福岡空港“新”増設案
(西側210m改良案)
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FileNo.080802
エアーラインカタログ

福岡空港

1ヶ月ほど前、福岡空港の過密化対策の「増設案」に新案が登場した。従来の「西側210m案」の改良型である。この案を見たとき思わずうなった。「う〜ん、そういう手があったか」。“9回裏2アウト”から“逆転さよなら”の感がある。国交省が放ったこの妙案に脱帽である。その案とは、従来の西側210m案の新滑走路を2.6mかさ上げして、都市高速の付け替えなしで増設できるというものだ。従って費用も2500億円以下と他の案に比べて圧倒的に安く、工事期間も8年程度と一番短い。一部には費用が2000億円以下という話もある。以前、私は「滑走路増設3案の中で最も処理能力が高いと思われる“現空港・東側300m案”がいい。現空港の安定した運航、アクセスの良さを維持し・・・・」と書いたが、新案の処理能力は約19万回で、他の増設案と比べて遜色がない。西側210m案は、旧案同様非精密侵入ではあるが、現滑走路が精密侵入なので、ほとんど影響はない。コストパフォーマンスを考えるなら、迷わず新西側210m案だろう。

福岡空港整備に掛かる費用は「国が2、地方が1の比率で負担する。地方分は福岡県と福岡市が6対4の割合となる」(雑誌:フォーラム九州・Vol.17号より)。新空港建設となれば、事業費が1兆円を超える。しかも、大型公共工事は、終わってみれば大幅にオーバーしていたというのがパターンである。増設案にはランニングコストという面はあるが、仮に新空港が1兆円として、地方の負担は3300億円になる、これが新増設案なら833億円で済む勘定だ。先日も麻生知事は、テレビで「地方財政は極めて窮乏している」と話していた。窮乏しているのは、国も同じ。来年度のシーリングも、歳出削減路線に変わりはない。内閣府の試算では、2011年にはプライマリーバランスが3〜4兆円の赤字になるという。必要性の高い優先すべき歳出項目を守るためにも、削減できる歳出は、徹底した削減が必要である。右を見ても、左を見ても値上げ値上げの大合唱のなか、安易に消費税引き上げは許されない。

最近、深夜に放映されている「エア・シティ」というドラマを見ている。ドラマの舞台は「仁川国際空港」だ。主演のチェ・ジウは、ヘッドハンティングでやってきた空港運営本部の室長である。滑走路を背景に颯爽と立つチェ・ジウがいい。室長の妹は、女性パイロットなので、コックピットの中や、着陸の様子などもよく出てくる。第六話の「滑走路の鳥」では第2滑走路が、閉鎖の危機を切り抜けて事なきをえる。このドラマの撮影時点では、まだ3750mの滑走路2本だったが、つい最近4000mの滑走路がオープンしたので、今は3本の滑走路がある。さらに4000mをもう一本つくる予定だという。エアバスA380の着陸なども可能である。室長が、空港を視察にきた人に「世界のハブ空港を目指して・・・」と説明していたが、仁川が目指しているのはアジアのハブ空港ではなく、世界なのである。成田空港が、やっと第2滑走路2500mに向け動き出したのとはその差歴然である。成田空港関係者にその危機感はあるのか。

着陸料は今後の空港運営に大きな影響を与える。それは、関西空港の例を見るまでもない。世界のオープンスカイへの流れも避けることはできない。増設新案はコストパフォーマンスに優れていると思うが、財界はあくまでも新空港建設にこだわっている。業者にとって1兆円を超える大型工事を受注できるかどうかの瀬戸際である。一部の強い圧力があるのは当然だろう。しかし、新案で財界内に動揺が広がっているのも事実だ。ここは、大所高所からの判断を期待したい。さて、福岡空港の処理能力の拡大と同時に「近隣空港との連携」も推進する必要がある。いつの間にか検討課題から消えてしまった連携案だが、北九州空港、佐賀空港との連携を今こそ真剣に探らなければならない。新北九州空港は24時間運用だ。佐賀空港は累積赤字を抱え、いまだ改善の目処は立っていない。先日「北部九州3空港(福岡・北九州・佐賀)の相互利用サービスが始まりました」とANAが新聞広告(7/29西日本新聞)を出していた。将来の「九州府」にとっても、空港浮沈の影響は大きい。

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2008/08/05 福岡市の「第2次外郭団体改革実行計画」
福岡市は、財政再建と行政効率化を目指して、今年度から4年間の「第2次外郭団体改革実行計画」をまとめた。計画では福岡市が25%以上出資する35外郭団体の一割を削減するという。市はこれまでの4年間に、43あった外郭団体のうち8団体を減らし、その削減効果は約13億6千万円と試算している。
2008/08/08 政府の「行政支出総点検会議」初会合
行政の効率化を検討するこの会議では、公益法人への支出3割減を実現するための具体策を12月までにまとめる。政府はこの提言を2009年度予算に反映させる。
福田首相  「行政支出に対しいろいろな批判が出ており、無駄をなくすためにの不断の努力が必要。民間のやり方を行政府に取り入れるという観点で、良い改革が出来るようにしたい」
茂木座長  「やっている仕事が本当に必要かどうか見直ししていかないといけない。それを積み重ねて3割減を実現していく」
2008/08/23 国の債務超過額 277兆3千億円(2006年度末)
財務省は2006年度末の国の貸借対照表を発表した。それによると、債務超過額は277億3千億円(一般会計+特別会計)にのぼり、前年度に比べ悪化しているという。景気後退が懸念されるなか、財源不足はさらに深刻さを増し、債務超過額は膨らむ一方だろう。一般企業ならとっくの昔に倒産している。だが、そんなことはお構いなし、総選挙がらみで群がるものどもに“ばらまき”をやることだろう。“ばらまき”という言葉の印象は良すぎないか。私は密かに、これを「税金の○○○」と言っている。(注:言っておくが“無駄使い”などという一般的な言葉ではない)
2008・08・26 福岡県の貯金(財政調整基金+減債基金)“144億円マイナス
九州各県の貯金残高(単位:百万円)
07年度末
見込み額
増減見込み
(▲はマイナス)
福岡 38,242 ▲14,420
佐賀 13,123 ▲1,488
長崎 33,029 ▲13,221
熊本 22,769 ▲9,429
大分 37,601 ▲8,638
宮崎 40,913 ▲15,307
鹿児島 11,432 ▲13,938
財政調整基金と減債基金は、税収減などに備えた貯金であるが、総務省がまとめた07年度末の残高見込みでは、福岡県は約144億円のマイナスになるという。つまり給料だけでは生活ができないので貯金を下ろしてしのいでいる状態だ。福岡県だけでなく九州各県すべてがそいう状況にある。貯金があるうちはまだいいが、全国ではすでに貯金がなくなってしまった県もある。景気低迷で地方税収が厳しい一方で、社会福祉関係は増えていく。そこで、消費税を上げて解決しようということになるが、その前に締めるところは締めてもらわないと・・・・・。
追伸;2009・05・09福岡空港・滑走路増設を正式決定・・・国交省」
 国土交通省は、現空港の滑走路増設を正式決定。計画案の策定に着手することが明らかになった。工期短縮のため、おおまかに出来ている地元の増設案と並行して策定を行い早期完成を目指すという。早ければ09年度中に策定し、2年かけアセスを実施した後、増設に必要な約20ヘクタールの用地買収に着手する。
 増設案は、2800mの現滑走路の210m西側に2500mの滑走路を新設する。処理能力は14万5千回から、18万3千回に増える見込み。