(現在の生活レベル+α)÷(現在の生活レベル)=「少しぜい沢」

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先日、こんな話を聞いた。世界の富豪オナシスは、飛行機でその日の朝食べる「卵」を取り寄せるという。また、ある芸能人は、どうしても食べたくてフランスへトンボ帰りで夕食に行ったという。彼らにすればこのレベルが「少しぜい沢」なのである。貧乏な学生が、バイト代が入って食べる「久しぶりの焼き肉」も「少しぜい沢」である。「ぜい沢」は「少し」であるところに価値がある。つまり、「現在の自分の生活レベル」が分母であり、対する分子は、「現在の自分の生活レベル+α」なのである。少しだからこそ「幸せ」や「満足」を感じる。決して「大きなぜい沢」からは「幸せ」は得られない。

ステレオ

先日、使っていたステレオが壊れて、CDが聞けなくなった。という訳で新しくステレオを購入することになった。条件としては、置く場所のスペースが限られているため、コンパクトなことが第一である。場所さえとらなければそこそこでよいと考えていた。しかし、そうは言っても一応、我が家としては、耐久消費財の大きな買い物である。丁度「奇跡のカンパネラ」という「ふじこ・ヘミングウェイ」のピアノ曲をレンタルしていたので某大型電器店に行って、いくつかステレオで「同じ曲」を「新品のテープ」でそれぞれ録音させてもらった。まったく同じ条件であるから、別のステレオで聞き比べてみれば、そのステレオの特徴が分かるはずである。その結果、当初「これがいい」と予定していた機種は、ちょっと「ノイズ」が気になった。ところがそれより数万円高いステレオを聞いて驚いた。ピアノの「コ〜ン」という音が澄んでいて実に耳ざわりがいい。「あー、これが表現力なのか!!」と感動した。音に鋭い訳でもなく、音にそうこだわりがある訳でもないが結局、プラス数万円の出費となってしまった。「少しぜいたく」である。ステレオを聞くたびに「プラスα」の満足感がある。

私は、靴を4足持っている。内2足は仕事用で色は黒と茶。「紺」系統と「茶」系統の背広に合わせて履く2足の靴は、決してぜい沢ではない。あとは、休日用でうち1足は、もう5〜6年履いているお気に入りの靴「REGAL−AmericanClassic」である。履き心地が実によく、デザインもまた気に入っている。いかにも休日の午後に似合う靴である。この靴を買いかえるときは、また同じ靴を買おうと思っている。もう一足が、私にとって「少しぜい沢」となる。ウオーキング用の靴である。妻と一緒にウオーキングする為に購入した。この靴は、購入するに至る、ちょっとした経緯がある。当初別のメーカーの靴を某デパートの催事で買った。この靴メーカーは、派手な新聞広告でおなじみのメーカーでイメージは良かった。しかし、ほんの数回、時間にして3時間程度であろうか履いたら靴ひもをとめる部分がはがれてしまった。デパートに持っていくと「あー、これは催事用に仕入れたので普段は置いてないんです」という。う〜ん「なるほど」。という訳で、取り替える事になったが、今度は学習効果もあっていろいろな面から検討した。結果、前の靴のほぼ「倍の値段」の靴になってしまった。国内ではトップクラスの有名なスポーツ用品メーカーが開発したウオーキングシューズである。歩く事をコンセプトに開発されたという感覚が充分伝わってくる逸品で、「軽くて」歩くと「しっかりしたフワフワ感」が気持ちいい。…がしかし、この「少しぜい沢」を、「本当に生かしているのか?」と言われるとちょっと後ろめたい。


クラリネット

今のクラリネットは、私の人生において二代目である。最初のクラリネットは、会社に就職してまもなく自分の給料で購入した。約30年近くを共にした忘れがたい存在である。その間何度かオーバーホールしたが、よる年波には勝てず、ついにお役御免となった。そこで二代目の登場となる。いろいろ探し回ったところ、ある楽器店で「旧モデルで良かったらいいのがあります」と、いい話があった。国内トップの楽器メーカーのもので、新しいモデルが出たので「7万円ほど値引きします」という。その値段だと、思っていた予算より少し高いが、普通の値段では、とても買わない高級モデルなので「ちょっとぜい沢してみるか」と購入することにした。やはり満足感が違う。「ビリーヴォーン」と共演する充実感も「ちょっとぜい沢」からの贈り物である。

今乗っている車は「NISSAN LAUREL」である。それまで乗っていたのは「Blue Bird」であった。購入したのは、約4年前。丁度買い換えを検討していた。フルモデルチェンジの新型「Blue Bird」が発売になるいうので、派手な宣伝に乗せられて、NISSANの店頭に見に行った。なかなかいいデザインで気に入った。心のなかでは、ほぼ決定状態。ところが、突然降って沸いたように、グループ企業の新年会で景品に「ローレル50万円値引き券」が出た。丁度買い換え検討中の私に、「買わないか」とその値引き券が回ってきた。50万円といえば半端ではない。検討していた「Blue Bird」より安い。しかも、「3ナンバー」の「LAUREL」である。20数年も昔、ある人の「LAUREL」に乗せてもらった時、初めて「間欠ワイパー」なる機能を見た。今でこそ普通の機能になってしまったが、当時はめずらしく「高級車とはこんなにぜい沢なものか!」と驚きであった。月に約1200キロ、この4年で6万キロを超えるドライブを楽しんだ。「3ナンバー」のゆったりした居住空間が「ちょっとぜい沢」である。

こと傘に関しては決して一般的なレベルでいう「ぜい沢」ではないと思っている。しかしここでは「私的レベル」の「少しぜい沢」がテーマであるから書いてみる。今、車の中に置いている傘は、金500円也で地下鉄の売店で緊急で買ったものである。買う時に「ちょっと高い」と思ったが外の雨を見れば「背に腹は変えられない」と致し方なく買った。その前に買った傘も、ビニールの透明な300円の傘だった。私としては、300円の傘で充分なのである。傘の役割は充分果たしており、コストパフォーマンスから言えば私的には評価は高い。生活や仕事において「コストパフォーマンス」という価値観は大事である。先日会社の備品を総入れ替えしたとき、大金庫を廃棄したが、この時来た業者はわずか2人。持ってきた道具は、四つの車輪のついたベニヤ板一つであった。おそらくこの道具のコストは千円以内であろう。クレーン車と迄はいかなくても、よほど立派な道具が必要と思っていたので、拍子抜けした。ところがこのベニヤ板が見事に金庫を乗せてスルスルと簡単に運び去ったのである。「究極のコストパフォーマンス」を見た。話を元に戻そう。傘における200円の差にどういう違いがあったかである。300円の方は、開く時、ビニールが張り付いているので「バリバリ」剥がしながら開く。これは、雨が降って急いでいる時は結構つらいものがある。一方500円の方は、ビニールの表面が加工してあって、ちょっと「ザラザラ」している。張り付きがなく緊急でも「サッ」と開く。この「少しぜい沢」における私的コストパフォーマンスの評価は高い。


このテーマの構想が固まり骨子が出来た時点で、子供に聞いてみた。「少しぜい沢とは…?」答えは「ロケーションを売りにしている喫茶店で、景色を楽しみながら過ごす時間」であるという。「物」を介してのみしか発想になかった私にとって、3次元と4次元の発想の違いに少なからずショックを受けた。「4次元」における「少しぜい沢」が「究極のぜい沢」かもしれない。


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