Here We Go! (2)
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FileNo.040620
久 英 「この歌、詩がすごいよね。作詞は中西礼だったっけ?」
カーラジオから、八代亜紀の「舟歌」が流れている。
 “・・・しみじみ飲めば しみじみと〜 想い出だけが
         行き過ぎる〜 涙がポロリと こぼれたら〜・・・”
日見子 「よく憶えてないけど阿久悠だったような気がする」
久 英 阿久悠か〜。納得だな」
外には田植えの終わった佐賀平野が広がっている。940hPaの強烈な台風6号が近づいている影響なのか異常に蒸し暑い。
久 英 「でも中西礼でこんなのあったような気がしたんだけどな」
日見子 「あ〜、たしか・・・・、う〜ん思い出せないわね。ニシンかなんかの漁の歌でしょ」
日見子は、太陽の光に弱い。今日も車のウィンドウにハンカチを挟んで日よけにしている。カークーラーは22度に設定してフル回転している。
久 英 「そう言えば、この間丸山明宏(美輪明宏)の“ヨイトマケの歌”がかかっていたよね。あれって、丸山明宏の作詞・作曲らしいよ」
日見子 「あの時のは何かジーンとくるものがあったわね」
久 英 「えっ、実を言うと俺もそう思ってたんだ」
日見子 「レコードを録音するとき、よほど何か深く思うところがあったんじゃないかしらね」
日見子は、ゆったりとシートに身を沈めてドライブを楽しんでいる。
快適である。もう11万キロを超えた車だが、居住も走りも、何の不満もない。
久 英 「10年も前だったかな。あの時もドライブしていて江利チエミの“テネシーワルツ”を聴いたのを思い出すね」
日見子 「そうそう、あの時二人とも黙ってしまった、と言うより絶句したわね」
久 英 「そうその時も“録音のときの江利チエミに何があったんだ!!”って思ったね」
日見子 「歌手は誰でも感情を込めて歌うんだけど、そこまで突き抜けたものはそうそうはないわね。歌唱力とか感情表現の問題とは違う次元だわね」
久 英 「うん“慟哭”という表現はオーバーかもしれないけど、それくらいのものがあって心が揺れていると、レコードを通してでも伝わるんだろうな」
車は、佐賀の北部バイパスを抜けて、背振の山越えのルートに入ってきた。台風6号は、明後日くらいに九州を直撃するようだ。
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