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令和時代始まる

[2019/05/02]
令和時代始まる
 「平成」が終わり「令和」の時代が始まった。今回の改元は、譲位に伴うものであったため、上皇さま、上皇后さまへの深い感謝と、新天皇皇后両陛下即位の祝賀で日本列島全体が沸いた。新しい時代が始まるにあたって天皇陛下は初めてのお言葉として次のように述べられた。『常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民の統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します』。天皇陛下は、上皇さまが築きあげてきた「平成流」象徴像を引き継ぐとともに、新しい時代の象徴天皇の在り方を模索する「果てしなく遠い道」への一歩を踏み出された。皇室の長い伝統と神性を守り、また人間天皇として国民に寄り添う新しい象徴天皇の在り方をお示しになることだろう。

 今回、新天皇即位にあたり、最初の儀式が「剣璽等承継の儀」であった。これは皇位の証である「三種の神器」を承継する儀式である。三種の神器とは「剣」「勾玉」「鏡」であるが、この三種の神器の起こりは古く、弥生時代前期の吉武高木遺跡(福岡市西区)の王の木棺墓から出土している。その後、「三雲南小路」(糸島市)、「井原鑓溝」(糸島市)の王へと引き継がれる。邪馬台国の時代には、卑弥呼へと受け継がれ、邪馬台国東遷により現在の天皇家の神器となった。邪馬台国東遷の記憶は、神武東征として古事記に記載され、また卑弥呼は、伊勢神宮のご祭神・天照大神として現在に至っている。さらに三種の神器のひとつ「八咫鏡」は、平原遺跡(糸島市)から出土した大型内行花文鏡と同じ大きさである。三種の神器承継の儀式が何よりもまず最初に執り行われるということを記憶しておきたい。

 「大嘗祭」について、いろいろ意見が出ているようだ。大嘗祭は、新天皇が初めて行う一世一度の重要な祭祀として継承されてきた。この祭りによって新しい天皇が真の天皇となると信仰されてきたのだという。新天皇が国民を思い、五穀豊穣を全身全霊でお祈りされる。これはもはや国事行為である。国費によって支えることになんら問題ないと考える。今回の一連の宮中祭祀を見るに、まさに日本文化そのものである。日本の長く豊かな歴史を国の内外に強く印象付けた。政府は、新元号「令和」の英語訳を「beautiful harmony(美しい調和)」と発表した。一千年の昔から、あらゆる人たちが心豊かな歌を詠んだ日本を誇らしく思う。

 今回の一連の儀式や日本国民がこぞって感謝とお祝いをする様子は、海外メディアも伝えた。日本の新たな時代の始まりに、世界各国から祝辞が届いている。新天皇は皇太子時代、英オックスフォード大学へ留学された経験があり、また100カ国近くの国々を訪問されている。新皇后は、外交官としての経験があり、両陛下ともに広く世界に通じておられる。皇室が世界各国の親善に果たされる役割は大きい。令和の時代、両陛下による新しい皇室を作り上げていかれる。そのお姿を上皇さま、上皇后さまが見守られ、穏やかな日々をお過ごしになることを願っている。

吉武高木遺跡(弥生時代前期)出土の「三種の神器」
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