図書館資料の複写 随筆のページへ

トップページへ

FileNo.041009

ジュールベルヌを読み直してみたいと、先日図書館に行った。前もって電話をしておいたので、申し出ると用意してあった一連の作品をすぐ出していただけた。ベルヌの作品は「十五少年漂流記」「八十日間世界一周」など、子供のころ夢中になって読んだものだ。そんな郷愁にひたりながら、あれこれ読んでいる内「地底旅行」の中に地図が載っていた。出発して地上へ帰還するまでの行程が一目瞭然だった。“これはいい”とばかりに、デジカメで撮っておこうと取り出した。ところが、それを見ていた図書館の人が飛んできて“デジカメでの撮影は遠慮してくれ”という。ただし、図書館にある複写機なら“コピーが出来る”というので、所定の書類に記入してコピーしてきた。しかし、良く考えてみると「画像」と「紙」というメディアの違いはあるにしても“ん?結局同じことではないのか?”と少々疑問を感じた次第である。

そこで、疑問を解決すべくいろいろ調べてみた。「著作権法」や「条例」によって細かな規定があるようだ。福岡県立図書館の「図書資料の複写に関する規定」では一部貴重なものについては複写が認められていないものもあるが、一般的なものについては、写真撮影でも申請書を提出すれば可能なようである。ただし、図書館館長の判断で複写を認めないと言う条項もある。更に「福岡市総合図書館条例」を見てみると12条に「・・・・図書資料等の撮影,模写又は模造をしようとする者は,・・・・・教育委員会の許可を受けなければならない」と規定されている。だが、実際の運用は、撮影料を払えば撮影も出来ないことはないようだ。ということになると、私が撮影しようとして出来なかったことについての疑問は解決しない。

近時「デジタル万引き」という言葉をよく耳にする。カメラ付きケータイの普及はめざましい。はっきりした台数ではないが3000万台以上はあるようだ。街の書店が頭をかかえている問題である。本来購入して得る情報を、簡単にカメラで撮影して買わずに済ませる。「デジタル万引き」という言葉の存在自体が社会問題化を伺わせる。本屋での撮影は、店の経営に重大な影響を与えるだろうし、著作権の問題がからむこともあるだろう。デジタル写真による撮影の社会問題化は、当然図書館にも影響しているのではないだろうか。デジタルカメラの余りに急激な普及に、図書館の規定が追いついていないのかもしれない。私も罪の意識なく、ごく普通に撮影しようとしたことは、大いに反省しなければならない。

日見子は、図書館を実によく利用している。年中図書館の本を読んでいる。年間50冊を読むのが一応の目安だそうだ。これを書店で買って読むと、ざっと見積もっても年間5〜6万円にはなるだろう。時々日見子は「この本読んでみたら。返却期限の○○日までに読んでね」と私に薦めてくれる。これでは本屋も作者もたまったものではない。最近では、こういったことも問題視されているようだ。つまり極端な場合、せっかく心血を注いで著した本が、図書館で読まれただけで著作料が全く入ってこないということも考えられる。外国ではすでに、図書館の貸し出しに応じて料金を支払うシステムがあると聞く。もちろん一般の借りる人が払うのではなく、図書館が払うのである。そうなると、日見子が私に貸して(又貸し?)くれることは、著作者に対して大変申し訳ないことになる。我々は何の意識もなく、法律に抵触しそうな事をしていると、改めて思った次第である。

随筆のページへ トップページへ