電 子 辞 書
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定年を前にして、今月サラリーマン生活「最後のボーナス」をもらった。最後ということで若干の感慨もあり、何か記念になるものを買おうと思った。そこで、ふっと頭に浮んだのが電子辞書である。電子辞書に興味を持ったのは、一年半ほど前、子供のクリスマスプレゼントに買ったときである。電子辞書も随分一般化した。最近の電気店の広告には、たいてい電子辞書のコーナーがある。種類も豊富で、それぞれ使う人の目的に合わせて選ぶことができる。以前、キー配列がアイウエオ順だったころは、何だか面倒くさそうで、私はごく普通の小型の辞書を持ち歩いていた。急激に伸びたのは、ほんのここ数年のことだ。さて、買うとなったら、自分のスタイルにぴったりの機種を選択しなければならない。私的には持ち歩いて「どこでも書斎」で使ってこそ価値がある。


持ち歩くためにはコンパクトで軽量、できれば100グラム程度がいい。それと、余りに膨大なコンテンツの詰まったものより、必要最小限のシンプルなものが使いやすそうだ。私としては「国語」「漢和」「英和」「和英」「カタカナ語」の5種類の辞典があれば充分である。印刷辞書なら5冊でも大変な重さになる。家に置いている「大辞泉」など1冊で3kgをゆうに越える。それに比べ、今回購入したSEIKOの電子辞書は、重さ135グラム、コンパクトで厚さはわずか13ミリしかない。このコンパクトな中に、延べ115万語が詰まっているというからすごい。つい最近「500円玉の大きさのHDDに10GB」という報道があっていた。つまり、500円玉大のHDDに、DVD2枚分のデーターが入るのである。こんな技術を持ってすれば数十冊のコンテンツを入れることなど簡単なことなのだろう。


実際に使ってみると、キー配列がパソコンと同じなので、入力はスムースだ。しかも、一文字入力の都度、候補が表示されていく。さらにジャンプ機能を使うと、広辞苑から漢字源へ、ジーニアス和英辞典へと画面遷移ができる。これはもう、普通の辞書を引くよりはるかに速い。広辞苑では「逆引き」「慣用句」の検索もできる。例えば慣用句に「筆」と入れて、検索してみると、「意到りて筆随う」「能書筆を択ばず」「筆を折る」などなど、20にも及ぶ慣用句とその解説が表示される。これは、電子辞書だからこそ出来るパフォーマンスだろう。速さだけではない。巨大な「大辞泉」と電子辞書「広辞苑」の解説を比べてみた。とりあえず、内容を知るだけなら、電子辞書で十分なのがよく分る。

キーワードは「邪馬台国」

大辞泉
105文字

「三国志」の魏志倭人伝に記載される、三世紀ころ日本にあった国。女王卑弥呼が統治。二世紀後半の倭の大乱では、諸国が卑弥呼を倭王として共立することでまとまったという。所在地については、北九州・畿内大和の二説がある。

電子辞書
広辞苑
85文字

「三国志」の魏志倭人伝に記された、2世紀後半から3世紀前半の頃の倭にあった最も強大な国。女王卑弥呼が支配。魏と交通した。位置については、九州地方と畿内地方との両説がある。


店頭の他のコーナーでは、百科事典なども入っている高価な機種もあった。使う人によって、その使用頻度、場所、目的は随分違ってくる。私の場合、必要なときに、必要とした場所で、即、意味や漢字や簡単な内容が解からなければならない。即ち、使うにあたってのポイントは機動性である。購入にあたってのポイントは、私がいつも価値判断の基準としているコストパフォーマンスだ。デザインや2WAYのキー操作なども含めトータルで満足させてくれたのはこの機種だった。愛着の一品になりそうだ。
会社に入社して最初の給料で買ったのは、ちょっと大きめの「置時計」だった。その時計は、さすがにもう現役ではないが、まだ大事に持っている。今回「最後のボーナス」で買ったこの電子辞書は、定年後の楽しい生活をサポートするツールとして、大いに活躍しそうだ。

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Monologue
先日、競馬で一勝もしていない馬だけのレースがあっていた。このレースだと、必ず一頭は優勝の喜びを味わうことができる訳だ。優勝した馬の関係者は、さぞかしはじめて味わう「勝利の美酒」に酔いしれたことだろう。だが私はこのニュースをみながら、このレースでも勝てなかった馬を表彰台に上げてやりたかった。ブービーの馬を称えてやってはどうだろう。必死で走り、一頭だけ抜き去ってゴールした、その頑張りが、より伝わってきそうな気がする。(050624)