新年度を迎えた消費者庁 随筆のページへ

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File No.100530

 旧ミドリ十字の子会社「バイファ社」が、血液製剤の試験データを改ざんしていた。品質試験や製造工程でデータ改ざんなどが組織ぐるみで行われていたという。あの薬害肝炎問題の会社が組織的に起こした事件と聞けば、誰もが「怒り心頭」だろう。それも「血液製剤」ですぞ。絶句するニュースである。「管理不十分」で親会社の「田辺三菱製薬」が先月、25日間の業務停止処分を受けた。バイファ社で不正行為をしていた多くが旧ミドリ十字出身者だった。まずは経営ありきで、人命などそっちのけである。日本の薬品産業界全体ににどういう影響を与えるか、そういう自覚など無いに等しい。なにか問題が起きると今回のように「生命にかかわる医薬品会社として、あってはならないことで、深くおわびする」と謝罪する。だが、今回の事件を見れば、また表面的に謝罪しただけのことで終わるのではないのか。こいつらの辞書には「反省」という言葉は載ってないようなので、「反省」の仕方が分からないと見える。

 親会社(上位組織)の「管理不十分」「人命軽視」と言えば、先日判決がでた「パロマ事故」もそうである。企業トップに「業務上過失致死傷罪」が言い渡された。パロマはそれまでに十数件の事故情報を得ていながら、放置していた訳だから当然の判決である。被告側は「製品自体の欠陥ではない。修理業者が勝手に不正改造した」と反論していた。しかし、判決(新聞掲載の判決要旨)では「直接の原因は、修理業者による不正改造だが、両被告は、そのことを理由に安全対策を回避するのではなく、何よりも使用者の生命の安全を優先し、ガス器具を社会に提供する責任を踏まえた対応が求められていた」と断罪した。さらに「積極的な事故防止対策を行うべきだった」とあるが、経営者というのは本脳的に、何とか自分の企業を守ろうとする。「天網恢恢、疎にして漏らさず」。それは結果的には、問題をより大きくし、のっぴきならない状況に自らを追い込んでしまうことになる。「バイファ社」同様、これは「企業倫理」の問題である。

 二つの事件とも、ともに行政の問題もある。バイファ社の事件では、すでに1年以上前に厚労省には情報が入っていたという。親会社まで処罰したことは評価できるにしても、いかにも遅いという印象である。パロマ事故でも、経産省は前々から事故情報を得ていたが、担当課別の情報であったため表面化しなかったようだ。行政の対応によっては防げた事故があったかもしれない。こういう弊害を解決するために去年設立されたのが「消費者庁」である。各省庁は「産業育成」と「消費者の利益」というアクセルとブレーキを担当している。昨日受けた経産省の講座では「規制を厳しくすれば、消費者被害は減る。しかし規制をかけすぎることによる弊害もある。健全な企業をつぶすことにもなりかねない」と言っていた。消費者庁は、これまでの縦割り行政の弊害をなくし消費者目線へ転換した画期的な改革である。消費者行政を横断的に一元管理する。新年度を迎え、地方自治体でも消費者行政が強化されつつあり、消費者自身の意識も高まってきている。

 ところが、その組織を動かしていたこれまでの相談員の身分は誠に悲惨だったようだ。ネット上には「相談員をせめて人間扱いしてくれ」という声もあった。消費者行政の予算は、1995年に200億円あったのが2008年には109億円まで半減している。ところが、相談件数はこの10年で2倍(94万件)になっている。「地方交付税措置の拡充」の平成21年度を見ると「相談員の報酬は、約150万円から300万円に」となっていた。先日の事業仕訳で「廃止」と判定された宝くじ協会などへの支出は469憶円である。天下りの役員に高額の報酬が支払われていた。激務に耐え、生活の安定もままならない相談員の報酬を150万円まで絞り取り、一方では官僚が自分の天下り先に、税金を垂れ流す。加えて官僚なしでは、何もできない政治家にチェック機能がない。今回の事業仕分けも、官僚がこれは切ってもいいというものだけを、大々的に政治ショウとして見せただけである。それは全体のわずか1%程度でしかない。しかも、拘束力がないので、本当に廃止されるかどうかも分からない。これが政治の実体である。本当に血管が切れそうである。しかし、消費者庁ができ、相談員の処遇の改善に積極的に取り組む姿勢がみえてきた。新年度をむかえ、消費者庁がすべてにわたってますます充実していくことを願ってやまない。

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2010/06/05 
消費者担当相に蓮舫氏が内定したそうな。事業仕訳で派手にテレビに映っていたから起用されたのだろう。結局その程度で大臣なんて決まる。事業仕訳は、官僚がこれは切ってもいいと出したものを、いかにもという演出でみせる。やっているのは急所をはずして枝葉末節だけ、しかも拘束力はない。つまり、"やらんよりはまし"程度のものである。さて蓮舫議員が、"お飾り"で終わるのか、評価できるような動きがあるのか。しかし、所詮「世界で2番じゃだめなんですか」というレベルである。