幅に減らした次世代型エンジンだという。これは空気を取り込む前方のファンと、内部のタービンの回転数を変えることで実現した。P&W社は、先月末から飛行試験を開始、来年には安全承認が受けられる見込みとの見方を示した。MRJは、来年10月ごろの初飛行を目指している。