TVドラマ「風のガーデン」
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木曜日夜10時に放映されているTVドラマ「風のガーデン」を毎週観ている。フジテレビ開局50周年の記念ドラマである。脚本家の倉本聰氏が富良野を舞台に書いたもので、緒形拳さんの遺作になったドラマでもある。主人公・白鳥貞美(中井貴一)は、優秀な麻酔科医である。ところが、かなり進行した“すい臓ガン”で余命数ヶ月と診断される。さてその数ヶ月の間、貞美が「死」と対峙し、人生を締めくくるにあたり、どう生きるのか。ドラマのホームページには「人間は最期に何処に還るのだろう」と書いてある。貞美の父・貞三(緒形拳)は訪問医として、末期ガン患者が自宅で家族に見守れながら安らかに永眠するよう尽力している。先週は、その貞三の息子・貞美が末期ガンであることがわかり、貞三はもちろん貞美を取り巻く人々に衝撃が走る。次回は第10話になり、ほぼ最後に近づいている。ドラマを貫くのは「生と死」という重いテーマだが、貞美の愛すべき(?)人物像や咲き乱れる花々、富良野の美しい景色が和ませてくれる。

このドラマのタイトルにもなっているガーデンだが、きれいな花々が咲き乱れている様子が毎回楽しみである。この花々は、一瞬の時を精一杯咲き誇り、甘い蜜を用意して、昆虫など小動物を惹きつける。聞くところによると、あの花びらは葉っぱが変化したものだという。それは種を保存するため、細胞が考え出した見事な方策である。そして役目を終えると、あっけなく枯れ果て散っていく。その“はかなさ”こそが今回のドラマの底に流れる「命」や「死」をイメージさせる。考えてみれば花は、人間に対して咲いているわけではない。しかもターゲットの小動物たちには我々人間とは違う色どりに見えている。では何故我々人間には、あのように綺麗にみえるのだろうか。それは、心地よい安らぎを感じるために、長い時間をかけて人間と人間の細胞が協力したからだろう。細胞の乗り物にすぎなかった人間が進化し、人格というものを作り上げていった。そこに対峙という構図が発生したのだが、花を綺麗だと感じる心に関しては、両者の意見が一致したようだ。

今年は、ノーベル物理学賞を日本人3氏が独占し、更に化学賞でも日本人研究者が受賞した。日本人として実に誇らしいことであった。毎年年末に、世相を表す漢字一文字が決まる。今年は五輪の年でもあり「上野投手の413球」など輝いた人たちも多い。去年が「偽」だったので、今年は明るく「賞」というのはどうだろう。さて、そのノーベル賞を受賞した研究内容だが、新聞・雑誌に載ったやさしい解説で何となく解かったような気がしている?? 以前私は「“正”と“負”のエネルギーが微妙に交錯しながら“無”の世界を保っているかのように、我々の人生そのものも揺らぎながら“ゼロでバランス”している」といった意味のことを書いたことがある。ところが今回の「対称性の破れ」というのは、「粒子」と「反粒子」が「バランスしなかった」ことで地球や我々が存在しているという。とは言うものの、ほとんどの「粒子」と「反粒子」は結びついてゼロになる。我々人間界はかなりアバウトな世界なので、概ね「ゼロでバランスしている人生」という今までの私の考えに揺らぎはない。

緒形拳さんはすでにこの世にはいない。拳さん最期の演技が心を打つ。ドラマでは、貞三が余命数ヶ月だが、現実の世界では拳さんが同じ状態にあったわけだ。おそらく演技をしている時、自分自身と重ね合わせた部分が数多くあったに違いない。そんなことを思いながら毎週みているが、特に10月16日放映の第2話で約3分半にわたって、蛍(老犬)が死んで悲しむ岳くんに静かに語りかけるシーンは、私の永久保存版(DVD)になった。手前勝手な解釈だが、私が常々考えているようなことを、緒形拳さんが言ってくれたような気がしたのである。「・・・・生きているものは必ず死にます。・・・・死ぬってことはね、生きてるものの必ず通る道です。・・・・動物と植物の違いはあっても、どっちも同じ命なんです。・・・・死ぬってことは、そういうことなんです。恐ろしいことじゃ決してありません。・・・・」全部は書ききれないので分かりづらいと思うが、この時拳さんの顔は、あくまでも穏やかで優しい顔だった。「死」と対峙し「死」を凌駕し、ドラマの完成を待って、見事に散っていったのである。さて、ドラマの最期がどう締めくくられるのか。緒形拳さんと重ね合わせ、しっかり観届けたいと思っている。


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2009/05/29 「風のガーデン」が放送文化基金賞受賞
 放送分野で優れた番組を表彰する「放送文化基金賞」を「風のガーデン」が受賞した。また故・緒形拳さんは、最後の主演作品「広島発 特集ドラマ 帽子」とともに、その演技が高く評価され、故人としては初めてテレビ番組部門の特別賞を受賞した。
2008/12/09
以前、「私の考える異次元からのコントロール」で、時空をさかのぼって過去に行くのは「DNA」の確認のためと書いていたが修正したい。五感(視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚)を通して入ってきた情報は、人間と細胞がそれぞれの必要とする情報を取り込んでいく。上の本文で書いたように「花をきれいだと感じ、安らぎをおぼえる感覚」を植えつけたのは、人間と細胞の意見が一致した結果である。入ってきた情報を、人間は記憶という形で、細胞はDNAという形で保存する。人間の記憶は消えても、かなり細胞へ影響を与え、DNAへ刻み込まれているはずだ。その細胞の記憶は、次世代へ完全にコピーされる。つまり、わざわざ過去にさかのぼっていかなくても、体内に記憶が保存されている。人間は、その記憶をほぼ解明しつつある。以前書いた過去への時空の移動は必要ないという考えに至り修正したい。
(以前書いた随筆の一部)
私は以前から“異次元からの制御”という考えを持っている。前提は「“異次元からの制御”によって未来は変えられる」である。いい機会なのでイメージをまとめてみた。まずは異次元への出入りであるが、当然時間軸を破らなければならない。これが可能な人は、元々これを破る能力の備わった人や未来への強烈な願望のある人だ。次に異次元から自分の命運を確認する訳だが、それは制御前の命運であるから、制御後には消えてしまう。つまり、パラレルワールドは存在しない。我々の宇宙に関係のない、全く別の宇宙は存在するかも知れないが、我々の存在する世界は一つだけだと思っている。“異次元からの制御”はエネルギー効率の一番いい「現在」において実行する。制御のポイントが現在に到来した瞬間にコントロールする。エネルギー効率がいいと言っても、当然それなりのエネルギーを要する。そのエネルギーは、それに対応するマイナスエネルギーでつくり出す。つまりエネルギーのトータルは“ゼロ”でバランスしなければならない。詳しくは下の概念図を見て欲しい。



2008/12/12 「今年の漢字」
今年を表す漢字一文字が決まった。第一位になったのは「変」。「政治、経済をはじめ良くも悪くも変化の多かった1年。来年は世の中も自分達も新しく変わっていき、希望のある社会にしていきたい」というのがその理由だった。続く第二位は、金融危機、五輪の金メダルから「金」。第三位は、株価の暴落などから「落」だった。


2008・12・25 CDアルバム:平原綾香「Path of Independence」
先日、終了した「風のガーデン」のテーマ曲の入った平原綾香さんのアルバムを購入しました。最終回、貞美の死を知らされた恋人の歌手・氷室茜(平原綾香)が、チャペルのコンサートで涙ながら歌う「カンパニュラの恋」、よかったですね。エンディングを飾るにふさわしい絶唱でした。最終回ではもう一曲、貞美がキャンピングカーを引き払い、いよいよ家族のもとに帰っていく道すがら、テーマ曲「ノクターン」が挿入されていました。信号を待つ貞美の目に、テレビで歌う茜の姿が映る。画面では、貞美と茜の姿がオーバーラップし、二人の愛と別れをイメージさせました。平原綾香さんの「ノクターン」が心に浸みました。
(PS:2009/01/06 このアルバムが売れているようです。NHK紅白歌合戦で歌ったこともあって、オリコン・デイリーランキングの1月4日付けで6位になっていました)