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BIRTHDAY GIRL
2002年11月
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監督:ジェズ・バターワーズ
出演:ニコール・キッドマン
  ベン・チャップリン
(あらすじ)------------------------------
ロンドン郊外に住むジョン・バッキンガム(ベン・チャップリン)は銀行員。勤続10年で金庫の鍵の保管者に任命されるほど真面目な勤務態度であった。独身の彼は、ある日インターネットの“ロシアから愛をこめて”というページでなんと花嫁を注文する。ジョンのもとに、ロシアからナディア(ニコール・キッドマン)と名乗る美しい女性がやって来た。ところが彼女は保証されているはずの英語が全く話せなかった。返品しようとするジョンだが、次第に彼女の魅力に惹かれ翻弄されていく。しかし、平和な生活も永くはなかった。ナディアの誕生日に、突然ロシアから2人の男がやって来る。ジョンは、自分の勤める銀行を襲うはめに・・・・・。

(コメント)------------------------------
この映画は、全体として描き方が荒っぽく、疑問な点も多々あるが、最後はハッピーエンドでもあるし、ニコール・キッドマンに免じて許してあげよう。それよりこの映画の前提が、現代のインターネット社会を痛烈に風刺しているように思う。世の中はまさにインターネット社会である。地球規模で誰もが、情報や品物を手に入れることが出来る。

日本でも世界最先端のIT国になるべく、IT基本法が施行された。急速に進むインターネット社会の裏には、危険もまたそれに匹敵して拡大している。PIO−NETによれば、情報通信関連の相談件数は01年度は10万件を超えた。そのうち電子商取引についても00年度3711件だったものが、01年には7483件と倍増している。政府の「
e-japan重点計画」にも「電子商取引の促進」とともに「ネットワークの安全性と信頼性の確保」があげられている。

危険の一例をあげれば、中国産ダイエット食品による健康被害は記憶に新しい。服用者4人が死亡し、800人を超える人が肝機能障害の健康被害をおこした。被害者の多くは、インターネットによる個人輸入という「合法的」な手続きによってに入手している。また「バースデーガール」に見るネット注文の花嫁とまでは行かないまでも、いまやインターネットによる出会い系サイトで恋人を見つけるのも、珍しいことではなくなってきた。出会い系サイトは、ネット上に数千存在すると言われている。こういうサイトで知り合い、凶悪事件に巻き込まれるというケースも少なくない。

学習指導要領も改正になり、インターネットの授業に力が入れられる。この映画に風刺された「花嫁」に潜む危険性を、見極める鋭い能力を育てなければならない。その能力に裏打ちされた、快適かつ豊かなネット社会を楽しみたいものである。それにしてもニコール・キッドマンはなかなかです。