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TVドラマ「女神の教室」〜黙秘権 和食のこころ
日米首脳会談 地球上の生物は皆「親戚」

{2023/01/01}
新年、明けましておめでとございます。このホームページも24年目に入りました。
引き続き読んでいただければ嬉しいです。

[2023/01/29]
TVドラマ「女神の教室」〜黙秘権

TVドラマ「女神(テミス)の教室〜リーガル青春白書」(フジ系・月9)が1月から始まった。裁判官だった柊木(ヒイラギ・北川景子)は、青南大学法科大学院に新米教員として派遣される。ここは法曹界を目指す若者たちが学ぶ通称・ロースクールである。そこでは藍井教員による、司法試験合格だけに特化した厳しい教育が行われていた。しかし、柊木の教育方針は、それとは全く違っていた。その方針は、まず「人」を知ること。法曹界入って実際の事件を担当すれば、そこではまず「人間」と向き合ことになる。柊木の信念は「人を知らなければいい法律家になれない」だった。柊木は、学生に実際の裁判を傍聴させる。そこでは検察官がこう述べる。「何の理由も無く人を殴る人はいない。あなたにも何か理由があったと思う」、「私が求めているのは、彼が行為当時、どんな感情で何を思っていたのか、ありのままを話してもらうことです」。

 

第3回で柊木は、実務演習の講義で学生達に「黙秘権」を事案として、肯定派、否定派に分かれてディベートをさせる。それぞれの主張はだいたい次の通りだった。

[否定派]

被害者も裁判において尊重される存在です。それは被害者参加制度の制定からしても明らかです。そもそも黙秘権は行き過ぎた加害者擁護であり、理不尽な誤った権利。被害にあった方は、そのことでずっと苦しみ、ヒトの人生を奪った加害者の方が黙秘権で守られるようなことがあっていいのでしょうか。犯罪者には被害者が受けた相当の苦しみ、もしくはそれ以上の罰が与えられるべきです。一番守るべきものは被告人ではありません。被害者です。

[肯定派]

自白は証拠の王様と言われるほど刑事裁判において重要視される。だからこそ黙秘権が無ければ、取り調べをする警察や検事は容疑者をしゃべらせるために、拷問を始めるのではないか。被害者に同情して加害者をないがしろにするのは、人権侵害になると思う。黙秘権は、えん罪防止という大きな役割があります。もし供述の自由が保証されていなければ、自白が強要され虚偽の供述が誘発されるのでは・・・。黙秘権はえん罪から被告人を守る重要な権利です。

 

1月29日テレビで映画「ダウト〜偽りの代償」(TNCテレビ西日本)が放送された。若手のジャーナリスト・CJは、百戦錬磨の検事・ハンターが証拠をねつ造し無実の被告人を刑務所送りにし、死刑判決まで勝ち取っていると読む。この事件は状況証拠しか無く、目撃者もおらず、殺害に使われた銃の薬きょうは持ち去られていた。この裁判の勝訴の決め手は、被告のDNAがべったり付いたタバコの吸い殻だった。ハンターは3年前、数件連続敗訴していたが、その後17件連続勝訴している。CJは、17件の全てが、判決直前に鑑定されたDNA一致が決め手となっていたことを知る。警察の尋問の録画テープを借り調べた結果、殺人現場に残されていたタバコの吸い殻は、後で画像を貼りつけたものだった。ロースクールのディベートで、黙秘権肯定派はこう主張する。「万一えん罪を生めば、その人物(検事)は犯罪者に等しい立場になります。その後、死刑になった人が出れば、人殺しにだってなってしまう。黙秘権は、法律家を犯罪者にしない為にも必要な権利なのです。」

 

柊木が開いた模擬裁判の藍井のジャッジは『黙秘権は被告人を守るだけでなく、えん罪を防ぐ法律家を犯罪者にしない為の権利でもある。そう主張する肯定派の方が理にかなっていた』。柊木の見解は次の通りだった。『私は(黙秘権は)必要だと思っている。個人の内面に国家権力が強制的に入りこむことは許されないことだと思うから。みんなの心の中で何を思うかは自由だし、それをどんな理由があろう国家権力が侵してはならない、という考えを私は正しいと思っている。自分の思いを持つことは、ヒトがモノではなく人であるために絶対必要なことだから』。更に学院長はこうコメントした『当然あるもの(黙秘権)を何も考えず使うのと、意味までしっかり理解して使うのでは、雲泥の差がある。公判の見学も実務を重視する彼女らしいですよね。学生達も厳しい現実を知った上で、それでも法律家を目指すようであれば、その思いは本物ですから』
第4回:柊木 勝てる弁護士がいい弁護士ではない。自分の思いに捉われることなく、何よりも依頼人に寄り添える。それがいい弁護士だと私は思っている.
第5回:柊木 法律って生きているんだよ。誰かの思いで変わっていく。
第9回
「疑わしきは被告人の利益に」
『やっていないことをやっていないと人に認めさせることはとても難しい。だからこの原則が必要。冤罪は絶対あってはならない人権侵害。冤罪は真犯人を取り逃がす事にもなる。刑事裁判の目的は冤罪防止。刑事裁判では、被害者はほとんど考慮されない。そういう風に法律が出来ている』
第11回(終)柊木  『法律家は必ずしもエリートである必要はない。第一に人に寄り添える人材であるべきだと思います。信頼に値する法律家とは、自分の事のように考え行動してくれる人ではないでしょうか。第二に広い視野を持つことも法律家にとって重要な資質であると考えます。広い視野を持っている法律家であれば、自分だけの考えに固執せず、相手の意見も尊重し、より良い解決策を導けるはずです。そして最後に最も重要だと思うのは、人を知ろうとする姿勢ですです。ロースクールでは、実務において必要な資質を育むことができます。それは机に向かうだけでは体得出来ないことです。法律家が扱う法も様々な人々の豊かな人生の上に成り立っているからだと思います』
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{2023/01/21}
和食のこころ

昨年末(12/29)、テレビ番組「美の壺」(NHK・BSP)で『和食』をテーマにした放送をしていた。「和食」は、2013年ユネスコ無形文化遺産に登録されている。番組で伝えたのは『豊かな自然に感謝し、その恵みを大切にいただく。古くから日本の暮らしの中で育まれてきた“和食の魅力”』と『職人によって、和食の奥深い文化が受け継がれてきた“和食の美学”』だった。その和食の原点として、京都の禅宗の寺で古くから伝わる「修行僧の食べ方」を紹介した。基本は「一汁一菜」。まず初めにご飯粒を飯台にお供えする。『生きとし生けるもののために、自分だけ頂くのではなく、おすそ分けをお供えする』。『すべてに感謝し無駄なく頂く。「一物全体を食べる」。自然からの頂き物を大切に思う心が宿る』。そして食材や調理器具や人、食事に至るすべての物に感謝する。これこそが日本の風土に育まれてきた食文化の原点である。

 

先日(1/18)、テレビで「コウケンテツの日本100年ゴハン紀行」(NHK・BS1)という番組が放送された。この回は「豊かな秋を味わう!大分」だった。大分・宇佐では「がん汁」という料理が紹介された。カニの「命」を丸ごと使って作る料理だ。身も皮もミソも卵も、丸ごと使って料理する。料理する人が、この料理に入る前、カニに対して「ごめんなさい。命を頂きます」と声をかける。この“こころ”こそが大切である。心をこめて料理を作る。その料理を「あ〜、おいしい」と食べる。そこに「頂きます」「ごちそうさま」という言葉が意味を持つ。食品メーカーで「Kewpie」という会社がある。この会社のCMは次の通りである。『食べ物は生物の命でできている。少なく買い、残さず食べる。生命体に無駄な部分が無い。WholeFoodそれはすでに生き方だ』『植物はEARTHを受け継いでいる。愛は食卓にある Kewpie』。料理もこのCMも見事です。

 

相変わらず「テレ東」では「デカ盛りハンター」というひどい番組を放送している。1月20日には「回転スイーツ爆食バトル」〜“大食いデスマッチ”が放送された。この店では、スイーツが回転ずしのように回っている。これを2チームが、競争して食べる。40分間の制限時間内で、一番食べたのが一人で185皿だった。なんと13秒に1皿胃に詰め込んだことになる。このゲームに参加者全員で16kgを食べたと言う。このバトルでは、「負けたくない!」と意地の張り合いだった。このバカな番組のどこに「いただきます」「ごちそうさま」の心があるのか。またこの番組を提供している会社が20社余りあった。その中に、私が株式を持っている会社も入っていた。私は、こんなバカな番組を提供するために投資している訳ではない。地方にいるので株主総会には出ることはできないが、総会で追求したい気持ちだ。

 

NHKで「72時間」という番組がある。この番組は、いろいろな人の生き方、考え方が垣間見えて実に面白い。1月20日の放送では、神戸の商店街で「小さなお好み焼きさん」を取材していた。長年やっていると、小さいころから来ていた人、顔なじみの人も多い。店の人が、ちょっと声をかけてくれただけで、「すごく悲しい時でも、温かい気持ちになれる。何回も助けられている」という女性がいた。また、大判焼き2個を買った中年の夫婦は、コロナで経営が苦しかった時「食べて幸せな気持ちになるから来ているのもある。贅沢でしたね」。夫婦2人で、大判焼き2個。それを食べて「贅沢でしたね」。この一言に、食べることで明日へ命をつなぐ、「食」の重みを感じる。現代を生きる我々に、禅僧のような生活ができるわけがないが、少なくともその“こころ”は心に刻んでおく必要がある
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[2023/01/16]
日米首脳会談

1月14日アメリカのホワイトハウスで、岸田首相とバイデン大統領の首脳会談が行われた。この会談で両首脳は、日米同盟の「現代化」に向け、抑止力、対処力を強化することで一致した。日米同盟の「現代化」とは『新しい安全保障環境の現実に対応すること』だとしている。この背景には、中国が軍事力を増強し、一方的な力による現状変更を目指し、国際秩序をつくり変えようとしていることがある。今や中国は、宇宙、サイバー、経済など、あらゆる分野においても脅威になってきている。日本は今回の安保3文書で、安全保障政策を大きく転換させた。同盟関係をより強化するためにも、まず日本が自分の国を守る強固な意志を示さなければならない。それは同時に同盟国の軍事力などを結集するバイデン政権の「統合抑止」の方向性と一致する。岸田首相は今回、日米同盟の深化に加え、イギリスと「円滑化協定」を結ぶなど、ヨーロッパ諸国歴訪し安全保障面での協力も深めた。

 

今回の会談後の共同声明では、サイバー、宇宙などの分野でも協力をすることが明記された。宇宙空間で覇権を狙う中国は、急速に宇宙開発を進めている。この宇宙分野でも日米協力を促進する協定である。会談に先立って行われた2+2でも、宇宙空間での攻撃が日米安保条約第5条の対日防衛義務の適用対象であることを確認した。つまり、日本の人工衛星が攻撃された場合など、宇宙における中国の軍事的攻撃を「同盟の安全に対する明確な挑戦」として捉える。その重要性から航空自衛隊は、宇宙領域に関しての専門部隊を設け、空自の名称も「航空宇宙自衛隊」に変更するという。宇宙・サイバー・電磁波と陸海空を統合することで「多次元統合防衛力」を強化するのである。現在の戦争は、軍事と非軍事を同時に展開するハイブリッド戦である。領域横断で、このグレーゾーン事態という新たな領域への対処を強化しなければならない。

 

1月11日の深層NEWS(BS日テレ)で尖閣諸島周辺の状況をレポートしていた。去年1年間で、中国海警局の公船が、尖閣諸島の日本のEEZ内及び領海で確認されたのは、336日だった。ほとんど毎日、中国の海として、わがもの顔でこの海域をパトロールしている。石垣島の漁船が接続水域で漁をすると、ただちに海警局の船2隻が現れ、日本の領海に侵入し漁船を追尾「中国の領海から退去せよ」と警告してくる。漁船が退去するまでずっと監視するという。中国は、勝手に尖閣諸島領域を中国の海だという法律を作っている。つまり中国としては、日本漁船が漁をすると、日本の海にも関わらず、違法操業とみなしているのである。この海域では、中国の妨害でまともに漁もできない状態で、海上封鎖による海域の実効支配に近いと言っていた。『今、尖閣諸島は、もう中国に乗っ取られていると言っても過言ではない』。

 

アメリカのシンクタンクCSISが、台湾有事のシミュレーション結果を公表した。それは「2026年中国が台湾に侵攻、中国軍が初めの数時間で台湾の海軍や空軍の大半を攻撃した後、台湾を包囲し数万人の兵士が上陸する」と仮定したものである。これに対し日米の関与の度合いに応じた24のシナリオを検証している。シナリオでは、中国の本隊が上陸するのを阻止するのが重要な鍵になっている。その結果、大半のシナリオで中国は台湾の侵攻に失敗するが、中国、日米双方に大きな被害がでるという。大きな被害と侵攻失敗となれば、中国がこのシナリオを踏まえてどう対処するのか。少なくとも日米としては、戦争しないための抑止力、対処力を強化し、その軍事力を背景とした外交を進めるべきである。その意味でも今回の日米首脳会談で、同盟深化を世界に向けアピールしたことは大きな意味があったと言える。

2023/01/11TV「深層NEWS」(BS日テレ)より

2023/01/11TV「深層NEWS」(BS日テレ)より
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{2023/01/06}
地球上の生物は皆「親戚」

1月3日「人類誕生」(BSP)というTV番組が放送された。過去放送した分の再放送だったが、今回3回分を一挙に放送した。タイトル通り人類誕生から、ホモ・サピエンスが世界に拡散するまでの物語だった。今、我々が存在しているのは、700万年の時を超え、進化してきた結果である。その歩みとは、『2足歩行→家族を持つヒト→仲間を持つヒト→道具を持つヒト→脳が大きくなり「心」を持つヒト』。この歩みの中で、特に「心の進化」は大きい。狩りで確実に肉を手に入れたエレクトスは、狩られる側から狩る側になり、連帯感や思いやりが芽生えたとしている。1月3日の深夜に放送された映画「悪人」を観た。殺人を犯した生きることに不器用な若者と、それまで男性と出会うことのなかった女性、そして彼らを取り巻く人々の「心」が描かれている。それは優しく、鋭く、鋭敏で「豊かな情感」だった。それは人類共通ではあるが、豊かな自然に育まれてきた日本は、特に情感豊かである

 

昨年末(12/26) TV番組(BSP)グリーンプラネット「熱帯の森」が放送された。その中の「バルサ」という木の生き方を番組ではこう解説していた。『バルサは、他の木とは比べ物にならないほどのスピードで伸びていく。倒木で開いた空間は、1年余りでバルサの木で埋められてしまう。内部はストローの束のような断面になっている。体を支える組織の作りを最小限にすることで素早く成長することができる。他の植物より高いところで葉を広げ、太陽の光をたっぷり受けて更に成長を早める』。また別の番組「高山植物の生存戦略」では正反対の生き方をしている植物がいた。「チングルマ」という高山植物である。チングルマについて『一見すると草のようだが、バラ科の低木植物。幹にはちゃんと年輪が刻まれ、1年間に0.1ミリほどしか太らない。つまり5ミリほどの太さになるのに50年もかかる』。競合する植物が少なく、強風の中で生きるためには、背丈が低い方が有利なのだ。植物もおかれた環境に順応し、いかに生き延びるかで戦っている。

 

同じくTV番組で「驚き!海の生き物超伝説」という劇場版ダーウィンが来た(NHK総合・12/25)が放送された。そこに描かれていた動物たちの中で「エイリアンフィッシュ」という魚について、ちょっと視点を変えて観てみた。オス(自衛隊)は、メスに産卵してもらうための貝殻(領土・領海・領空)を守っている。ところが別のオス(敵国)がその貝殻を奪いに(侵略)来る。お互い大きな口(軍事力)を広げて争う。そこで大切なのは口の大きさ(軍事力の差)。口の大きい方が勝つ。大きさが互角だと力比べになる(対峙・抑止力)。それでも決着がつかないと最後は噛みつき合戦(戦争)になる。大きな口(軍事力)をいかに生かせるかが勝敗を決める。つまり海の中の魚も、人間がやっていることも基本は同じである。この数千年の間、世界で戦争の無かった期間はわずか240年だったという。戦うことは生物の本能であるが故に、敵国に戦争を思い止まらせる『抑止力』は絶対に必要だ。

 

地球に最初の生命が誕生したのは、およそ40億年前。地球に海ができて、その海で最初の生命が誕生した。その素材は、宇宙に存在するありふれたものの奇跡的な組み合わせである。現在、地球には870万種もの生き物がいるという。それは食うか食われるかの世界。親は次の世代が生き延びるために戦い、あるいは、あえて天敵のいない過酷な環境の中で生きてきた。海に育まれた生命は、「死」と「生」を繰り返しながら進化し、枝分かれしながら、今のように命が躍動する地球になったのだ。改めて思うに、動物、植物すべての命は、「40億年前の単細胞生物が出発点」になっている。地球上の生物は、すべて細胞という共通の成り立ちで出来ている。我々人間は37兆個の細胞で構成されている。植物もまた基本的には同じである。人類皆兄弟どころではない。ホモ・サピエンスも、エイリアンフィッシュも、バルサもチングルマも、言ってみればすべてが「親戚」ということになる。
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