映画100本目&古希&定年後満10年・記念号
   
映画「キングスマン」
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File No.150930

「生まれの貧しさで人生は決まらない」。「MANNERS MAKETH MAN(マナーが、紳士を、作る)」。スパイ機関のエージェント「キングスマン」は、紳士でなくてはならない。紳士が、次の紳士を作り上げていく。これを基層に物語は展開していく。どこの国にも属さない世界最強の秘密諜報機関は、すなわち一国の政治的な駆け引きなどには影響されず、世界を股に活躍する。主役を務めるのは、「英国王のスピーチ」で、アカデミー賞の主演男優賞に輝いた名優コリン・ファースである。エリザベス女王をも感動させたあの映画とは一転、今回は過激なアクションに挑戦している。いちぶの隙もない出で立ちの英国紳士が、人類抹殺計画を企む「悪」に敢然と立ち向かう。華麗に、スマートに、かと思えば過激な戦闘シーンをみせてくれる。マシュー・ヴォーン監督は、イアン・フレミングの伝統的な紳士スパイに立ち返ってみたいと言った。往年の「007」シリーズや「電撃フリント」といった映画をリスペクトしつつ、かつてない斬新な現代のスパイ映画の登場である。
ロンドンの高級テーラー「キングスマン」。その裏の顔はどこの国にも属さない世界最強のスパイ機関である。「キングスマンは新時代の騎士。スーツは現代の鎧(よろい)だ」。ブリティッシュスーツを着こなすハリー(コリン・ファース)は、この組織のエリートスパイである。組織のリーダー、アーサー(マイケル・ケイン)は、惨殺されたエージェントの代わりの新人をスカウトするよう指示していた。そんな折、街の若者エグジー(タロン・エガートン)は、警察に捕まり、助けを求めてハリーに電話をかけてきた。実は17年前機密活動中に命を落としたエグジーの父は、ハリーの命の恩人だった。当時まだ幼かったエグジーに「困った時は電話してくれ。合い言葉は”ブローグではなくオックスフォード”」と伝えていたのだ。エグジーに、スパイの才能をみたハリーは、エージェント候補に抜擢する。一方、頻発する科学者失踪事件の首謀者でIT産業の富豪、ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)は、前代未聞の人類抹殺計画を進めていた。
ハリー
(コリン・ファース)

エグジー
(タロン・エガートン)
今回の映画では、エグジーとガゼルとの闘いで、エグジーが靴に仕込んだナイフで決着をつける。このシーンは「007/ロシアより愛をこめて」で、スペクターが、靴に仕込んだナイフでボンドを襲うシーンを彷彿とさせる。ジェームズ・ボンドは、Qから支給される秘密兵器で、襲いかかる危機を切り抜け、任務を遂行していく。本作でも英国紳士が持つ粋なアイテムが、意表をつくスパイ道具に変身し活躍する。キングスマン本部の部屋には、あたかも紳士の身の回り品を陳列するかのように秘密兵器が整然と並ぶ。その中の傘は、開けば防弾シールドになり、マシンガンにもなる。とはいえ相手を無闇に殺す訳ではなく、この傘には「気絶モード」などもある。他にもライター型の手榴弾、毒が仕込まれたペンなど多種多様な道具で楽しませてくれる。またハイテクなアイテムとしては、特殊メガネが登場する。エージェントがどこにいようとも、このメガネをかけるだけで、アーサーと同じテーブルにつきバーチャル会議が行われる。



今回の悪役ヴァレンタインは、地球の環境悪化に問題意識をもっている。彼は、世界に大きな影響を与えるほどの力を持つIT長者である。それがなぜキングスマンの敵になるのか。それは環境問題の原因の捉え方と解決方法が問題なのである。「人間は地球の病原体だ」。増えすぎた人間こそ諸悪の根源であり、人間を減らすことで地球を救おうとしている。「無料のSIMカードを配る。通信もネットも永久に無料。すでに10億枚以上が配られた」。そのSIMカードを衛星から操作すれば、人間は凶暴化し、誰かれ構わず殺りくに走る。結果、人類を減らすことが出来るというのだ。そのテストケースが、サウスグレート教会での容赦のない殺し合いである。ハリーを含むコントロールされた人たちが、至近距離から撃ち殺す、ナイフを突き立てる、串刺しにする。そんな大乱闘シーンが、早送りとスローモーションで圧巻の殺りくシーンとなる。さてこの人類抹殺計画を、誰が、どう阻止するのか。
ガゼル
(ソフィア・ブテラ)


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『キングスマン』

2014年/イギリス映画/129分

監督:マシュー・ヴォーン
出演:コリン・ファース、マイケル・ケイン他


ロンドンの高級テーラー「キングスマン」
それは、どこの国にも属さない世界最強のスパイ機関


ロキシー(ソフィー・クックソン)

アーサー(マイケル・ケイン)

ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)