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OHTO筆ボールとエトランジェのNOTE 弥生時代に想いを馳せる
「伊都国王誕生」特別展と平原王墓まつり 相対論VS量子論

[2022/10/23]
OHTO筆ボールとエトランジェのNOTE

OHTO筆ボール
久しぶりに天神に出かけた。天神に行くと必ず文具店に寄る。まずOHTOの筆ボールを探した。1.5mmのボールペンはいくつかあったが、なかなか見つからない。もしかすると「筆ぺん」のコーナーにあるのではないか。そう思い筆ぺんコーナーへ。あった!!一番端にひっそりと。
実を言うと、今回探したのには理由がある。東京の知人が、文房具の聖地「銀座・伊東屋」で、伊東屋の店名入りの「便箋」と「封筒」を買って、近々送ってくれることになっている。届いたら、早速筆ボールで、手紙を書こうと思っている。
エトランジェのノート
いつも、カバンに入れて持ち歩くノートなので、「B6」で「スリム」が条件である。B6自体少ないが、あっても分厚いなど探す条件に合わないのがほとんど。そんな中、唯一このエトランジェがぴったりだった。
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[2022/10/19]
弥生時代に想いを馳せる

吉武高木遺跡は、福岡市西区の早良平野にある弥生時代中期の遺跡である。大量の副葬品などから、弥生時代の「クニ」と「オウ」がここから始まったことを伺わせる。ここの副葬品から、初めて日本最古の「鏡・剣・玉」が同時に出土する。「三種の神器」はここに始まった。吉武高木の権力者は、吉武大石へ引き継がれるが、次の吉武樋渡時代に急速に衰退する。このころ時期を同じくして台頭したのが、三雲南小路の王と須玖岡本の王である。弥生中期後半になって突然出現した「伊都国」と「奴国」。その両国が共に「三種の神器」を受け継ぎ、魏志倭人伝に記されるほどの権力を持ち弥生時代に君臨する。しかしその権力は、奴国が工業のクニ、伊都国は政治のクニとして、クニの在り方が違い競合していない。私はこの両国は、近親関係にあったのではないかと思っている。

 

奴国は一代で終わったが、伊都国は、三雲南小路の王、井原ヤリミゾの王、平原の女王と、「魏志倭人伝」に「世々王あり」記されたように、代々の王が君臨した。「魏志倭人伝」には『女王国より北には、特に一大率をおいて諸国を検察させている。一大率はつねに伊都国に置かれる』。特に邪馬台国の時代「伊都国」は重要なクニであった。さて女王国・邪馬台国はどこにあったのか。倭人伝の記述には帯方郡から万2千里とある。伊都国から計算すると、伊都国の南千5百里のところである。甘木の平塚川添遺跡こそが邪馬台国となる。安本美典氏は、「倭名抄」に見る筑前の国夜須郡のまわりと大和の国大和郷のまわりとは21地名のうち17地名までは発音がほぼ一致しており、しかも21地名の相対的位置もほとんど同じであるとしている。伊都という地名が、今に受け継がれているように、地名は風化しない。

 

『倭国乱れ相攻伐すること歴年、すなわち共に一女子を立てて主となる』。その卑弥呼はどこの出身であったか。私は伊都国が卑弥呼の実家だと思っている。邪馬台国が統治する三十国は、一大率を置く伊都国を恐れていた。伊都国が、強い権力を持っていたことを考えれば、邪馬台国の女王を伊都国から出すことは自然の流れだろう。『女王国の南にあるのが狗奴国で、この国は女王国に服属していない』。邪馬台国は狗奴国と隣接し、戦争状態にあった。このことも平塚川添遺跡が邪馬台国であったことを推測させる。この戦争は、邪馬台国が畿内へ東遷する一つの要因だったろう。その記憶は、「神武天皇の東遷」として古事記に残されている。畿内の銅鐸文化が突然姿を消したことがそれを裏付ける。古事記、日本書紀の神話には銅鐸について何も書かれていない。

 

伊都国や邪馬台国に受け継がれていた北部九州の伝統や風習は、邪馬台国の東遷とともに畿内へ移る。文化は人の心であるから、人が動けばその精神文化も当然その地で現れる。一番顕著なのは葬制である。木棺や銅鏡などの副葬品は、明らかに北部九州からの継承と言える。その副葬品に「鏡、剣、玉」という「三種の神器」が含まれていることはその象徴である。吉武高木に始まり、伊都国によって守られてきた「三種の神器」の伝統は、2000年の時を超えて、今の皇室に伝わっている。「皇位継承」の儀式で、最初に行われるのが「三種の神器」の継承である。今、伊勢神宮に祀られている「八咫鏡」は、伊都国の平原王墓から出土した直径46.5cmの超大型内行花文鏡とぴったり同じ大きさだという。伊勢神宮の主祭神「天照大神」は“卑弥呼”であり、「豊受大神」は、卑弥呼の後を継いだ“台与(トヨ)”である。北部九州の弥生文化は、見事に畿内へ移っている。

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[2022/10/17]
伊都国歴史博物館「伊都国王誕生」特別展(三雲南小路王墓発見200年記念)

伊都国歴史博物館で「伊都国王誕生展」が開かれている。これは三雲南小路王墓発見200年を記念した特別展である。王墓は一辺30mを超える大型墳墓で、約2000年前の弥生時代中期後半に築造されたとしている。この遺跡から江戸時代の1822年、鏡35面、銅矛2本、勾玉、管玉など大量の副葬品が出土した。福岡藩の国学者・青柳種信は、出土品の詳細な模写や拓本を「柳園古器略考」を残している。1975年には二つ目の甕棺も確認され、合わせて57面以上の銅鏡などが出土、王と王妃がそれぞれ埋葬されていたと考えられている。この後伊都国は、井原鑓溝遺跡、平原1号墳と続き「魏志倭人伝」に「世々王あり」と記載される。

令和4年度・平原王墓まつり

その平原王墓であるが、三雲南小路特別展に合わせ、平原王墓出土の未公開資料も特別公開されている。これは平原王墓の年代を決定する貴重な資料だという。説明を見ると、これらの土器や石器は、王墓築造以前の弥生時代前期〜中期前半のもので、集落で使用されていたものが王墓築造時に中央土壙や柱穴に混じり込んだものだと書かれていた。平原王墓と言えば何と言っても直径46.5cm世界最大の銅鏡「内行花文鏡」である。平原王墓の出土品は、平成18年に国宝に指定された。平原歴史公園では、1016日「令和4年度・平原王墓まつり」が開催された。台風やコロナでこの3年間は開催できなかったが、今年は実行委員さんたちの熱意で、規模は縮小ながらも、気持ちのいい秋空の下、開催された。

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[2022/10/01]
相対論VS量子論

先日、テレビ番組コズミックフロントで「相対論(時空)VS量子論(物質)」(NHK・BSP)を放送していた。重力に基づいた時空の理論と、素粒子に基づいた量子力学の闘いである。この論争の始まりは、ホーキング博士が提唱した、ブラックホールからエネルギーが熱として放射される「ホーキング放射」だった。ブラックホールは、事象の地平線を超えると、強い重力で外に出てくることができない。[エネルギー=質量]であり、ブラックホールが熱を放出する「ブラックホールの蒸発」によって、素粒子の質量や電荷といった情報が消える。素粒子自体が無くなると主張した。ところがこの情報の消滅は、物理法則を崩壊させてしまうと激しく反対したのが物理学者だった。情報という物質の記憶が消えるということは、あらゆる物理の法則に反する。過去を説明したり、未来を予測したりする物理の法則が根底から崩壊すると反論した。

 

そこで出されたのが「相補性」という考えだった。これは観測者の視点によって、どちらも正しいというものだ。ブラックホールに落ちる物体を、観測者が一緒にいる場合、観測者にとって事象の地平線は存在しない。一方、物体の動きを地球から観測すると、物体が事象の地平線に近づくにつれ遅くなる。それは重力が強くなるにつれ時の流れが遅くなるから、地平線で止まったように見え、ブラックホールに取り込まれることはない、というものである。この後、この理論を助ける理論が登場する。「ホログラフィック原理」である。この原理は、情報がある空間の境界に保存されていて、それが内部に投影されているというものだ。2次元の情報が、ホログラムとなって3次元のブラックホールに投影される。つまり、表面に貯まった情報が、ホーキング放射によって外に回復し情報は保存される。「相補性」はホログラフィック原理と同じだとした。

 

この論争は、素人には難解で、ただそういうものだと受け入れるしかないが、最終的には、この論争に「超弦理論」を取り入れ、ホログラフィック原理を数式化することで終止符がうたれる。「超弦理論」は、物質の基本単位である素粒子を、振動する弦として捉える。この理論によれば、素粒子は開いた弦、時空を構成する重力波閉じた弦として記述できるという。振動する弦が空間の表面で複雑に相互作用をする。その内部には質量とエネルギーが詰まっている。その中身の情報が表面で振動する弦の相互作用として記述される。2次元の表面に保存された量子論の情報が、内部の3次元空間に投影され、ブラックホールが蒸発するとき、表面に保存された情報が宇宙に放出されるというものだ。これでブラックホールの蒸発は、情報を失わない量子論で記述され、軍配は物理学者に挙がった。後にホーキング博士は、誤りを認めたという。

 

番組では、ホログラフィック原理が宇宙全体に適用されるとしていた。鍵となるのは「量子のもつれ」である。これをホログラフィック原理に当てはめると、宇宙の果てにある量子情報が、量子のもつれによって3次元の宇宙に投影されるとみなせるという。今年初めに、私はこんなことを書いた。『最近VRという最新の技術が、仮想空間を見せてくれている。VRは私が見ている現実と思っている世界全体がそうである。「正のエネルギー」によって作りだされた重力波で、五次元の重力理論を書きなおす。五次元の重力理論は、四次元の量子場に投影される。つまり私が見ている四次元の立体的な世界は「ホログラフィック理論」によるものである』。私の見ている世界どころか、我々が存在するこの宇宙全体にホログラフィック理論が適用されるというのだ。これが現代物理学の最先端で、物理学会全体がその方向に動き始めているという。

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追伸:2022年ノーベル物理学賞(2022/10/07)
今年の物理学賞は「量子力学の基礎研究」の成果により3人の科学者に贈られた。3氏は原子や電子などに「量子のもつれ」という状態が存在することを実験で確かめ、量子情報科学という新しい分野を拓いた。西日本新聞には「量子のもつれ」について次のように書かれていた。
『原子などの極めて小さな単位の世界では、私たちが普段利用している古典的な力学では説明できない新たな物理現象が生じる。「量子のもつれ」もその一つだ。ペアになってもつれた粒子は、どんな遠くに離れていても一方の状態が分かると、もう一方の状態も瞬時に決まり、あたかも情報が瞬間移動したかのように見える。「量子テレポーテーション」という現象が起きるとされる』


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