限りなく黒に近い鼠色 随筆のページへ

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File No.120427

フリーマーケットに古本が並んでいた。その中に平沢勝栄議員が書いた「明快!国会議員白書」というのを見つけた。これは2000年の発行であるから、12年前の国会の舞台裏が書かれている。価格は100円、早速購入した。以下、その内容を少し書いてみるが、12年前と全く変わっていないことに驚く。「日本はいま、未曾有の危機に直面している。景気は依然として低迷し、財政は破たん、そして教育現場は荒廃している。日本の復活には経済の立て直し、財政再建、そして教育改革、この三本の柱を中心に、少子高齢化、エネルギー問題、福祉問題などに取り組んでいかなければならない」、「財政面では・・・・莫大な借金を抱え、危機的な状況にある。公共事業やバラマキ福祉の見直し、行財政改革など、早期に財政再建の道をつけなければならない」。"十年一日の如し"は本来平凡な暮らしの事を言うが、日本の政治は、危機的状況が"十年一日の如し"である。


「官高党低政治・・・・それは同時に政治家の無能化を招いた」と書かれている。なぜ政治が変わらないのか。それは政治家が、官僚に牛耳られ、官僚なしでは何も出来ない無能集団だからである。某防衛大臣の国会でのあたふたぶりを見ればわかるだろう。あれが日本のお大臣様だぞ。民主党を指して、泳げない子供を水泳大会に出したようなものと言うが、大方の国会議員はみんな似たり寄ったりだろう。そんな国会議員が722人もいる。昨日、小沢一郎のグループ議員が105人集まったという。右も左も分からない議員も、既得権者と癒着して税金を横流ししている議員も、みんな一人当たり年3300万円の税金が払われている。それも非課税である。そのほかにも所属議員一人当たり4500万円の政党交付金や立法事務費という名目で、年間200億円もの税金が政党に支払われている。「船中八策」に「参議院廃止」というのがあったと思うが、議員定数削減はどうなった。


昨日の小沢一郎の判決に大半の国民は、「限りなく黒に近い鼠色」と思ったに違いない。我々は、何億円というカネが「簿外処理」され「虚偽記載」された事実を目の当たりにした。政治資金収支報告書を一度も見たことがないなどと、よくも言えたものだ。本人は無罪と胸を張るが、秘書たちの有罪をどう考えているのか。石川議員から小沢へ報告があったことは認定された。監督責任というものがあるだろう。何の説明責任も果たさず、国民が納得するはずもない。「無罪」判決で、国民のストレスはさらに増幅した。判決では強制起訴の適法性について「適法で有効」とした。強制起訴の効力に関する初めての司法判断である。今回の起訴は国民の総意だったと言っていい。金権政治の権化みたいな政治家にはうんざりしている。出来ることなら、小沢が買ったという辺野古の不動産について、インサイダー取引容疑で起訴したいくらいだ。前回民主党が勝ったのは、決して小沢の手腕ではない。自民党のオウンゴールだったことを忘れたかッ!!そもそも、あのでたらめな鳩山を操っていたのは小沢だろう。二度と表舞台に出てくるな!!


平沢勝栄氏の本の中に『ドイツの思想家マックス・ウェーバーは、政治家に必要なものとして「情熱」「判断力」「責任感」を記している』とある。あとがきでこうも書いている。『「政治とは何か、この日本をどうすればいいか」という根本的な認識・姿勢がゆがんでいるからである』これは当時の自民党を指して言っているのだが、今の民主党には、党の綱領すらない。民主党として、日本をどう舵取りしていくのか、その羅針盤がないのである。さらに、『政治家として第一義にすべきは、選挙の当落ではなく、まして執行部のご機嫌取りでもない。政治家は政治をするべきなのだ』としている。明治・大正期の政治家で、加藤拓川という人がいる。この人が、松山で友人たちに支援され衆議院議員に当選し、東京に出てくる時に松山の人たちにこう言ったという。「代議士は一国の利益を図るものにして、一地方の利害ごときは自己の選挙区といえども顧みるべきものにあらずと信ず」。



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明快!「国会議員」白書

2000年11月28日 第一刷発行

著者:平沢勝栄
装画:浅賀行雄
発行:株式会社 講談社

「国会議員、三日やったらやめられない!」

2012/05/10 陸山会事件・控訴へ
先月、「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、小沢一郎に無罪判決が下った。しかし指定弁護士が「見過ごせない事実誤認がある」と東京高裁に控訴した。地裁の判決を見る限り、これでなぜ有罪に出来ないのかという内容だった。金権まみれの小沢一郎が、知らぬ存ぜぬを言い通したのを信じる市民などいない。一市民としては"よくぞ控訴してくれた"と言いたい。検察審査会を問題視したり、連座制の導入に腰が引けている輩は、後ろめたいことをしているからだろう。
それにしても、小沢一郎の党員資格停止処分の解除は早かった。何もかも決められず、動きの鈍い民主党が、政権を取ってこれまで、こんなに動きの速い決断をしたことがあっただろうか。まあ、その程度の政党だ。