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ROAD to PERDITION (ロード トウ パーディション)

2002年10月
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 監督:サム・メンディス
出演:トム・ハンクス
     ポール・ニューマン
   ジュード・ロウ
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(あらすじ)------------------------------
1931年の冬。イリノイ州ロックアイランドの町。マイク・サリヴァン(トム・ハンクス)一家は平和であった。しかし、その生活を支えていたマイクの仕事は、その町を牛耳るギャングのボス ジョン・ルーニー(ポール・ニューマン)が最も信頼する殺し屋であった。ある雨の夜、ルーニーの命令で、ルーニーの実の息子コナーとフィンのところへ話し合い行く。父の仕事な何なのか知りたかったマイクの息子マイケルは、こっそり父の車にもぐりこみ現場へ。ところが、コナーは話し合いの途中で突然フィンを殺害する。殺人を目撃されたコナーは、口封じの為マイク一家を皆殺しにしようとする。まず、妻アニーとマイケルの弟ピーターは、コナーに射殺される。ここから父:マイクと息子:マイケルは殺し屋に追われ、6週間の地獄への旅が始まる。

(コメント)------------------------------
マイクとマイケル、ルーニーとコナー、二組の親子が登場する。これに加え、マイクとルーニーという仕事における信頼と、親子以上の心のつながりを持つ二人を描いている。この映画の重要なテーマは「親子の絆」である。 息子マイケルが、自分のせいで一家の運命が大きく変わった責任から、自分を責めるが、父マイクはお前の責任ではないと諭す。原因が、親の仕事が何であるか知りたいというごく素朴な疑問であったこと、コナーの無用な殺人に起因し、特殊な世界の掟に振り回されていることなどから、親としては当然といえば当然である。 ことのきっかけとなった殺人目撃の現場で、父マイクとコナーに追い詰められたマイケルを前に、コナーが「口は堅いか?」と質問する。マイクは即座に「俺の息子だ」と言い切る。このあたりに息子マイケルを信頼し愛している気持ちが伺われる。自分似のマイケルだからこそ信頼も強かったのではなかろうか。

物語の中盤では、マイクの鋭い判断で、間一髪殺し屋の手を逃れた後、マイクはマイケルに「生きていく為には、お前の協力が必要だ」という。それまで子供であったマイケルが、相棒として男同士として、父との信頼を築き、成長する瞬間でもある。 ルーニーがマイケルに、「俺とお前は天国へは行けない。しかし、お前の息子はいける」という。これは、結末を暗示させるセリフでもある。最後のシーンで、大きく広がった窓の前にたたずむマイケルの背後から、ニティに差し向けられた殺し屋の銃が火を吹く。ところが、その殺し屋の背後から、父の仇とマイケルが銃を突きつける。しかし、ここでマイケルに殺人を犯させてはならない。父として死をを直前にしながらも、最後の力を振り絞って殺し屋を倒す。父として息子を天国へ導く務めを果たして死んでいく。


「“マイクは、根っからのワルだ”、“いや、そうじゃない”という相反する世間の評判がある」とマイケルのナレーションがある。この相反する世間の評価に、マイケル自身で結論を出させた父との旅であり、父の心の優しさを充分感じ取れた6週間の旅であったと言えよう。時間は短くても、どれだけ充実した密度の高い人生を「共に」生きたかである。マイクは結果として、マイケルが幸せな人生を送り、天国へ行けるようセッティングし、親としての責任を果たして死んでいく。マイクに限らず、世間一般に置き換えても、親の責任とはそういうものではなかろうか。