映画「アイ・ロボット」を観て

File No. 041024
「鉄腕アトム」の時代に生きる

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U.S.ロボティックス社は、新たに開発した次世代NS−5型を「新型ロボットを一家に一台」と大々的に発売しようとしていた。2035年といえばわずか30年後の世界。「アイ・ロボット」はそんな近未来の物語だ。ロボットが犬を散歩させ、荷物を運び、ゴミを集めて回る。ロトの賞品はロボットといった具合である。それほど生活に密着し、多くのロボットが働いているが、罪を犯したロボットは皆無である。なぜなら「ロボット3原則」なるものが厳しくまもられているからだ。その3原則とは<(1)ロボットは、人間に危害を加えてはならない(2)ロボットは、人間から与えられた命令に服従しなければならない。(3)ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれの無い限り、自己を守らなければならない。>というものである。ところが、ロボット工学第一人者のラニング博士が、人間には危害を加えないはずのロボットに、殺された可能性が出てきた。

ロボットが殺人を犯したとなると、社会全体がパニック状態に陥ることになる。しかしそれどころではなくなってきた。スプーナー刑事を、解体工事ロボットが、家ごと壊し襲い掛かったり、新型NS−5が集団で襲ってくるなど、ロボットたちの反乱が始まったのだ。NS−5が3原則を破ることになれば、大量のリコールがでる。U.S.R社にとっては致命的なことだ。ラニング博士はそれ以前に、ロボットは自然に進化すると考え、その問題点を探しあてていたようだ。ロボットの中で、任意のコードの断片が結びつき、予期せぬ動きが発生したのだろうか。だが、ロボットの反乱の基は、ビルと一体化したナノロボットV.I.K.Iの存在だった。NS−5はV.I.K.Iに操られていたのである。「人間は、戦争し地球を汚し、自滅への道をたどっている。人類をロボットが守る」という名目でロボットによる支配を目指したのである。

外国では、人型ロボットはかなり抵抗があるそうだ。「アイ・ロボット」の反乱というイメージは、そんなところからきているのかもしれない。それからすると我国では近年、二足歩行のASIMO、QRIOといった存在が、ロボットを身近なものにしてくれている。トヨタ・パートナーロボットは、トランペットを吹いてみせ、QRIOは、オーケストラを指揮したり、踊ったりもする。だが何と言っても最初の火付け役はHONDAのロボットP2、P3だろう。世界初の二足歩行型ロボットということもあった。これが小型化され、実際の我々の生活サイズに進化したのがASIMOである。最新のASIMOは「i-WALK」という技術(次の動きをリアルタイムに予測してあらかじめ重心を移動させる機能)が加わってよりスムースな歩き方が出来るようになったそうだ。人間の動きを実現させるということは如何に難しいかが分かる。

小泉首相の改革に「改革特区」というのがある。去年、福岡県および福岡市、北九州市共同で申請した「ロボット開発・実証実験特区」計画が認定を受けた。道路交通法上に規定のないロボットの歩行実験に道路使用が認められたのである。つまり「ロボット特区」とはロボットが自由に歩ける街ということである。聞いただけでも、何だかうれしくなる話ではないか。そんな街ということもあってだろう、福岡市下川端の博多リバレインには「ロボスクエア」というのがあって、夢のロボットを目の前で見て、触れることが出来る。更に「ロボットと学ぶ科学教室」というのが福岡市立小学校72校で行われていると聞く。これはASIMOの「体験型プログラム」がベースとなっているそうだ。だが、そのASIMOも、歩く速度は時速1.6キロメートルだし、歩き続けられる時間は45分である。さて、「アイ・ロボット」の時代2035年には、どんなロボットが活躍しているのだろうか。



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STORY
監督:アレックス・プロヤス
出演:ウィル・スミス、 ブリジット・モイナハン
 2035年、シカゴ。街中では家庭用ロボットが普及し、人間の生活に必須なものとなっていた。ある日、巨大企業USロボティックス社に勤務するロボット工学の第一人者アルフレッド・ラニング博士が謎の死を遂げる。ロボットを毛嫌いするシカゴ市警のデル・スプーナー刑事は、博士が開発したNS−5型ロボットのサニーに疑いの目を向ける。捜査に協力するUSロボティックス社のロボット心理学者スーザン・カルヴィン博士は、3原則を理由にロボットが人間へ危害を加えることは絶対にあり得ないと主張するのだが

一家に一台 NS−5
[ 超高性能 ]
NS-5は456以上の可動部分、約1.4sのプロセス回路、二つの小型窒素冷却タンク、約1.6kmのアルミワイヤからなる身長180cmのロボット。砂地からコンクリートまでいかなる地形でも作動し、重量約363kgまで持ち上げることが出来ます。
[ 人工知能 ]
頭骸骨内にある丈夫なチタン性ケーシンクに収納されたポジトロニック・ブレインが運動機能統合、音声表現回路、ロジックコントロール、その他の多くの機能を統合。NS-5が接触する音や映像のデータは、その地域のトランスミッターに送信され、ユニバーサル・ネットワーク「アーニー」へすぐさま衛星送信されます。
[ 理想の実現 ]
NS-5はたんなる家庭用電化製品ではありません。家族の一員なのです。ロジック・プロトコルの基礎となる三原則の安全指令が、確実な安全装置になります。これによりNS-5は安全に人間と共存、交流することが出来るのです。特許申請済みの反応装置セントラルコア247で、ほぼ100%、太陽光や水など自然から動力を得ることが可能。非常にに効率的で、環境にやさしいロボットです。
[ i-ジェネレーション ]
1日24時間、週7日間、あなたの望むことを、望む場所でアシスタント。趣味やレクレーション、友人との交流、そして最も大切な家族のための自由な時間を提供します。たとえば料理なら、世界最高のシェフの2500種類ものレシピが入ったクッキングプログラムが組み込まれており、あなたのお気に入りのメニューもお手のもの。

平成16年12月16日 西日本新聞より
アシモ 走った・・・ホンダが新型機
「歩く」から「走る」へ・・・。ホンダは15日、人間型ロボット「ASIMO(アシモ)」の新型機を埼玉県内の同社施設で報道陣に公開した。新たな姿勢制御技術によって走ることが可能となったほか、自らの判断で障害物を避けて移動する機能などが加わった。
二足歩行の高速化に伴うスリップやスピンを防ぐため、アシモ自身が腰をひねったり、上半身を曲げたりして巧みに姿勢を制御。ジョギングの姿勢に似た時速3キロの滑らかな走りを実現するとともに、歩く速さも従来の時速1.6キロから2.5キロにアップした。
頭部や腹部、背部には障害物を検知するセンサーを搭載し、目的地まで障害物を避けながら立ち止まらずに移動。また、コミュニケーション能力も高まり、人の動きに合わせて握手や物の受け渡しを行うことができるようになった。
「アシモの目標は、オフィスで人間の手伝いをさせること」と話すホンダの伊東孝紳常務(本田技術研究所所長)は「オフィスで『どけ』と言われないような、人の邪魔にならない程度の歩き方はできるようになった」と胸を張った。


平成17年3月19日 西日本新聞より

人工島でロボット実験   福岡市:災害想定し枕木撤去

地震や風水害など災害時に活催する世界最大級のレスキューロボット「援竜」の実証実験が十九日、「ロボット開発・実証実験特区」認定を受けた福岡市・博多湾の人工島(アイランドシティ)で行われた。
 実験は、ロボットメーカー「テムザック」(北九州市小倉北区)が、電波送信や遠隔操作のデー夕収集を目的に実施。援竜は高さ3.45メートル、幅2.4メートル、重量約5キロ。6メートルの腕が二本あり、片手で500キロ、両手で約1トンの荷物を持ち上げる。九個のカメラが送る映像で、パソコンの遠隔操作もできる。
 この日は、電波混線を防ぐため専用の周波数を使用。災害時のがれき撤去を想定し、長さ約1.5メートルの枕木を持ち上げた。モニターを見ながらの操作はややぎこちなかったが、枕木を右手から左手に持ちかえるなど器用な動きも。同社は「災害時は電波が混線するため、専用電波の実験が成功した意味は大きい」と話した。

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平成17年12月14日 西日本新聞より
ASIMO 走った・・・ホンダが新技術公開
ジグザグに走ったり、接客も完璧に・・・。ホンダは13日、人間そっくりに歩く二足歩行ロボット「ASIMO」(アシモ)の新技術を報道陣に公開した。時速6キロで俊敏に走ることができ、福井社長は「高いレベルで人と同じ身体能力を獲得できた」とあいさつ。ホンダはアシモの「進化」で培った技術を、オフィス向けや自動車の安全面などに活用する。

これまでは時速3キロで小走りに進んでいたが、両足ウ浮いているときでも姿勢の傾きを安定的に制御することでスピードアップを実現。身体の重心を制御し、高速のまま旋回できるようになった。

各機能を総合的に制御するシステム開発。接客では、センサーやIC通信カードなどの活用で相手を認識して客を案内する。手をつないだり、歩いて先導もする。福井社長は「自動車の衝突回避機能などに役立てたい」と話している。