科学捜査の世界
平成19年福岡県警:年頭視閲
女性白バイ隊員の演技走行が見事でした
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FileNo.070213

先日、佐賀県立宇宙科学館の特別企画展「もつれた糸を解きほぐせ−科学捜査の世界」に行ってきた。犯罪の捜査に最新の科学技術が、どのように生かされているかを、多くの人に知ってもらおうという企画だ。血液や指紋をはじめ、声紋、偽造紙幣鑑定、DNA鑑定などなど、それぞれをパネルにまとめ分りやすく紹介していた。犯罪捜査は、現場に残された手がかりから、可能性の高い容疑者を割り出していくわけだが、そこには、犯人が仕掛た「偽装」などもある。会場入口には犯罪現場の設定がしてあり、これを見て来場者自身が犯人を推理するのだが、これがなかなか難しい。人間の五感は重要ではあるが限界がある。犯罪現場に残された目には見えないかすかな手がかりから「人」と「モノ」を特定していくには最新の科学が必要だ。これは、科学研究のプロセスと共通するという。つまり 仮説(容疑者)→演繹(犯罪事実の立証)→観察・実験(供述証拠との照らし合わせ)→法則・原理(犯人特定)だそうだ。

最先端の科学技術による犯罪捜査と言えばやはり「DNA鑑定」だろう。遺伝子と遺伝子の間に存在する非遺伝子領域の塩基配列の個人差で特定するそうだ。去年11月、これまでの11ヶ所の検査から、新しい試薬を使って17ヶ所を調べることになった。これで、別人と一致する確率は、約77兆人に1人というから、全世界に1人を特定できるわけだ。それまでの1億8千万人に1人というのもすごいが、一気に40万倍の精度である。これぞ科学技術の粋である。ただし、“一卵性双生児を除いて”との但し書きに「なるほど」と納得した。DNAは現場に残された毛髪や血痕、たばこなどについた唾液などからも採取できる。ほんのわずかなものでも、PCR法という方法で鑑定に必要な部分だけを増やして鑑定するという。向かうところ敵なしである。だが、歴史が浅いのでデータベース化はまだまだのようだ。鑑定している場所が非遺伝子領域であれば、個人情報の点でもクリアしているから早急な整備が望まれる。

科学捜査そのものの歴史もまだ浅い。1948年に「刑事訴訟法」が改正され、それまでの「自白」に頼った捜査から、科学的な裏づけのある「物証主義」に変わってからである。しかし、半世紀を超えた今も「自白」による立証がなくなったわけではない。「富山連続婦女暴行事件」のように「自白」に頼ると「冤罪」をうみやすい。「代用監獄」はその温床になっていると言われる。代用監獄の問題は、国際人権規約委員会から人権法上問題があるとして廃止するよう勧告されている。だが、拘置所の増設が難しい実情から、法務省も“現状止む無し”の状況のようだ。他にも同委員会から「取調べの可視化」の勧告を受けている。こちらも、容疑者との信頼関係を築いて取り調べをしている捜査現場の抵抗は強いようだ。司法改革が進むなか、裁判員制度の実施も迫ってきている。分りやすい裁判と迅速化は絶対条件である。実施拡大の「公判前手続き」などと合わせ、いずれの問題も前向きに進める姿勢が必要だろう。

1月5日ヤフードームで行われた福岡県警の「年頭視閲」に行った。分列行進や車両行進、白バイの演技走行など、なかなか壮観だった。福岡県警の重点目標の一つに「重要凶悪事件の徹底検挙」が挙げられている。“検挙率70%を目指す”という目標が掲げられているが、平成18年の暫定値では、前年より若干下がって“53.2%”にとどまっている。ただし「殺人」だけに限れば“85.2%”という検挙率になっている。担当の刑事部には、証拠資料の収集・分析をする「鑑識課」、DNA型鑑識などをする「科学捜査研究所」などもある。主要施策には“ち密な現場鑑識活動の徹底”“高度な鑑定技術を駆使した科学捜査の推進”などをうたっている。最先端の科学技術で、格好良く犯人を割り出すテレビドラマの主人公と違って、現実は地道な作業の連続である、と特別企画展のパネルには書いてあった。最先端の科学技術による捜査を知ると同時に、それが気の遠くなるような“人の努力”によって支えられていることも忘れてはならない。



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科学捜査を主題にしたテレビドラマは多い。再放送ではあるが、最近でも「女性監察医・篠宮葉月(高島礼子)」「京都南署鑑識ファイル(田中美里)」「新・法医学教室の事件ファイル(名取裕子)」などが福岡で放映されていた。そのなかでは当然最新の科学捜査を見ることが出来る。例えば、被害者から採取した水と、川の何ヶ所もの地点から採取した水を「蛍光X線分析装置による元素分析」なるもので分析し“犯罪現場”を特定したり、囲炉裏で焼かれ真っ黒に炭化した文字を「赤外線スキャナ」で見事に復元したりで犯人を追い詰める。他に「血液流動性ショック死」というのもあった。数時間縛ってあった両腕と両大腿のヒモを一気に解くと、それまで血管に溜まっていた“ヒスタミン”という物質が一斉に出て循環器系に極端なダメージを与えてショック死を起こすというものだった。企画展のパネルにあったように、テレビの主役は実にあざやかに決めてくれる。そういう華やかさを演出するためか、主役はみんなトップ女優だ。
福岡県警・本部に去年「福岡県警察資料室」が開設された。明治時代からの貴重な資料を見ることが出来る。展示の一部を紹介してみよう。
(尚、説明は、各展示品に付けられていたものです)
☆大正時代の盗難被害届
本県の大正期における盗難事件の発生件数を見ると、大正元年には約1万4千件、大正9年には約1万9千件であった。特に大正2年の発生件数は全国2位で警察官の犯罪負担率は全国1位であった。
☆邊氏警察意見
ドイツ警察大尉ウィルヘルム・ヘーンは、明治18年3月から同23年3月まで警察練習所教官として幹部警察官の教育にあたり、教べんを執るかたわら全国各府県の警察制度及び運営状況を視察した。この時、報告書として内務大臣に提出したのが「邊氏警察意見」といわれる本書である。現在の派出所、駐在所の制度はこのヘーンの意見を採用したものである。なお、本書は現存している唯一の書であり非常に貴重なものとなっている。
☆訓授簿(大正11年)
柳川警察署で日々、幹部が部下に訓示したことがらが記録されている。

  開室時間は、月〜金曜日(土・日・祝日・年末年始を除く)の8時30分から17時15分。
  福岡県警・本部(福岡市博多区東公園7-7)
平成19(2007)年1月13日 西日本新聞
06年福岡県警まとめ・・・犯罪件数が4年連続減
 県警は12日の県議会警察委員会で、2006年の刑法犯認知件数(犯罪発生件数)が十万二千百四件となり、前年と比べて四千七百一件減り、四年連続で減少したことを明らかにした。一方、殺人や強盗、放火、略取誘拐などの重要凶悪事件の認知件数は逆に前年比四十四件増の九百七十二件となった。刑法犯の検挙率は34.7%で前年から2.8ポイント上昇。重要凶悪事件の検挙率は53.2%で前年から2.7%下落した。
 暴力団犯罪の摘発は三千三十二件で、前年から八百二十二件増加。摘発人数は千二百二十五人で四百六人減った。少年犯罪は刑法犯の摘発、補導人数が八千七百七十九人で前年から二百人減少した。人身交通事故の発生件数は前年比七百六十九件減の五万千四件。死者数は八人減の二百四十一人だった。
 同委員会ではまた、国の新年度予算案で全国で地方警察官三千人の増員が盛り込まれ、県警の増員数は全国で七番目に多い百五十人になることが報告された。





福岡県警音楽隊 第42回定期演奏会 (2007/02/23)
第1部はじっくり聞かせ、第2部では明るく、第3部では力強い躍動感で聴衆を魅了。間に交通企画課の飲酒運転事故をテーマにした寸劇をはさみ、多彩なステージ展開で3時間があっという間だった。