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FileNo.060405

先日開港した「新北九州空港」を観に行って来た。周防灘沖に建設された海上空港である。もちろん目的は空港だけではない。新規参入の航空会社スターフライヤーの「黒い機体」を見たかったからだ。開港して半月が経ちロビーは落ち着いた様子だったが、それでも展望デッキは賑わいをみせていた。予想通り“黒い機体のA320”は人気のようで、プロらしいカメラマンが機の到着と同時にフル回転でシャッターを切っていたのが印象的だった。さすがに“黒い機体”はインパクトがある。航空業界では「黒色」は世界的にもめずらしいという。だがスターフライヤーは、業界の常識を打ち破るコーポレートカラーで高級感を演出する。チェックインカウンターも機内も乗務員の服装も、すべて黒で統一している。これに「高級ホテルのような“もてなし”」でファンを獲得する戦略だ。ターゲットとするビジネスマンのリピーター獲得には“質”にこだわるサービスは適切と言えるだろう。

展望デッキで隣の人が、到着機から降りてくる人数を数えていた。どれくらいの搭乗率か、みんな気になるところだ。約50人だったそうだ。その人と話をしたが、到着が午後4時頃の機だったので、はたしてその人数が妥当かどうかの判断はつかなかった。昨日の新聞には開港半月の平均搭乗率が71.8%だったと出ていた。開港当初であることと、春休みの移動シーズンが重なったのが好調の要因だという。スターフライヤーは当初の60%目標を63%77万人に引き上げた。福岡空港の熾烈な競争のあおりを受け、更なる値下げを余儀なくされたためである。スターフライヤーは「利用者が落ち込む4月以降に、どう集客を図るかが課題」と言っている。早朝5時半から深夜1時すぎまで運航するスターフライヤーだが、先月23日深夜一時ころ、WBCから帰ってきた王監督と川崎宗則選手が新北九州空港に降りた。王監督が「えっ、まだ便があるの。じゃーそれに乗ろう」と言ったと聞く。いい宣伝になったことだろう。

航空業界の話題と言えば、2月の「日本航空の内紛」が記憶に新しい。まずは信頼回復が先決だというのに、業績が悪いから内紛が起こり、経費を切り詰めるから整備ミスも起きる。「貧すれば鈍する」まるでデフレスパイラル状態である。3月期は470億円の赤字見込みで、「無配」に業を煮やした大株主が、半分売却したというようなニュースも流れていた。赤字の国際路線を一割削減したり、運賃の値上げなど手を打つというが来期も黒字転換は難しそうだ。これに対しライバルの全日空の業績は対照的である。日本航空の株価が300円台前半の動きに対し、全日空は400円台を維持する動きで、時価総額もはるかに上回っている。国内線・国際線・ともに堅調で、先月末には3月期の業績予想を増額修正した。更に737や787型機など燃費のいい新型機購入のため、22年ぶりに1千億円の公募増資も実施するという。(因みに、大学生の就職志望企業調査では前年に引き続き今年も全日空が1位)

近時、新聞を賑わしているのはもう一つ安全管理の問題がある。日本航空もさることながら、スカイマークも何度か新聞で報道されていた。メーカーから修理を指示されたにもかかわらず、9ヶ月もそのままにしていたそうだ。フライトに支障のない傷だからいいと言うものではない。要は体制の問題だろう。同社の話では「整備費は総コストの16%を占め、大手の10〜11%に比べても高い」とのことだが、この問題はパーセンテージで評価できるようなものではない。一方、新北九州空港のスターフライヤーは定期的な整備を、ドイツの「ルフトハンザ・テクニック」に委託する。近時、コスト削減で海外への整備委託は常識ではあるが、ルフトハンザ・テクニックは、機体の整備では高い評価を受けている会社で、世界の200社からの整備を請け負っているそうだ。「安全性」と「経済性」の両立は航空会社の永遠のテーマだが、利用者としてはまず「安全性」こそ第一の選択肢だ。

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スターフライヤー・エアバスA320

追伸:平成18年4月7日 西日本新聞
スターフライヤー社・・・搭乗率74% 3月「予想以上の数字」
 新しい北九州空港と羽田空港を結ぶ定期便を就航した新規航空会社スターフライヤー(北九州市)は6日、運行開始した3月16日から31日までの利用者数が約3万5千6百人(搭乗率74.1%)だった、と発表した。
 同社は早朝・深夜を含め一日12往復を運航。時間帯ごとの搭乗率は、日中が80.7%、早朝・深夜合計で50.8%だった。北九州を午前5時半に出る始発便は89.1%に達したものの、北九州発の深夜便は26.8%、羽田発の早朝便も40.1%と低迷した。また、15分以上遅れた便は全体の21.9%を占めた。「冬の強い風が吹き、搭乗案内などでも不慣れな面があった」(堀社長)という。
 同社は、年間の搭乗率目標を62.7%に設定。堀社長は「4月以降は客足が落ちるが、首都圏でのPRを強化し、目標を達成したい」としている。

追伸:平成18年4月12日 西日本新聞
スカイマークの鹿児島線撤退・地域の納得を得て・・・国交相厳しく注文
 11日に開かれた衆院国土交通委員会の集中審議で、羽田−鹿児島線などからの撤退を計画するスカイマークエアラインズ(SKY)の西久保慎一社長に、北側一雄国交相が「地域の足として公共性が高い。地元に納得してもらうようプロセスを大事にしてもらいたい」と語気を荒げ、注文を付ける場面があった。
 鹿児島線は2002年4月に就航したが、搭乗率が低迷。今月21日に撤退する予定で、西久保社長は「事業の公共性と収益の健全性は別次元。赤字のまま就航すると、どなたが責任とるのか」と説明。しかし、北側国交相は「撤退することもあるだろうが、地元と協議しないといけない。これから就航する路線も(採算性が悪ければすぐに)撤退するのか、となる」と、重ねてくぎを刺した。
 鹿児島線撤退をめぐっては、就航時に同社に出資した地元経済界が「支援したのに相談がなかった」と反発をしたいきさつがある。整備ミス続発も加わって、同社に向けられる国交省の視線は厳しさを増しており、強い口調での大臣の注文は「省内の空気を代弁した」(国交省幹部)とみられている。

追伸:平成18年4月13日 西日本新聞
三菱重工 次世代機「787」主翼材製造・・・下関の工場が完成
 米ボーイング社の次世代中型旅客機「787」の主翼骨格材「ストリンガー」製造を請け負う三菱重工業下関造船所の航空機工場が完成し、12日、山口県下関市大和町の同工場でしゅん工式が開かれた。
 「787」は現在の「767」の後継機で、2008年夏の運航開始が目標。主翼の素材はこれまでのアルミ合金から炭素繊維強化プラスチックに代え、重量を40%軽くできる三菱重工の技術力が評価された。ボーイング社が主翼を外注するのは初めてになる。
 同工場では長さ4〜22メートル、高さ10センチ程度のストリンガーを製造。名古屋市の三菱重工工場に送り、主翼の形に組み立てた上で、米・シアトルのボーイング社に出荷する。下関造船所の工場は8月から操業する予定。三菱重工業は既に350機分を受注している。
 同社の佃和夫社長は「我々の複合材の技術が世界で認められた。世界中の主翼の生産センターとなっていけばと思う」と、航空機分野での事業拡大に意欲を見せていた。




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平成18年12月21日 西日本新聞
07年度予算財務原案
空港
 地方の一般空港整備事業は全国枠で417億2300万円が計上された。このうち、福岡空港の将来像を探る総合調査も継続される。国土交通省と福岡県、福岡市の福岡空港調査連絡調整会議はすでに需要予測を発表。将来の離着陸回数は2012年度に現空港の処理容量を超える、とした。07年度は「新空港」「現空港の滑走路増設」「近隣空港との連携」の三つの選択肢を想定した具体的な調査の段階に入る。
 今年3月に開港した北九州空港の関連では、目視による離着陸指示を可能にする管制官の配置が認められている方向だ。同空港はレーダー設備の問題から一機づつしか離着陸できず、運航ダイヤに支障が出ていたが、国交省は同空港と山口宇部空港の管制業務を航空自衛隊築城基地(福岡県)に業務委託する方向で防衛庁と調整する。
 また、九州などの離島航空路線の就航率向上を図るため、人工衛星から高度情報を受信できる衛星航法補強システム(MSAS)導入事業が新たに認められ、07年度は7700万円計上された。