2002ワールドカップと「気」


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「気」というものが存在することを知っているだろうか。私がここで述べようとしているのは、運命を司る「気」ではなく、個人それぞれが発している「気」である。「強い願望は、必ず達成される」と言われている。これこそ個々の「気」の存在に他ならない。それは当然、「目」で確認出来るものではなく、言ってみれば個人の発するオーラみたいなものである。発せられた「気」は、四次元に存在し、時空を越えて三次元の世界をコントロールする。

2002年6月FIFAワールドカップ・KOREA、JAPANが開催された。結果は「ブラジル」の5回目優勝で幕を閉じた。この戦いの中で特に際立ったのが、開催国の日本と韓国の活躍である。日本は、予選リーグ第一戦で引き分けに持ち込み、初めての勝ち点「1」を手に入れた。同時に韓国は半世紀にわたるW杯の戦いで、これまた初の「一勝」を挙げ勝ち点「3」を獲得した。ともに開催国であり、それぞれの国民が国旗・国歌の下に一丸となり応援に燃えた。応援する国民個々の「気」は陽炎のごとく立ち昇り集結し、大きなうねりとなってそれぞれの国を覆ったのである。

一次リーグの組み合わせを見るに、誰もが「一次リーグ突破も夢ではない」という印象を受けたのではなかろうか。国を覆った「気」は、時空を越え、一次リーグ組み合わせ抽選をもコントロールしたのである。組み合わせとそれぞれの試合をコントロールした結果、フランス、アルゼンチン、ポルトガルまさかの敗退、日本・韓国共に負け無し勝ち点「7」で一次リーグトップ通過となった。この展開を三次元の我々世界で、誰が予想しえたであろうか。

日本は、今大会の目標が一次リーグ突破であった。その意味では、負け無し勝ち点「7」での予選通過は大いに満足すべき内容であった。つまり、日本の個々の「気」はこの時点でなくなったといってよい。トーナメント.初戦敗退もやもうえないところである。しかし、韓国の勝利への執念は途切れなかった。決勝トーナメントでは、審判のマインドコントロールにより、審判ミスを誘い、選手のマインドコントロールによりアドレナリンは最高に達した。その結果がベスト4進出である。

しかし、「気」のエネルギーにも限界はある。審判ミス、欧州勢の敗退等の結果に現実の世界で強い力が働いた。如何ともしがたい現実の力に、準決勝に敗れ、3位決定戦では、開始後11秒で失点という新記録のおまけ付きで敗退した。
国体で開催県が圧倒的に総合優勝している事実から「気」の存在を検証するまでもない。2002W杯において過去1勝もしていないチームの“奇跡”を「気」以外の何をもってしても合理的な説明はつくまい。

FileNo.020701


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写真は、ドイツのゴールキーパー、オリバー・カーンである。このシーンは、決勝戦に敗れた直後の様子であるが、テレビでは斜め前からのショットで、よりリアルにカーンの表情を見ることができた。ロナウド対カーンといわれた決勝戦である。史上初の失点1を守るべく挑んだ決勝戦だった。ブラジルが喜びに沸く中、ゴールポストを背にカーンの体が沈んでいった。今回の全ての試合の中でも、強く印象に残ったシーンである。
(昔の映画でピーター・オトウ―ル主演の「冬のライオン」を思い出す。家族に裏切られた「王」が、冬の厳しい寒さの中、襲い掛かる孤独に、城壁を背にうずくまる。なぜかカーンとオーバーラップした。でも妻は、カーンはどことなくチャールトン・ヘストンに似ていると言っていた。)



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