福岡モーターショー2012
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福岡モーターショーが、1月27日から4日間、マリンメッセ福岡など3会場で開催されている。福岡での本格的なモーターショーは、2007年、2009年に続き今回で3回目となる。厳しい環境ながらカーアイランド九州らしく、前2回とも10万人を超える入場者だった。今回は国内外のブランドが、過去最多となる323台を出展しているという。テーマとして「クルマと夢見るあしたの暮らし」を掲げている。このテーマからも分かるように、移動手段としてのクルマから、人とのつながり、ITとのつながり、社会とのつながりなど、夢のある暮らしを創造するクルマの未来を目指している。
大手メーカーは、HV車やEV車を国内生産の主力にするという。いまや環境性能は、自動車の基本である。今回私が興味を持ったのは、小型液体燃料電池を搭載した「FC商CASE」というダイハツの車である。まだ開発途上ながら、その内容は未来を予見させる。ポイントは、新液体燃料「水加ヒドラジン(N2H4・H2O)」である。説明によれば、窒素と水素を原料として、どこでもつくることができる。ロケット燃料に使われているようだが、日本ではほとんど使われていないという。常温では引火しないので、普通のガソリンスタンドの設備で供給が可能というところもいい。他にもその特質から、コンパクト化、低コスト化が可能という。これが実用化されたら究極の"ゼロ・エミッションビークル"になるかもしれない。
若者の「車離れ」に歯止めをかけようと、トヨタが近く投入するのが「86(ハチロク)」である。パンフレットに書いてある「トヨタ渾身の小型FRスポーツカー」という表現が、その意気込みを物語る。「数値ではなく、人が感じる楽しさ。ただそれだけを、極限まで追求したクルマをつくりたかった」というところに、クルマをつくる人たちの熱い思いが伝わってくる。この車のエンジンは、富士重工の2リットル水平対向4気筒ガソリンエンジンと、トヨタの直噴技術を組み合わせることで、高出力と高い環境性能の両立を図ったという。共同開発なので、富士重工からも、新型FRクーペ「BRZ」として発売される。この年齢になっても、こういうコンセプトを聞くと、何だか乗ってみたくなる車である。
去年は自動車メーカーにとって、辛い試練の年だった。東日本震災やタイの洪は何とか乗り切ったものの、最近の報道では、トヨタが3位に落ちる一方で、好調の米国を象徴するようにGMが首位に返り咲いている。更に、これでもかと円高が追い打ちをかける。円高は深刻である。だが、単に外国での生産にシフトすればいいという訳にはいかない。自動車産業のすそ野は広い。日本の技術力と人材をじり貧にしてはいけない。カーアイランド九州としては、150万台生産を目標にしている。関連部品企業も多く、部品の地元調達率70%が目標である。今回のモーターショーからは、メーカー各社が、何とか国内の需要を掘り起こそうとする強い姿勢が読み取れた。



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これはブルース・ウィリスを起用したCM「オレのおかげ?」でお馴染みの「ダイハツ・ミラ イース」である。ハイブリッドではないにもかかわらず、リッター30kmという驚異的な低燃費を実現した。ところがこれは、特別な技術によるものではなく、小さな技術革新の積み重ねて達成したという。逆に、そこがすごいと言えるが、さらにエンジンの2気筒化でリッター35kmへの挑戦が続いている。低燃費が評価されて、去年の販売台数のランキングでは、22.9%と断トツの伸びで7位(軽自動車では4位)に入っている。

2012/01/31 モーターショーの入場者は14万人
4日間の累計入場者数は、目標の12万人を大きく上回って、14万5千人だった。これは過去最多で、前回を34%も上回ったという。1日の入場者数では、29日の5万6千人が最も多く、これもまた過去最多を記録した。九州の車に対する思いは熱い。13年度後半に開催予定の次回モーターショーもまた楽しみである。

2012・03・07 ハチロク受注・目標の7倍
トヨタ自動車は、「86(ハチロク)」の受注台数が販売目標台数の7倍にのぼったと発表した。2/2〜3/2の一か月の集計で、月間販売目標1千台のところ、7千台の受注があったという。このため今注文しても、納車が9月以降になるという好調な滑り出しをみせている。