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File No.110108

1月5日、新しく就任した東京高検の検事長が記者会見で「うそをつかない検事を育てなければいけないと痛感した。うそをついてはいけないということが信念に高まるまで、徹底教育することが大事だ」と話した。去年、大阪地検は、勝手なストーリーをつくり、それに合わせて証拠を改ざんし、上司はそれを隠ぺいし、最高検もこれを了承していた。村木局長に対し、担当検事は「私の仕事は、あなたの供述を変えさせることです」と言ったという。もはや「秋霜烈日」など「死語」である。検察には、捜査権、起訴権、控訴権など刑事手続きについて強い権限が与えられている。全てが組織内で完結し、外部からのチェック機能がない。つまり起こるべくして起きた事件だと言える。この不祥事で、トップ人事を刷新し、新しい体制になった。出直しするに当たり「再発防止策」を出したが、結局内部のチェックだけのようだ。新検事総長は「国民の皆様からの信頼回復に全力を注ぎたい」と言うが、取り調べの一部可視化やトップ人事も含めて、守りの姿勢が見え隠れする。何といっても「うそをつかない検事を育てる」ところから始めるのだから先の長い話である。

統一地方選の年になって、西日本新聞では年初から「地方自治」をテーマに、いろいろな角度から取材、分析し問題を浮き彫りにしている。 "あなたの地元の地方議会のセンセイは何を議論し、どれだけの公金を使っているかご存知ですか" と読者に問題を投げかけている。大体は分かっていたつもりだが、改めてその実態に驚いている。「執行部は議員の顔を立て、議員は議案を通すことだけを考えるようになった。政策研究という議員の仕事は放棄されている」「公開される公式の会議は、すでに合意した内容をまとめた紙を議長が読み上げるだけ」という。遅刻、居眠りは言うに及ばず、市民の暮らしに直接関わる「政策条例」の提案は4年間"ゼロ"、その任期中に一回も質問をしなかった議員が15人もいたという。よく議員と企業の癒着が言われるが、もし既得権益企業から送り込まれた議員で議会が構成されているのであれば、市民目線の政治など期待出来ようはずもない。そんな議会だが、重要な案件はその協力が不可欠なのである。持ちつ持たれつ、首長と議会のなれ合い体質が出来上がっている。

毎年、会計検査院は、前年度の決算を調べた報告書を出す。去年指摘された件数・金額は、ともに過去最多だった。毎年毎年、同じような内容が指摘されながら、減るどころか過去最多である。会計検査院が調べた県や市、すべてに不正があったという。地方自治体だけではない。総務省や法務省など8つの中央省庁でも不正経理があった。余った予算を年度内で使い切るために、書類を偽造したり、業者を介在させて裏金をつくったりと、相も変わらぬ手口である。「来年度の予算をもらうためにやりました」という言い訳をよく聞く。公務員にとって「財政の危機」と、自分たちの使う金は全く別ものである。「税金を使う」という感覚はなく、「使わねば損」だと思っている。内部監査はあるものの、所詮内部監査である。会計検査院が毎年同じような指摘をしている訳だから、分かっているはずだが、偽造された書類であれ何であれ、とにかく形さえ整っていればフリーパスである。不正経理が発覚すれば、表向きは「再発防止に努めます」と神妙に頭を下げる。しかし内心は「運が悪かった」くらいしか思っていないのだろう。

年末、政府は来年度予算案を閣議で決定した。民主党としては初めての自己責任の予算である。予算規模は92.4兆円と過去最大になった。これで国と地方の借金の合計は862兆円になり、これは一人当たり700万円の借金だという。まさに借金地獄に陥った多重債務者である。それでも「子供手当」「農家個別保証」「高校無償化」といった"ばらまき"はやめる様子がない。「事業仕分け」などと目先をごまかしても、所詮は茶番劇である。地方からの圧力にあっさり負け、名前を変えて焼け太り状態で税金を垂れ流す。公務員人件費削減や国会議員の経費削減はどうなった。要するに民主党は、税金で「票」を買いあさるような政策しか出来ていない。会計検査院の指摘では、中央省庁だけでも30億円を超える不正経理の指摘を受けている。「公金意識」の無さは前述のとおりである。こんな状況にも関わらず、1月5日、首相はテレビ出演で「政治生命をかけて消費税を上げる」と話したらしい。金が足りなくなれば一番取りやすいところから取るということである。順序として、まずプライマリーバランス改善に政治生命をかけてみては如何ですか。

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2011/01/28 菅首相は国債の格付けに「疎(うと)い」らしい
アメリカの格付け会社S&P社が、日本の国債の格付けを引き下げた。これまでの「AA」から「AAマイナス」になった。財政が懸念されているあのスペインよりも下になった。問題は格下げの理由である。「民主党政権には債務問題に対する一貫した戦略が欠けている」としている。これに関する記者からの質問に対し菅首相は「そういうことには疎(うと)いので・・・」と言ったという。開いた口がふさがらん。

枝野官房長官は「市場の信用を維持するためにも、財政健全化を進めていく方針を徹底したい」と言った。しかし返す刀で、子供手当を2万円に増額の閣議決定である。民社党がいくら言い訳をしようがS&P社の判断は間違っていない。おそらく国民みんながそう思っている。口だけ達者だけでは誰も納得しない。増税しか頭にない与謝野馨を入閣させたことが全てを物語っている。

私は「順序として、まずプライマリーバランス改善に政治生命をかけてみては如何ですか」と書いたが、まさにS&P社はそれを指摘している。実行能力もなく、ただただばらまくしか能のない民主党では、増税しても何の意味もない。“ざる”にいくら水を注いでも何の足しにもならないのと同じである。今、腰を据えて取り組まないと、破たんした地方自治体と同じになる。

財政再建には、かなりの痛みが伴う。例え3分の2の国民が賛成する良い施策でも、極端な話3本実施すれば、全国民が何らかの不満を抱えることになる。(馬鹿な政治家は、庶民の味方を気取って批判することしか出来ない) それを納得させるのは、その痛みが必ずいい結果をもたらしてくれるという希望である。小泉政権時代のように、財政規律に対する確固たる信念など、今の民主党には全くない。