100周年
(日展・天文学会・西鉄)
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FileNo.080415

先日の新聞に、福岡市美術館で開催されている「日展」の入場者数が、1万人に達したと出ていた。私もこの「日展」には毎年足を運ぶが、今年は「100年」という記念の展覧会である。「日展アートガイド」を見ながらゆっくりまわるのが私のスタイルになった。今回は特に、素人が美術を観るコツとして「もし“1点だけ自分の部屋に飾るとしたら・・・”という見方をするとよい」と聞いていたので、そういう目で楽しみながらまわってみた。その結果、私が選んだのが稲葉徹應氏の「荘川桜 情景」だった。この桜は「ダム工事で沈むのを高台に移植し、その湖底を見守るかのように生きつづけている生命感あふれる桜である」とアートガイドに稲葉氏自身が書いている。正に“私は生きている!”とその喜びを全身で表し、その生気で周りを包み込んでいるかのようだ。今回の展覧会は、去年東京の国立新美術館で開催された作品の巡回展である。正確には去年が100年ということになるが、いずれにせよ一世紀という時の流れには重みがある。

先日「かぐや」が撮影した「満地球」の写真が公開された。実にいい写真だった。「かぐや」のデータで月の詳細な地図もできたようだ。観測技術の進歩はめざましく、太陽系に未知の惑星が存在するかもしれないというニュースも流れていた。そうなると冥王星に代わって新しい9個目の惑星が誕生するかもしれない。そんな中、先月(3月)21日「日本天文学会創立100周年」の記念切手が発売された。私は、切手収集の趣味は持たないが、今回はその内容に興味を惹かれて買った。10枚の80円切手が一枚のシートになっている訳だが、描かれている天体のデザインがいい。まず一番上に「太陽と太陽系の天体」として水星から海王星までが描かれている。以下「系外銀河とすざく」「はやぶさと小惑星と地球」「すばる望遠鏡と銀河系」「火星と野辺山45m電波望遠鏡」が描かれている。解説には「明治41年(1908年)に創立され、わが国や世界の天文学の発展を支えてきた」とある。確かに天文学で100年なら納得である。

もう一つの100年は「西日本鉄道」である。西鉄といえば、我々には「西鉄ライオンズ」がなつかしい。先日、大橋に行く事があって久しぶりに西鉄電車に乗った。丁度8000形が出たところで、次の6000形に乗った。私がはじめて西鉄電車に乗ったのは、昭和38年だった。就職試験を受けるために、一人で福岡に来た時、大牟田から天神まで乗ったのが最初だ。発車すると、音もなくスーッと滑るように加速していく感触に驚いたのを今も覚えている。今年は、100周年記念でいろんなイベントやサービスが用意される。業績は好調で、売上高は過去最高を記録し、創立100年記念配も実施する。一言で100年と言うが、激しく変化する時代に、柔軟に応え続けた結果であると言える。100周年にあたって西鉄バスは、デザインを一新する。スマート・ループという縦のストライプになる。ストライプの色は5色で、それぞれ「安全性・機動性・快適性・対話性・環境性」を現す。「このデザインは、これまでの競争社会とは異なる協調社会の訪れメッセージする」という。

「日展100年」「日本天文学会・創立100周年」「西日本鉄道・創立100周年」と一見、全くつながりのない分野だが、いずれも明治40年ころに始まったということになる。明治維新で日本は、なりふりかまわず貪欲に西洋文化を取り込んでいった。その激動の時代も40年にして早くも現在に続く基礎を作り上げたのである。それが、明治・大正・昭和(戦前・戦後)・平成と激しく変化した時代をくぐり抜け、守り通して現在に至ったのである。100周年を石段に例えれば、次の100段に向けて決意を新たにする踊り場である。だが、次の100段は何ら保障されたものではない。特に企業は、いつどこから魔の手が伸びるか分らない時代である。いかに次の世代へバトンタッチするかが問われる。ところが、学校教育における文化芸術は、かなり厳しい状況に置かれていると聞く。教育基本法の前文には「・・・豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する」と謳っているのだが・・・。


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「壮川桜 情景」
展覧会場で買った絵葉書


第39回 日展アートガイド




記念切手シート

西鉄電車3000形

記念グッズ
方向幕ストラップ


新デザインのバス

平成20年(2008年)04月15日 西日本新聞
西鉄  どんたく「花自動車」デザイン発表
 西鉄は14日、「博多どんたく港まつり」(5月3、4日)期間中に福岡市内を巡回し、街を彩る「花自動車のデザインを発表した。
 6種類あり、同社の創業100周年記念や、5月18日導入するICカード、9月から九州国立博物館(太宰府市)で開く「国宝 天神さま」をPRした図柄が並ぶ。また、童話「おむすびころりん」やアニメ「それいけ!アンパンマン」を描いたもの、7月の「アジア太平洋こども会議イン福岡」をPRするもの。
 花自動車は、従来の2〜4日に加え、今年は5日夜も特別運行する。
西鉄創立100周年を記念した花自動車のデザイン


2008/04/16 日本初の始球式
 今日の「笑っていいとも」のクイズコーナーで、こんな問題が出されました。「日本で初めて始球式をしたのは誰でしょう」。答えは「大隈重信」でした。早稲田大学とアメリカプロ野球団の試合で投げたのが初めてで、しかも、それは丁度100年前、明治41年(1908年)のことだったそうです。“日米野球”“始球式”いづれも100年経った今も、全く同じことが行われている訳です。“明治”恐るべし。


2008/10/02 T型フォード100年
フォード社の「T型フォード」が百年を迎えたそうです。誕生の地はもちろん“アメリカ・デトロイト”です。1908年の誕生から約20年間で1500万台以上を売るという大ヒットを記録。ベルトコンベヤー導入による製造コスト削減がこの大ヒットを生み出したそうです。改めて、現在の繁栄につながる萌芽が1908年に集約されているのを感じます。