映画「SP・野望篇」を観て
映画のページへ

随筆のページへ

トップページへ

File No.101108

「SP」は、フジテレビ系で放映された連続テレビドラマだが、平均視聴率15.4%と深夜番組としては歴代1位の人気ドラマだった。ドラマのエンディングでは、すでに映画化決定となっていたから、楽しみにしていた。あれから2年半、やっと劇場版「SP」が公開された。待ちわびたファンも多かったろう。今回だけでも50憶、「革命篇」と合わせて100億の興行収入を見込めるほどの大ヒットになっている。映画は、テレビドラマのストーリーをそのまま引き継いでいる。ドラマの最後で、警護課の西島理事官が拳銃自殺する。要人の行動予定がテロリストに漏れていた疑いで、公安が西島理事官の逮捕に踏み切ったからだ。踏み込む直前の自殺に、公安は上層部の関与があると見た。この時、公安の田中が「西島さんは何がしたかったのでしょうね」とつぶやく。その後、西島理事官の後任として着任した梶山理事官と警護課第四係の係長・尾形(堤真一)の間で、こういう会話が交わされる。梶山「西島先輩は残念でした」、尾形「仕方ないだろう。大義のためだ」。西島の死は「大義」を成すための犠牲だった。

朝9時55分。六本木ヒルズで地雷撲滅のイベントが催されようとしていた。警護に当たっているのは四係の面々。突然井上(岡田准一)は激しい頭痛に襲われしゃがみこむ。井上の脳裏には、ステージが爆発物で吹き飛ぶイメージが浮かぶ。ステージ上に国土交通省大臣があがり話しを始めた。めがねをかけた背広の男が、傘を持っている。井上が何か気配を感じる。間一髪テロを防いだ井上は、ここから20分にわたり、逃走するテロリストを激しく追跡し格闘し追い詰める。傘にはやはり殺傷能力のあるパイプ爆弾が仕込んであった。・・・ホテルの一室。与党幹事長・伊達(香川照之)の政治資金パーティの後、キャリア官僚など数名が伊達のもとの集まっている。メンバーのなかには梶山も、尾形もいる。「ソフトランディングではこの国は変わらない。この国に必要なのは、国民の価値観を変えるような革命だ」。伊達幹事長が言う「立場上、おおっぴらにはできないが、バックアップする。私に力があるときに、君たちの革命を実行してもらいたい」さらに「井上とかいうのは、何か目障りだな。公務執行中の殉職という形がいいな」。

映画「亡国のイージス」で、テロリストのヨンファが「国家安全保障会議」の説得に対して「・・・その状況認識の甘さは、いかにも日本人らしいな」と言う。今回の尖閣諸島問題では、その通りの出来事が起きた。悪質商法で「次々販売」というのがある。ある家に売り込めるという情報が悪質業者間に出回ると、次々に売り込みにきて、抵抗のできない弱者を徹底的に食い物にする。尖閣問題のふにゃ腰外交が、北方領土のロシア大統領訪問にまで飛び火した。前の随筆で「全国民が危機感を共有した今回の尖閣の問題は、国防を考えるいいきっかけになった。・・・日本が日本であるために、憲法改正を急がなければならない」と書いた。ただただ憲法9条さえ持っていれば、平和が守れると思っている人たちがいる。海保がどれだけ身を危険にさらしているか、自衛隊がどれだけスクランブル発進をしているかなど知る由もなかろう。思春期の生意気な子供が、一人で大きくなったと勘違いしているようなものである。とにかく日本全体の認識を改めねば、取り返しがつかないことになる。今回の「SP野望篇」における「国民の価値観を変えるような革命」というのは、まさにそれを意味している。

某監房長官が、日本の「主権」より大事にした「APEC首脳会議」が、いよいよ間近に迫ってきた。SPの警護対象者は、日本において過去最大が見込まれているという。大都会の土日という「史上最も難しい警備」(※)に、今ごろSPも公安も胃が痛くなっていることだろう。そのSPのあるべき姿とは何か。映画で井上がマルタイを警護し、危機的状況から脱した時、マルタイは感謝しているにもかかわらず、「申し訳ありませんでした」と謝罪する。SPは事前に危険を察知し回避し、まるで何事もなかったように事を収めることが本来の任務である。そう言う意味で「シンクロ」や「フォトグラフィックメモリー」といった特殊能力を持つ井上にとってSPは天職とも言える。その井上を尾形は、革命の仲間に引き込もうとする。「お前の意思と能力を大義のために使え。この国のシステムを変えろ」。だが井上は「目に見えない大義より、目の前の暖かい肉体を守ります。SPの崇高な精神を、私はあなたから教わったんです」と断る。この野望篇は、次の「革命篇」で完結する。その予告にはこう書いてある。田中「本物の尾形総一郎は別にいます」。いったいこれはどういうことなのか?来年春公開の「革命篇」が待ち遠しい。

映画のページへ 随筆のページへ トップページへ
(※)「APECは"経済会議"であるから、都市機能は止めず、いかに調和して警備をやるかが重要」ということらしい。
映画「SP・野望篇」
2010年10月/98分
ドルビーデジタルサラウンドEX

監督:波多野貴文

主演:岡田准一、堤真一、真木ようこ

「SP・革命篇」 2011年3月公開
警視庁
警備部 部長 伊勢崎武則(大出俊)
警護課 理事官 梶山光彦(伊達暁)
元理事官 西島勇司(飯田基祐)
庶務係 原川幸子(平田敦子)
第四係 係長 尾形総一郎(堤真一)
警部補 石田光男(神尾佑)
巡査部長 井上薫(岡田准一)
巡査部長 笹本絵里(真木よう子)
巡査部長 山本隆文(松尾諭)
第四係(新人) 巡査部長 木内教永(古山憲太郎)
巡査部長 青池由香莉(入山法子)
政界
内閣総理大臣 麻田雄三(山本 圭)
与党・幹事長 伊達國雄(香川照之)
 伊達の秘書 横溝雅治(堀部圭亮)
防衛大臣秘書官 滝川英治(平 岳大)
外務省国際テロ
対策協力室・主任
安齋誠(波岡一喜)
   
公安部
公安第一課 係長 室伏茂(春田純一)
巡査部長 田中一郎(野間口徹)
     
APEC首脳会議(米国) 同盟深化より経済問題重視(2010・11・09西日本新聞より
オバマ大統領の第一の目的は「急成長するアジアで市場を開拓し、米国内の雇用を創出する」という。一方安保では、最近の中国の強圧的な行動に、同盟国の後ろ盾となることで、アジアでの米国の存在感を高める機会であるととらえている。
 ところがこの状況下にあって、日米間については、日米安保条約改定50年の節目に検討された日米同盟深化のための共同宣言は見送りになった。米国安全保障会議のアジア上級部長は「米国にとって、ある意味での“忍耐”が対日政策の軸だ」といらだっている。さらに米シンクタンクの幹部は「半年は待てるが、10年も待てる忍耐はない」と言っている
外交や防衛という分野においては、政権が代わったからといって、その基盤が揺らぐようなことがあってはならない。私は、この分野においては誰がヘッドに座っても、あるべき姿、方針が大きく変わることはないと思っていた。だがほんの一年でまるで、積み木が音を立ててくずれ落ちるがごとくである。今の状況を解決するには、もはやクーデターしかないのかもしれない。



2010/11/18 仙谷長官が「自衛隊は暴力装置」と暴言

仙谷官房長官は衆院予算委員会で、自衛隊のことを「暴力装置」と言った。信じられないような暴言である。これが日本国の舵を取っている人の言う言葉か!!テレビで知ったとき、私は、あぜんとして言葉を失った。ましてや、日本の安全を守るために、命を賭ける覚悟の自衛官も、激怒を通り越して「寂として声なし」の状態だろう。

野党の追及で「実力装置」といい換え「謝罪」したが、謝れば済む問題ではない。失言というのは、常々そう思っているから思わず出てくる。つまり仙谷長官は、自衛隊をいつも暴力装置と思っているということである。これでは、憲法を改正し、自分の国を自分で守る普通の国など、「夢のまた夢」である。憲法審査会など動き出す訳がない。

柳田法相のはもっと性質が悪い。「法務大臣とはいいですね。2つ覚えておけばいいんですから。「個別の事案についてはお答えを差し控えます」これがいいんです。あとは「法と証拠に基づいて適切にやっております」まあ、何回使ったことか」。こっちは失言の域を超えて、実際に何度もやっている。国民をバカにするのもいい加減にしろ!!

仙谷長官にとっては、「日本の主権」より「APEC」が大事だった。私は、先日「今すぐ民主党政権を引きずり下ろして、しっかりとした保守政党で舵取りする方法はないものか」「今の状況を解決するには、もはやクーデターしかないのかもしれない」と書いた。今回の「自衛隊は暴力装置」発言に至っては、執行猶予は取り消しである。日本が無くなってからでは遅い。


これは便利なシステム
 福岡県立図書館の蔵書が、近くの図書館で借りられる
福岡県立図書館のホームページで、借りたい本を申し込むと、自分が住む近くの図書館(福岡県内)で受取りと返却ができる。まず県立図書館で「利用者登録」をし、「貸出カード」をつくる。蔵書の検索と貸出の申込みは、インターネットで24時間できる。貸出の用意ができると、メールで貸出期間の通知がある。受取可能期間に指定した近くの図書館の窓口で、貸出カードを提示して借りる。蔵書の検索対象は、県立図書館だけでなく、県内の40数か所の図書館の検索もできる。県立図書館だけでも蔵書は約70万冊ある。このシステムを使えば、借りることのできる本が、飛躍的に多くなり、読みたい本がまず間違いなく借りられる。